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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第三章 ラメゼリア王国編
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イチャイチャしてません

 エルフの里を出て……森の中で五色葉を手に入れ……迷ってから森を出て……辿り着いた村に居たインチキ手品師は逃げたけど、商売の神様を解放して……神殿遺跡でエイトが加わり、魔法使い部隊を壊滅、と。


 そして遂に……この国の王都に、これから行きます!

 王都……こちらの世界風に言うなら首都!

 首都………………つまり、都会かっ!


 きっと文明の香りがする、素敵な場所なのは間違いない!


⦅妄想激しいですが、マスターが思っているような場所ではありません⦆


 え? 違うの?


⦅正確に言うのであれば、確かにこの世界の中では都会です。ですが、マスターが思い描いている都会は元の世界の光景ですので⦆


 あぁ、なるほど。

 確かに基準を元の世界にしちゃいけな、ちょっと待って。

 今、俺が思い描いた光景って言った?

 それってつまり、セミナスさんはそういうのも見れるって事?


⦅………………⦆


 黙っちゃったよ。

 つまり肯定って事だよね?


⦅そうですね。認めましょう。事前にお伝えしておくべきでした。申し訳ございません⦆


 ……いや、そう素直に認められて謝られると、こちらとしても対応に困るというか。


⦅今後はこういう事がないように、鋭意努力させて頂きます⦆


 ……んん~、その鋭意努力はアレだよね?

 結局出来ませんでした、てオチの鋭意努力だよね?


⦅それでは、次に向かうのはここラメゼリア王国の王都です。特に指定はありませんので、そこの吸血鬼に案内して頂いて下さい⦆


 どうやら、答えるつもりはないらしい。

 濁した、とも言える。

 ………………。

 ………………。


⦅マスター、それらの妄想は版権に引っかかる可能性大ですので自粛して下さい。あと、私が出ていない妄想は却下です⦆


 普通に見ているよね!

 さっき、鋭意努力するって言ったばかりなのに!


⦅それでは、次に向かうのは⦆


 それもさっき聞いた!

 駄目だ。これは認めそうにない。

 このままだと会話が終わりそうにないので、一旦視線を周囲に向けた。


 既に神殿遺跡から少し移動し、アドルさんが言うには街道に出ている。

 そのアドルさんとインジャオさん、ウルルさんが、ニマニマと笑みを浮かべて俺を見ていた。


「……えっと、何か?」

「こちらに気付いたという事は、セミナスさんとの会話が終わったという事か」

「はぁ」

「会話の内容はわかりませんが、楽しそうでした」

「……は?」

「つまり、傍から見るとイチャついているようにしか見えなかったって事だね!」

「………………はあああぁぁぁ?」


 いやいや、どこをどう見たらそうなるの?


⦅ふむ。獣人メイドの評価を一段階……いえ、二段階上げておく事にします⦆


 なんか上がった!

 上がった事による効果はあるのだろうかと考えていると、エイトが俺の服を引っ張っている事に気付く。


「……えっと、なんとなく想像がつくけど、どうかした?」

「ご主人様が考えている通り、エイトは『対大魔王軍戦用殲滅系魔導兵器』において、八号機になります。他の七機は全て『特化型』。七機という事でわかると思いますが、それぞれが七つある魔法属性の一つに精通しています」

「うん。全然考えている通りじゃな……想定通りだね」

「さすがご主人様です」


 エイトがうんうんと頷く。

 なんとか体面は保てたようだ。

 しかし、いきなり真面目な事を言うとは思っていなかったので危なかった。

 もっとこう、エイトともイチャイチャして下さい、とかそういう事を言うもんだとばかりに……。


「ご主人様。エイトとのイチャイチャは、夜に激しくお願いします」

「うん。しません」


 おかしい。

 口に出していないのに、何故こうも的確なのか。

 それと、アドルさんたちの表情が露骨というか、まるで初々しい恋人たちの照れて素直になれない態度を見て微笑ましくなる大人、のようにニマニマしている。


 おかしい。

 そんな要素は一切なかったはずなのに。


「………………」


 仕方ありませんね。でも、エイトはご主人様のそういう素直になれない部分もわかっていますよ、とでもいうような表情を浮かべるエイト。

 うん。わかってない。

 少しもわかっていない事に気付いて。


 多分、今は何を言っても無駄なので、さっさと先に進む事にする。


「えっと、アドルさん」

「………………拒否する」

「え? まだ何も言って」

「アキミチよ。きちんと言っていなかった私が悪いかもしれんが、私は妻帯者だ。妻を心から愛している」

「……はぁ。え? 何を言って」

「つまり、いくらアキミチが私とイチャイチャしたいと思っていても、それは出来ないとハッキリ言っておこう」

「違うわっ! どういう流れでそういう流れになるんだよ!」


 怖い! アドルさんの思考回路が怖い!


「いや、冗談のつもりだったのだが……」

「………………」

「………………」


 俺は無言で誘導するように視線をずらす。

 視線の先では、エイトとウルルさんがワクワクしながら俺とアドルさんを見ていた。

 明らかに冗談が通じていないのが居て、俺の視線を追ったアドルさんが頭を抱えたのがわかる。

 インジャオさんは一切関わらないと場の空気に徹していた。


⦅マスターが望むのであれば、略奪愛ルートがないか模索しますが?⦆


 俺も頭を抱えたくなった。

 とりあえず、セミナスさん、エイト、ウルルさんに冗談で誤解だと説明する。

 セミナスさんは無言で、エイト、ウルルさんは、それはそれでつまらない、みたいな表情を浮かべた。


 ……こいつら。


「だったら、過程の話だけど、エイトとウルルさんがそういう目で見られたら、どう思うの?」

「エイトはご主人様だけです」

「私はインジャオ一筋だから」


 駄目だ。話が全く通じない。

 ちなみにセミナスさんは?


⦅もちろん、私の心はマスターと共に。ですので、私の意に反する敵には、全能力フル活用の徹底抗戦の構えを取らせて頂きます⦆


 本気を感じた。

 そうなったセミナスさんは敵に回したくない。


 ただ、もうこれ以上はどうしようもないと結論を出して、話を先に進める事にした。

 だからインジャオさんもこっちに来て交ざろう?


「アドルさん。セミナスさんによると、これからこの国の王都に向かうそうで、アドルさんに案内して貰えという事ですけど」

「あぁ、問題ない。何度か訪問しているし、道案内なら任せてくれ」

「ラメゼリア王国の王都ですか……随分と久し振りですね」

「何人か知り合いが居るけど、ちゃんと生き残って元気にしているのかなぁ……」


 ウルルさんの言葉に、アドルさんとインジャオさんがそういう相手を思い出したのか、大丈夫だろうかと唸り出した。

 そういう姿を見せられると……俺も親友たちの事が心配になってくる。


 悪い方にも考えそうだから、なるべく考えないようにしてきたけど……本当に大丈夫なのだろうか?

 ちゃんと元気にやっているのかなぁ……。

 思い返せば、親友たちとこんなに長い期間会わないのは初めてだ。


⦅全員無事ですので安心して下さい⦆


 という事らしいが、どうにか一目だけでもその無事な姿を見たいもんだ。


⦅………………⦆


 ……あれ? セミナスさんが黙っちゃった。

 どうしたのだろうと思っていると、エイトが俺の服を引っ張り出す。


「どうしたの?」

「出発しないのですか?」

「「「「………………あぁ!」」」」


 アドルさんたちと揃って、ポンッ! と手を打つ。


「えっと、つまり王都までの道案内は問題ないって事で良いんですよね?」

「任せろ。というよりは、この街道をあちらに向かって進んでいけば辿り着ける」


 アドルさんが進むべき方向を指し示しながら言う。

 なるほど。あっちね。


 この国の王都に向けて出発した。

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