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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第四章 一時の再会
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気が付いたらこんな時間ってよくある

 現状確認するために移動するのは良いのだが、問題はどこに向かえば良いのか、がわからない事だ。

 それに、俺は気絶して運び込まれたため、この部屋がどこのあるのかもわからない。

 城内は広い。

 普通に歩いているだけでは、きっと辿り着けないし、迷う。


 でも、よくよく考えてみれば、そこら辺が杞憂である事に気付く。

 実際にここまで来た二人が居るのだから。

 そう思って尋ねると、二人は恥ずかしそうに言う。


「案内されたけど、明道に会えると前しか見えていなくて……」

「意識が明道の安否に向けられていたため、それ以外は……」


 ありがとう、と嬉しく思うべきか、どれだけまっしぐらだよ、と突っ込むべきか……悩む。

 いやいや、待て待て。

 考えてみれば、もう一人居るじゃないか。

 バッ! ともう一人に視線を向ける。


「エイトに地図作製機能はありません。ですが、どれだけ離れていてもご主人様のところに戻るための、自動追尾機能は完備しています」


 帰巣本能かっ!

 どういう基準でエイトを造ったのか、神様たちに問いたい。


「いや、それは置いといて、普通に飲み物とか持って来ていたよね? だったら、どこに何があるかくらい」

「隣の部屋に簡易台所がありますので、そこで用意しました」


 これだから無駄に広い城はっ!

 そういうところばっかり力を入れて!


 ……こうなると、こんな事で頼りたくはなかったが。

 セミナスさん! お願いします!


⦅ふふふ……こうしてマスターは、私なしでは生きていけなくなっていくのです⦆


 やっぱなしで。

 アレだね。

 もっと自主性を大事にしていかないと。

 自らの力で困難を乗り越える事によっても、人は大きく成長出来るのだから。


⦅さすがです、マスター。正にその通りなのです。私に頼るばかりでは、マスターの成長は見込めません。自らの意思で進む道を選ぶ事が重要なのです。その事に気付いて頂くために、私はあえて先ほどのような発言をしたのです⦆


 ………………。


⦅………………⦆


 建前を取っ払うと?


⦅良い感じにマスターが私なしでは生きていけなくなりそうでしたので、つい本音が。……失言でした。マスターに隠し事は出来ませんね⦆


 ……危険じゃない? このスキル。


⦅120%の優しさで出来ています⦆


 きっと、上限が1000%とかなんだろうな。


⦅………………⦆


 ………………。

 よし、とりあえず、このまま足をとめていても仕方ない。

 行動を起こさないと始まらないのだ。


 という訳で、詩夕、常水、エイトを連れ立って歩を進める。

 まずは直ぐそこにあるT字路を曲がって――。


「「あっ」」


 エイトじゃない、この城に勤めていると思われるメイドさんとエンカウント。

 なんでも、詩夕、常水が来た事で、俺が起きたんじゃないかと様子を見に来たそうだ。

 ついでに、起きていれば連れて来て欲しいと、アドルさんにお願いされたこの国の王様に言われている、と。


 アドルさん、何者? は、本人から言われるのを待つとして、さっきの俺の決意は一体……。


⦅マスター。先ほどの私の発言は、こうなる事を見越して上での遊び心です⦆


 でしょうね!

 余計にたちが悪い。


 大人しく、メイドさんの案内に従った。


     ◇


 案内してくれるメイドさんのあとを付いて行く。

 ……あれ? どうしてまだ階段を上がるのかな?

 さっきから上がっているけど……。

 というか、結構な高さまで上がったけど……こういうところの高い場所って、大抵の場合は王族とかが住んでいるところだと思うんだ。


 ……ちょっと落ち着かないから、下に行かない?

 騎士や兵士が利用する食堂とか、青空の下とか、そういうところで話を聞けば気持ちが楽になると思うんだけど、どう?


「……」


 案内してくれるメイドさんにそう提案してみるが、ニッコリと笑みを返されるだけ。

 手強い。

 それに、なんで詩夕と常水は普通なの?


「どう考えてもこれから王様とかと会うっぽいのに、二人は平然とし過ぎじゃない?」

「「……」」


 ニッコリと笑みを返された。

 まるで、そういう立場の人とよく会っているから慣れた、みたいな印象を受ける。

 ……もしかして、そんな頻繁に王族クラスと会っているの?


 あっ、そういえば、さっきの話の中で、先生に惚れたお姫様が……と考えていると、メイドさんの足がとまり、こちらです、と言って扉をノックし、中から返事がすると同時に扉を開けて、どうぞと俺たちを促してくる。


 どうも、と一礼して室内に。


 高そうなテーブルとソファに、甲冑、本棚、なんか縦長い壺、でっかい机などなど、色んな物が置かれている上に、アドルさんたちだけじゃなくて色んな人たちが室内に居るけど、それでも狭苦しさは一切感じないくらいに広い部屋だった。

 何この部屋?


⦅王が使用する執務室です⦆


 ほらぁ、やっぱり、そういう部屋に通されるでしょ?

 堅苦しくなるから勘弁して欲しい。

 何より、礼儀とか求められても困るんだけど?


⦅問題ありません。以前にも言いましたが、私を使っているマスターが頂点です⦆


 そんな訳がない。

 どうしたものかと思っていると、声がかけられる。


「やぁ、やっと英雄が目覚めたね」


 カノートさんだった。

 う~ん……この人が豹変したのか。

 見てみた、ちょっと待って。


「……英雄?」


 誰が?

 後ろを確認。

 俺を指差す詩夕と常水が居た。

 なんか行動が読まれていたっぽい。


 エイトは普通に控えている。

 俺もそのポジションに居たい。


「……俺が、ですか?」


 自分を指差しながら、カノートさんに確認。

 そうだよ、と頷かれる。


「当然だろう。私たちはアキミチの指示に従ったに過ぎないのだからな」

「そうですよ。アキミチはこの国を救ったのですから、この国の人たちから、英雄と呼ばれてもおかしくありません」

「そうそう。誇って良い事だからね!」


 アドルさんたちがそう言いながら、こちらに来る。

 いやいや。

 俺の指示じゃなくて、セミナスさんの指示なんですけど?


「……あれ? やっと目覚めた?」


 なんかそこに引っかかるんだけど。

 すると、アドルさんが教えてくれた。


「どうやら気付いていないようだが、謁見の間でアキミチが大魔王軍と戦ったのは、もう一昨日の出来事だ」


 ……一昨日?

 で、俺は今日まで寝ていた、と。

 ……なんだってそんな事に?


⦅武技の影響です⦆

「……武技の?」


 その呟きに、カノートさんが笑みを浮かべる。


「そう。あの武技のおかげで、私は助かりました。本当にありがとうございます」

「いえいえ」


 カノートさんが頭を下げるので、俺もぺこりと頭を下げた。

 けれど、そのカノートさんから注意を受ける。


「ですが、どうやらあの時が武技の初発動だったようですね。でしたら、先達として教えておきましょう。武技は確かに強力ですが、その分、体力の消耗が非常に激しく大きいですので、使いどころは気を付けるようにして下さいね」

「はい。気を付けます」


 そういえば、そんな事をセミナスさんが……でも、まさか、こんなに寝入ってしまうとは。


⦅今回は特例みたいなモノです。何しろ、スタミナがほぼ空っぽの状態でしたので⦆


 なるほど。

 ………………でもなぁ、なんとなくだけど、この武技って緊急時に使うようなヤツだから、またギリギリで使って気絶しそうなんだよね。

 まぁ、その辺りの判断はセミナスさんが完璧だから、慣れない内は任せた方が良いのかもしれない。


⦅大丈夫。怖くありません。私に全てを委ねなさい⦆


 不安しかない。

 もっとスタミナ付けないと、と心の中で思う。


 そして、この部屋の中には、アドルさんたち、カノートさん以外の人たちも居る。

 具体的には、頭に王冠を載せた人と、姫様っぽい人が二人に、事前情報通りに髪と目の色が違う先生と、グロリアさんの五人。

 グロリアさんと先生は別に良いけど、王族っぽい人たちは緊張するなぁ……。

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