魔女になるにはどうしたらいいの?
魔女に憧れた1人の女がいた。
その女は物心ついたときには既に魔女になるべく人生の時間を使うことを決めていた。
幼いときに親に読んでもらった絵本でも魔女が登場するものしか興味がなかった。
幼い彼女は魔女のトレードマークともいえるつばの広い黒いトンガリ帽子を親に買って貰って何処に行くにもその帽子を被っていった。
その後成長していくに従って魔女に関する知識は増えたものの、それらはどれも創作された物語りだということが分かってきた。
それでも共通点がある以上、現実的なモデルを元に作られていると少女は考えた。
物語りでは大抵の場合、敵対するものに嫌がらせをする自分勝手なキャラクターなことが多かった。
中には箒に乗って宅配便をして人の役に立つ物語りもあったが、それでもどうやって魔女になるのか、現実的な道を示してくれているものはなかった。
いつまで経っても魔女に憧れている少女を心配した少女の父親は、魔女は物語りの中だけの想像上のキャラクターだということを伝え、魔女っぽい能力や知識を身につける為の教科書や学校は現実には存在しないから魔女になるのは諦めろと言った。
それを聞いて酷く落ち込んだ少女を憐れんだ少女の母親は、教えて貰えないなら、一から手探りで進むしかないし、それも面白いんじゃないかと言って、その場凌ぎで励ました。
その言葉を鵜呑みにした少女は希望に胸を膨らませ、自身が魔女になるために出来ることを現実的に考えていくことにした。