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魔女に憧れた女  作者: 丹田練子
3/5

魔女になる為になりそうなこと

彼女が成人したころには、野草やハーブ、根菜やスパイスの原料になる植物のことや、暦など天体から導き出される占星術のことに関する知識で、彼女の右に出るものは誰もいなかった。


それはかなり専門的な分野ではあったが、並大抵の情熱では辿りつけない境地といってもいいほどの膨大な知識だった。


彼女のもつ情熱の源は変わらず、魔女になりたいという思い、それだけだった。


膨大な知識を身につけた彼女だったが、知識だけでは魔女になれないというのは知識をつけるにつれ彼女自身、身にしみて感じてきたことだった。


まずは出来ることから外堀を埋めていく。


思いつくことは出来る限り全部やってみた。


次の段階に移るときが来た。


と彼女は思った。


未だ見たことも聞いたこともないものに出会い、経験するために彼女は旅に出ることにした。


魔女が居そうなところに赴く。


その響きだけでご飯3杯いける。


それからはバック1つで国中を歩き回った。


大きな瀧があるところ、人がめったに訪れない秘境、洞窟、有名な僧侶所縁の巡礼地、岩の台地、山の修行者のいる山、樹海、大森林など、歩いて回っていると自然の雰囲気が自分の身体の中を満たし、魔力が蓄えられるような気がして夢中になった。


旅は道連れ世は情けと言われるように、旅をしてる中でいろんな人との出会いがあった。


食糧を恵んでもらったり、水を恵んでもらったのは一度や二度のことではなかったし、道すがら一緒になった人と情報を交換したり、身体を悪くして困っている人がいたら、時間をかけて身につけた薬草学が役に立つこともあった。


旅の中で彼女が新しく得た、魔女になる為に役立ちそうな知識の最たるものは目に見えない力のことだった。


旅の途中、そういった力を使える人から、所謂手当てという手のひらから目に見えないエネルギーのようなものを出す行為をされて、彼女の胸は今までにないぐらい踊った。


目に見えない力を使った人に道理を聞くと、今まで知らなかったのが嘘のように腑に落ちた。


説明を受けた彼女の解釈は次のようなものだった。


宇宙には全てのエネルギーがあり、人間は自分が意識の力で張ったアンテナにより宇宙から自分に合ったエネルギーを受け取っている。


それとは別で人間の身体の中にはエネルギーを生み出す装置のようなものが眠っていて意識の力でそこからエネルギーを引き出せるというもの。


意識的であれ無意識状態であれ、人間はそれらの影響をうけて生体エネルギーを纏っているというものだった。


手のひらから目に見えないエネルギーを出して、人の身体やエネルギーの流れに滞りのある箇所を癒すというのは、ただそこに手を当てるだけで、誰でも無意識にやることで、怪我や病気を治すことを手当てというのは文字通りそこからきているものだと知った。


魔女になるためにまだまだ出来ることがある。


彼女はそのことがたまらなく嬉しかった。


彼女は、手当ての道理を教えてくれた人に弟子にして欲しいと頼んだものの、その人からはまだ自分は人に伝授できるだけの段階にいないといわれ、ただ後々役に立つであろう瞑想の仕方なら教えれると言われた。


それは自分自身にまつわる3つのものの観察者となるというものだった。


3つのものとは想念、呼吸、身体の感覚のことで、それらを常に観察し続けることで、自分自身のことを理解する力を身につけられるようになるということだった。


それを聞いて彼女は、本当は目に見えないエネルギーを使える方法がすぐに知りたいと思ったが、確かに人智を超えた力を使う為には自分自身のことを詳しく知る必要がありそうだと彼女はすぐに思いなおした。


まずは出来ることから外堀を埋めていくスタイルがすでに定着していたからである。


そして同時にこの出会いをもっと活かしたいと思った彼女は、せめてその瞑想のことをもっと詳しく教えて欲しいと懇願した。


その日から彼女は手当てをしてくれた者から瞑想の手ほどきを受けることとなった。


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