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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第三章 ラメゼリア王国編
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もう発表会とは言えない

 武技の神様が「神気解放」した事によって、自分が神様であると証明した。

 普通は跪くモノだと思うのだが、首謀者の一人であるウラテプを含めて、何故か跪かない人たちが居る。

 しかも、その跪いていない人たちは、どことなく変だ。


 こう……普通というか、記憶に残らないような感じ……みたいな。


⦅意図的にそうしている訳ではありません。偶然の産物です⦆


 偶然の産物? と疑問に思っていると、ウラテプの視線が気になった。

 ウラテプは、俺たちを見るのではなく、跪いていない人たちの中で一番近い人に視線を向けている。

 その視線が、何故跪いていないのかと疑問に思うのではなく、まるで助けを求めるようなモノなのだ。


⦅人の姿に化けてみたものの、アレが限界だったのです。ですが、その限界が功を奏して、印象に残り辛くなっている、という訳です⦆


 ……それってつまり。

 ウラテプが視線を向けている者を見る。

 そいつは、俺の視線に気付くと気味の悪い笑みを浮かべた。


「……まさか。まさかまさか。ここで神の登場とはな。計画は最終段階に入ったというのに、まさかここで邪魔が入るとは。だがまぁ、念のために私が出張っていたのだから、何をしようが結果は変わらないが」


 そう言って、そいつが前に出て来る。

 跪いていない者たちも、連動するように前に出て来た。

 ウラテプが、これで安心だと、ホッと安堵しているのが気になる。


 それらを踏まえて、セミナスさんの言った事を加味すれば……。


「………………大魔王軍か」


 自分で言っておきながら、ゴクッと喉が鳴る。

 そいつ……いや、そいつらの笑みが深くなった。

 脊髄反射のようにビビッと体が反応する。


「王様! お姫様! 立ち上がって、こっちに! 騎士たちも王様とお姫様を守るために立ち上がって下さい!」


 俺の言葉をしっかりと聞いていたのか、王様たちが即座に行動を起こす。

 立ち上がって俺たちの後方に移動し、騎士たちが守るように追随する。


 ちょっと待って! 違う違う!

 俺を盾にするように前面に出さないで!

 寧ろ、俺を中心にした陣形にして!


 そう思うのだが、既に一番前。

 商売の神様と武技の神様は、俺を掴んで盾のようにしている。

 ……お前ら。それでも神様なのかよ!


「私に戦闘能力を求めるな」

「サポートなら任せて」


 まともに戦える神様がこの場に居て欲しい。

 まだ解放されていないけど。

 となると、残るはエイトだが……。


「どうかしましたか? ご主人様」


 見た目的に頼るのを躊躇ってしまう。

 いや、確実に俺よりも圧倒的に強いんだけどね。

 けれど、万が一の場合を考えると、強いからこそ、エイトには神様たちを守って欲しい。

 正直なところ、自分一人を守るので精一杯である。


「エイトは、神様たちをお願いね」

「嫌です」


 即拒否。

 えええ……と、俺と神様たちがエイトを見る。


「エイトは、ご主人様を守る事が最優先事項です。こんな役に立たない神など放っておいても良いのではないかと進言します」

「あれぁ? 確かこの子、造形の神辺りが造った神造生命体の一体だよな? 資金資材集めで協力した覚えがある。……え? なのに?」

「ちょ、この子、口が悪くない? 僕たちが役に立たないって失礼だと思うけど!」

「では、これからの状況の解決はお任せします」

「「………………」」


 商売の神様と武技の神様が黙ってしまった。

 う~ん……ぐぅの音も出ないって感じ。

 すると、商売の神様と武技の神様が、エイトに向かって頭を下げる。


「「宜しくお願いします!」」

「………………仕方ありませんね。ご主人様からもお願いされましたし、今回は特例とします」

「「ありがとうございます!」」


 う~ん……エイトといい、セミナスさんといい、神様が造り出した存在が、明らかに神様よりも上位の立場になっている。


⦅そんな私と汎用型を使うマスターは、更に上位という事になりますね⦆


 恐ろしい事を言わないで欲しい。

 ただの一般市民だよ、俺は。


「話は纏まったか?」


 ウラテプが視線を向けていた者がそう言う。

 ……纏まらなかったら、纏まるまで待っていてくれたのかな?

 しまった。良い時間稼ぎが出来ていたかもしれないのに。

 ……まぁ、そんな訳はないけど。


 でも、その問いに誰も答えない。

 ……気になって後方確認。

 エイト、神様たち、王様たちの全員が、俺を見ている。


 ………………。

 ………………。

 黙って自分を指差す。

 そうだ、と無言の頷き。


 これは仕方ないと、俺は答える。


「なんか俺が矢面に立つとかありえないから、ちょっと相談してくる。つまり、話は纏まってないから、もう少し待って」


 よし。これで時間稼ぎが出来る。

 アドルさんたちが来るまで――。


「まぁ、関係ないがな」

⦅マスター、しゃがんでバックステップ⦆


 セミナスさんの指示通りに動く。

 すると、俺の頭があった場所に、ウラテプが視線を向けていた者の腕があった。

 えっと……もしあのまま頭があった場合、貫かれていたという事になる。

 ………………。


「いきなり何するんだ! 危ないだろ!」

「これは異な事を言う。私たちは大魔王軍。君たちの敵だと思うのだが」


 くっ、正論を。

 悔しがっていると、目の前のそいつだけじゃなく、跪かなかった者たち全員が胸元を乱暴に開ける。

 ……露出趣味? と思ったが、そうじゃなかった。

 全員が黒い玉を嵌め込んだペンダントをしていて、それを無理矢理引き千切ったのだ。


 同じデザインの物を身に付けるなんて……仲良しなんだな。


⦅違います⦆


 すると、変化が起こる。

 こっち側じゃなくて、向こう側で。


 肌が徐々に黒くなっていき、そのまま全身が真っ黒に。

 身に纏っている服が破れるほどに体付きも大きくなって、腕が異様に長くなり。

 人の顔が崩れて、獣のような顔になって角が生え。

 そして、背中から蝙蝠のような翼と、先の尖った尻尾が出現する。


 その姿形を言葉にするなら……。


「………………悪魔デーモン

「フフフ……正解です」


 目の前に居る、俺を襲ったヤツが、そう答える。

 あっ、良かった。当たっていて。

 思わず呟いちゃったけど、これで間違っていたら、ちょっと恥ずかしいところだった。


 でも、目の前のヤツだけは、他のとは違っている。

 他のが二枚羽なのに対して、四枚羽だった。


⦅目の前の悪魔が、大魔王軍側の首謀者です⦆


 なるほど。

 つまり、今回の出来事は、目の前の四枚羽とウラテプが共謀して起こした出来事という訳か。

 なら、その目的は?


 いやまぁ、大魔王軍としては、一国が落ちる事だからわかる。

 それが三大国の一つなら、尚更というモノ。

 でも、ウラテプがそれを共謀する理由がさっぱりわからない。

 ……まぁ、あとで捕まえて聞けば。


⦅俗に言う、世界の半分をやろう的な言葉に賛同したのです。実際は、この国とそこに居る姫を欲して、ですが⦆


 ………………聞くまでもなかった。

 サラッと敵側の内情を教えてくれるセミナスさん……恐ろしい。


 ………………。

 ………………。

 さて、そろそろ現実を見るか。


 この位置、今の逃げられない状況……それと、セミナスさんが言っていた、物怖じしないためという事を加味すれば……つまり、これから俺は、目の前の四枚羽とやり合うんだね?


⦅はい。もしくは、イエス⦆


 うん。全肯定って事だね。

 覚悟を固めるしかない、か。


「ここまで時間をかけた計画を潰してくれたのですから、君は私自らが惨たらしく殺してあげましょう」


 四枚羽が俺を指差しながらそう言う。

 勘弁して欲しい。

 惨たらしくじゃなくても良いんじゃないかな?


⦅ファイト⦆


 もっと感情を込めて言って!

 いや、違う!

 ちゃんと生き残れるように指示出してよ!


「さぁ、皆殺しにしろ」


 四枚羽の指示で、二枚羽たちが飛び上がって襲いかかってきた。

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