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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十四章 大魔王
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自分で言っていきたい時もある

 つまり、元々大魔王ララは狂っている訳ではなく、これまでその身に宿った邪神に対抗していたという事……だよね。


(はい。その通りです。ですが、対抗といっても、精々が完全に支配されないようにするための抵抗、でしょうか。結果としては、造られてからの大半は乗っ取られていたようなモノです)


 まぁ、過去で相当暴れていたようだしね。

 それで、大魔王ララの体が損傷したから魔王リガジーの体の方に邪神が移ったと思ったけど、大魔王ララの話によると、それが本来の目的だった、と。


(はい。リガジーがあれだけ戦闘向けの体格になったのは、邪神の思惑なのは間違いありません)


 まぁ、その目的は考えるまでもないか。


⦅自らを倒した神と竜への復讐。それと、世界の破壊でしょうか⦆


 やっぱりセミナスさんもそう思うんだ。

 しかしまぁ、復讐しようとするために強い体を求めたというのはわかるけど、なんだってこう、ああいうタイプって世界を壊したがるんだろうか?


⦅理由を求めてはいけません。そういう存在である、という認識で充分です⦆


 そうね。

 それに、これで明確な終わりというか、最終的な敵が大魔王ララではなく、邪神だという事はわかった。


 ………………あれ? セミナスさんはこの事、前からわかっていたの?


⦅いえ、残念ですが……そう、非常に残念ですが、そこに居る大魔王がマスターの中に入ってきた時にわかりました⦆


 え? そうなの?

 てっきり、もちろんわかっていました、とか言うと思っていた。


⦅マスター。確かに私は万能です⦆


 あっ、自分でそういう事を言っちゃうのか。

 いや、俺もそう思うけどね。


(先輩。そういうのは自分で言わない方が良いのでは?)

⦅黙りなさい。私は自ら言っていくスタイルですので。ただ、邪神に騙されていたのも事実。誤った未来を見せられていたのは確かです⦆


 という事は、今は正しい未来を?


⦅………………⦆


 あっ、前にもあったけど、妨害されているのね。

 つまり未確定。

 邪神も神なのは間違いないし、妨害されても仕方ない。


 ……あれ? でもそれって、セミナスさんの存在が把握されているって事?


⦅いえ、その可能性は今のところ低いです。おそらく、神に対するいくつもの対策を打っていて、その内の一つに引っかかってしまった、というところでしょうか⦆


 なるほど。

 とりあえず、セミナスさんの存在がまだ把握されていないのなら、勝ち筋はあるって事だよね?


⦅当然です。そもそも、負けるつもりは一切ありません⦆

(もちろん、私も協力させていただきます)

⦅別にあなたの手を借りる必要はありませんが?⦆

(ですが、これまでの情報を精査すると、私が来た事によって、邪神の存在に気付いたという事ですよね?)

⦅………………マスター。私には邪神よりも先に殺らねばいけない相手がいるようです⦆


 せめて、邪神を倒すまでは仲良く……協力してください。


⦅仕方ありませんね。それと、大丈夫だと伝えてください⦆


 伝える? と思っていると、詩夕から声がかけられる。


「明道! もういける?」

「あぁ、大丈夫」


 詩夕がわざわざ声をかけてきた理由は直ぐわかる。

 一応魔王リガジーだったモノ――いや、邪神からの攻撃を受けてはいたけど、そこまで意識は集中していなかった。


 体はほぼ自動反応オートというか、セミナスさんの指示通りに動いていたけど。

 意識して見れば、状況がよくわかる。


 どちらも大した傷は負っていない。

 そこは先ほどまでと同じだ。

 ただし、俺の防御頻度が下がったために、ドラーグさんの負担がかなり大きくなっている。


 骨が砕けるとか、ひび割れているとか、そういう事はなさそうだけど、疲労しているのが見てわかった。

 ……やっぱり、骨だけだから体力がないんだろうか?

 特に今は、邪神の攻撃を受けるとなると相当神経使うだろうし、消耗具合もいつもより大きいだろう。


 ドラーグさんに負担してもらった分以上に、セミナスさんの指示の下、邪神からの攻撃を防いでいく。

 その隙に詩夕たち、エイト、シャインさんが攻撃を放ち続けるが……未だ直ぐ治るかすり傷を付けるので精一杯のようだ。


 それは、邪神の方にも言える。

 ドラーグさんの頑張りで、傷を負う事はあっても致命傷ではなく、即回復出来るレベルで抑えられていたし、俺が加わればその頻度が下がるのは間違いない。

 今は俺が頑張るので、ドラーグさんには少し休んでもらおう。


 そうしてやり合う中で、どうにか得た情報を伝えたいけど……今は伝えない方が良いかもしれないとも思う。

 余計に混乱するだけだし、その事で少しでも動きが悪くなる瞬間があれば、邪神にそこを狙われそうだ。


 それに、俺の中に大魔王ララが居るって伝えるのも……ちょっと。


⦅このまま亡きモノにしてしまえば、証拠隠滅です⦆

(先輩。出来ない事を口にするモノではありませんよ)

⦅試してみますか?⦆


 はいはい。やめてやめて。

 まぁ、伝えるにしろ、伝えないにしろ、どちらにしても、邪神を倒す事に変わりはない。

 なら、終わったあとでも問題はない。


 なので、このままいって大丈夫。問題ない、と詩夕たち、エイト、シャインさん、ドラーグさんに頷きだけ見せておく。


 そのまま邪神とやり合うが、ドラーグさんの加入で、漸く一進二退くらいでやり合えるようになった。

 でも、まだ足りない。

 こちらの方が押されている現状が、多少マシになっただけ。


 しかも、ドラーグさんに疲労が見えるように、こちらは全員が連戦のままの状態だ。

 いつ疲労が表に表れてもおかしくない。

 出来る事なら、それまでにどうにか光明を……と思うのだが。


⦅申し訳ございません。未だその道筋は……⦆


 いや、防御指示だけでも充分だけどね。


(でしたら、もう一人味方を増やせば良いのでは?)


 味方?


⦅味方?⦆

(マリエムです)


 ……いや、それはさすがに無理じゃない?

 チラリと魔王マリエムに視線を向ければ、まだ結界内に居た。

 というか、身動き一つしていない。


 大魔王ララの体が抜け殻のように倒れ、魔王リガジーの体が変貌してと、突然の変化に対して呆然とした状態から、未だ脱していないようだ。


⦅そうですね。そもそも力も邪神に抜かれていますので、戦力として数える事は出来ません。というか、そもそも味方にどう引き込むつもりで?⦆

(それは、私が声をかければ)

⦅どうやって、ですか? 私と同じく、現状でマスター以外に声をかける事は出来ないですよね?⦆

(……マリエムに乗り移って?)

⦅簡単に言いますが………………いえ、そうしましょう。手伝いますよ⦆

(本当ですか、ありが……先輩。もしかして、そのまま追い出そうとしていますか?)

⦅追い出す? なんの事ですか?⦆

(マリエムには申し訳ないですが、現状でどうにかしましょう。そのための策を先輩と模索します)


 そうしてください。

 お願いします。

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