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魔女に憧れた女  作者: 丹田練子
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魔女になるための第一歩?

自分自身の想念、呼吸、身体の感覚の観察者になることを教えてもらってから3年の月日が流れた。


彼女は相変わらず魔女が居そうなところに赴く旅を続けていた。


砂漠や険しい山、山深い地域の山の中など、人の居ない場所を選んでは教えてもらった瞑想にひたすら取り組んだ。


今や彼女は、かつて教えてもらった瞑想方法が、たんに自分自身のことを知る為だけの効果しかないものだとは思っていなかった。


なぜなら彼女が身体の中の感覚の観察をしているとき、尾骶骨の底の真ん中あたりであったかい何かがいることを発見したからだ。


それははっきりとは捉えられないけど、確かにそこに在る感覚だった。


彼女は、もしかしたらこれが前に教えてもらった、人間の身体の中にあるというエネルギーを生み出す装置。


もとい、魔力なのかもしれない。


やっとこの時が来たか。


と思っている自分の考えを観察した。


想念の観察者となる癖が染みついているのである。


それからは、来る日も来る日もそのあったかい何かを観察する日々が続いた。


いつしか気付くと、そのあったかい何かは赤い色をしていて、モウモウと燃える火の玉のような形をしていると認識するようになった。


さらに観察を続けると低い音を発していることも分かった。


魔力。


私の魔力。


そう思うだけでモチベーションは常に最高潮の状態が保たれた。


そしてある時、前に発見した尾骶骨の真ん中の赤い炎のようなものの少し上に、橙色の丸い何かがいることを新たに発見した。


それはまるで姉妹のように、赤い炎とは似ているけど全くちがう生き物といった不思議な存在のものだと彼女は認識した。


臍の3センチから身体の内側に3センチ程入ったところに在るその橙色の存在は、出て来てすぐの朝日のように生々しく輝いて彼女の心を惹きつけた。


その橙色の光を観察していると何故か、小さい時の両親との思い出が鮮明に思い出された。


だんだんお腹の下の方が温かくなってきて、記憶がどんどん遡っていき遂にはまだ産まれる前、母親のお腹の中にいた時の記憶が蘇った。


ドクンドクンと大きく響く何とも落ち着く音と、温かくて心地良いぬるま湯に包まれ、橙色の光の壁の外からお父さんが覗き込んでいることが分かった。


愛されている。


ゆっくりと意識が今に戻ってきて、彼女は自分の顔の下半分が涙でびしょびしょになっていることに気付き驚いた。


しばらく放心した後、彼女の意識は正気を取り戻した。


魔力の源は一つだけではなかった。


それなら他にもあるに違いない。と考えている自分を観察して彼女は微笑んだ。


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