紅い約束ー雨の日は憂鬱ー
登場人物
愛坂守
愛坂夏希
生田目冬也
見た目は氷のようなイケメンでしかし話すと残念イケメン?
生田目鈴華
見た目は子供、中身は腹黒、その名は生田目鈴華!
あらすじ
支度を済ませて外に出てみると、雨は強まり気分は憂鬱。
そこに訪れた生田目兄妹、鈴華の無邪気さに困り果てる守に追い打ちをかける、夏希に冬也。
いつもの面々にいつもの登校風景、1日は始まったばかり。
「雨弱くなったか?」
「どうだろう、多少は弱まったかも」
本当に雨の日は憂鬱だ、靴はタプタプになるわ、服は張り付くわ、傘を忘れた日にはびしょ濡れの髪から水が滴ってイライラするのなんの、雨は精神的につらい。
「すきありぃー」
「おわっ! とっと」
「おっはよう! まー君!」
そして、追い打ちにいつもの確定要素、鈴華ちゃんが小さい体で飛びついてくる。園児に言う事じゃないけど毎度ながら本当に迷惑だ、特に今日の場合は黄色いカッパに張り付いた水滴が容赦なく制服を濡らしてくるため、被害は甚大だ。せめて雨の日はやめて欲しい。
「おはよう」
俺は嫌々ながらも仕方なく小さな体を抱え、やさしくあいさつする。すると、鈴華ちゃんは無邪気な笑顔を向けてきてくれる。なんだろう、凄い複雑な気持ちになる。
「今日も朝から悪いな」
そうこう考えていると、ブロック塀の奥から銀髪のイケメンで俺の親友の冬也が当然のように現れる。妹の鈴華ちゃんがこんな事をするのは、こいつの監督不手際のせいである。
「いや、いいっていつもの事だし」
とわいえ、そんな事を気にするほど俺も小さい男ではない、心と言葉は真逆ではあるが本心は言葉の通りだ、親友のよしみで許してやろう。
「おまたせ! 行こっか」
夏希が戸締りを済ませて輪に合流する。
「おはようございます。冬兄、鈴華ちゃん」
いつも聞いているはずなんだが夏希の敬語は聞き慣れない。冬也には別にタメでも良いと思うのだが、夏希なりの拘りがあるらしく一向に崩したことがない。
「おはよう」
冬也は普通にあいさつをするが、鈴華ちゃんは夏希に対して敵を見るような表情をする。
「おはよう恋敵、まー君は私のだからね?」
この子本当に幼稚園児だよな? いつも思うが雰囲気が黒い、普段からどういう教育を受けているんだろうか……
いや、母親があの人ならありえるか……
「うーん、どうだろう。鈴華ちゃんはお兄ちゃんに手が届くかな? ボクを出し抜いて」
夏希はにっこりしているが目が笑ってない。てか、大人気ないぞ夏希、うん? いや、違うだろ……俺……
「うむ、熱い恋愛バトルはそれぐらいにして行こうか遅れるぞ」
「冬也......あの会話をさりげなく納得するなよ!」
俺はさり気なく鈴華ちゃんと夏希の取り合いに納得してしまう所だった。幼女と弟、色々と問題のある絵面だ。
てか、モテるなら女子からの方がいい、マジ切に思う。
「まぁ、問題ないだろ」
「俺からしたらどう考えても問題ありだ」
「まぁ、とにかく俺の妹を泣かせたらゆるさんぞ」
「......お前はどこのお父様キャラだよ!」
「いや、俺は鈴華のお兄ちゃんだが?」
お父様キャラ否定されただと!? だが、しかし、それ以前に、明らかに、間違いなく。お前が自分をお兄ちゃんという台詞は似合わない。
「そんなことはどうでもいいだろう。それより、そろそろ出発した方がよいのではないか?」
冬也はスラリと話を切り替える、そろそろ行かなければ確かに遅刻する。
しばらく歩くと鈴華ちゃんの幼稚園に到着する、ずっと抱っこしているせいか地味に疲れる。
「バイバイ、またね! まー君!」
「行ってらっしゃい......」
俺は無理やり笑いながら鈴華ちゃんを見送った、夏希も同じようなものだが、本当に小さい子は元気すぎて疲れる。
「鈴華の事は俺に変わってこれからも頼むぞ」
「いや、こんな毎日が続くのはごめんだからな」
「残念ですけど、お兄ちゃんにはボクが居ますので大丈夫です」
「いやいや、鈴華も夏希くんに負けないぐらい魅力的な女だぞ」
『その話はやめろ』と心の中で俺は叫ぶ、鈴華ちゃんといい夏希といい挟まれる身にもなって欲しい。
「でっ! お前はどう思う!」
「でっ! お兄ちゃんはどう思う?」
「悪いけど、どっちもお断りするよ……」
「「そうか……」」
「何故悲しそうなんだ、お前ら」
まったく、なんなんだこいつらのテンションは高すぎだろ。これから学校だってのに朝からどっと疲れたよ。
今回の話はめちゃくちゃ、短いです!
場面転換事に区切った結果がこれです、あという間に終わってしまいます!
とりあえず、こんなでも続きが気になって貰えたら嬉しいです!