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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第一章 始まりの始まり
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黒い神殿に入ります

 森の中にある、真っ黒な神殿に向けて進む。

 途中、何か膜のようなモノを越えた感触があった。

 ……うぇ、何か感触的に気持ち悪っ!


 少し嫌な気分を味わいながらも、荘厳な扉を開いて神殿内の様子を確認する。

 神殿自体が真っ黒だし、中も真っ暗なのかな? と思ったのだが、壁の一部が光っていたので、それなりに明るい。


 大丈夫かなぁ……と恐る恐る入るが、特に何かが起こる事はなく、大して広くなかったので、内部は直ぐに把握出来た。


 ……何もない。

 そんな内部だった。

 ただ一ヶ所だけ、少し奥に進めば、下へと続く階段があったので、そこを進んでいく。


 階段を下りきって直ぐの突き当りにあったのは、幾何学模様が描かれた扉。

 その模様は、魔法陣のようにも見える。


 ………………ここかな?


 何かしらの抵抗があるかと思ったが、ゆっくりと扉を開く事が出来た。

 あとは神を復活させるだけ。

 なんだ、楽勝じゃないか。

 そう思ったのが、きっとフラグだった。


 思い返せば、行って帰るだけなら鍛える必要なんてない。

 予言の神の指示で俺を鍛えたという事は、それはつまり、そこに戦う相手が居るという事である。


 扉を開けた先にある部屋の中に、魔物が居た。


「………………」


 その魔物は、牛頭人身の、俺の1.5倍くらいはありそうな巨大な体躯……確か、ミノタウロスと呼ばれる存在があぐらをかいていた。

 近くに巨大な斧が置かれているのも気になるが、もっと気になる事がある。


 そのミノタウロスは、首から光り輝く玉を下げていた。

 ……もしかして、あれに神が封印されているのだろうか?

 そこそこ広い室内を見回すが、それらしいのは他に見当たらない。

 となると、と再度確認しようとすると、ミノタウロスと目が合う。


「………………」

「………………」


 どもっ! と少し頭を下げると、向こうも下げてくれた。


「………………」

「………………グォ?」


 バタン! と急いで扉を閉じ、階段を駆け上がって、アドルさん達のところへと戻った。


     ◇


「いやいやいやいや、無理無理無理無理!」

「……随分と早い帰りだが、そう慌てるな。落ち着け。一体何があったのだ?」


 のんびりティータイム中だったアドルさんたちに、神殿に入ってからの事を教えていく。

 聞き終わると、アドルさんたちは考え込む。


「……なるほど、ミノタウロスか。恐らく、首から下げているという光る玉に、神が封印されているのは間違いない」

「ミノタウロスですか。懐かしいですね」

「追い回していた日が懐かしいですねぇ」


 アドルさんが神妙な顔付きを浮かべる中、インジャオさんとウルルさんは昔を懐かしんでいた。

 あれを追い回していたとか……改めて、アドルさんたちが凄いという事がわかる。

 もうアドルさんたちがどうにかしてくれないだろうか。


 ……あっ、駄目だ。

 神殿に入れないんだった。


「インジャオ。率直に考えてどう思う? アキミチはミノタウロスに勝てるか?」

「無理ですね」


 即答!

 いや、俺も無理だと思う。


「確かに当初よりも強くはなっていますが、恐らく何かしらの攻撃系スキルを得ていても初心者レベルです。自分達が手伝えない以上、単独で挑むのならもっと時間が欲しいところですね」

「そうなると、作戦が必要だな。ウルル、時間はどれぐらい残っている?」

「予言の神が提示したのは、明日の昼までです」

「……猶予は大体丸一日か」


 アドルさん達が神妙な顔を浮かべるが、俺は聞き逃せない事を尋ねる。


「え? 時間制限付きなの?」

「ん? 言っていなかったか?」

「うん。聞いてないけど」

「「「………………」」」

「………………」


 アドルさんたちが、やっちまったと手で顔を覆う。

 いやいや、ちゃんと説明をお願いします。

 説明を待っていると、気を取り直したアドルさんが話してくれる。


「予言の神の話によると、明日の昼までに、ここに封印されている神を復活させないと……アキミチの友達が死すると言っていた」

「………………」


 ………………。

 全く……予言の神を絶対復活させて、文句を言ってやる。


「……今更ながら、すまんな。このような役目を押し付けて。本当に申し訳ない」


 どんな文句を言ってやろうかなと考えていると、アドルさんがそう言って頭を下げ、インジャオさんとウルルさんも同じように頭を下げる。

 ……いや、別にアドルさんたちに怒っている訳じゃないんだけど。

 それに、召喚された親友たちを、こうして助ける事が出来るんだ。

 やらない訳がない。


「頭を上げて下さい。予言の神に文句は言いたいですけど、アドルさんたちには感謝しかないです。目的はあっても、こうして色々と助けられていますし……俺たちは互いの存在が不可欠な協力関係なんでしょ?」


 笑みを浮かべてそう言うと、頭を上げたアドルさんたちも笑みを浮かべる。


「ふっ。確かにその通りだ。私たちにアキミチが必要なように、アキミチにも私たちが必要なのだ」

「仲間って事ですね」

「これからも、互いに宜しくお願いします」

「それじゃ、俺の力じゃ、もう時間は余りないだろうし、何でもやるから、間に合うように勝たせてくれ」


 任せろっ! とアドルさんたちが親指を立てる。

 そして、作戦を立てていく。


「とりあえず、足りない力は装備で補おう。ウルル、何か使えそうなのはあるか?」

「そうですねぇ~……」


 ウルルさんが荷物の中を漁る。

 服だけじゃなく、そこら辺も用意していたのか。

 すると、取り出した袋の中から長剣を何本も取り出して、吟味を始めた。


「う~ん……これだと重いし、これだと長過ぎる」

「いやいやいやいや、ちょっと待って! 明らかに袋よりも長剣の方が長いし、そんなに何本も入らないよね?」

「あぁ、それは『アイテム袋』という魔導具だよ。簡単に言えば、見た目以上の収納力があるんだ」


 インジャオさんが説明してくれる。

 うん。便利道具って事だね。


「でも、こういうのって希少なんでしょ?」

「いや、普通に一般に出回っているけど」


 ………………。

 う~ん……普通はこういうのって希少なはずで、それで驚いたり、使う時は注意しようってなるはずなんだけど………………まぁ、これがこの世界の基準という事で受け止めておこう。

 未だ森の中しか歩いていないけど、もしかしたら思っている以上に文明が進んでいるのかもしれない。

 まだ見ぬ町に興味をそそられつつ、アドルさん達と、ミノタウロスに勝つための作戦を煮詰めていった。

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