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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十四章 大魔王
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別章 人形たちとの戦い

 明道、詩夕、エイト、シャインが、大魔王城内の実験施設のような場所から出て行く。

 その姿を見送るように一瞥して確認したあと、樹は目の前の敵――人形たちに意識を集中させる。


 それは樹だけではない。

 この場に残った他の者たちも同様である。

 全員、理解していた。


 確かに、EB同盟を含めた全体的に与えるという意味で、人形たちの影響度は非常に高い。

 数が多いだけではなく、一定以上――それも強者でなければ対応出来ないレベルの強さを持ち、相当しぶとい。


 これが疲弊しているEB同盟に向かえば、甚大どころではない全滅すらあり得る。

 それでなくても現状はほぼすべてを出し切って、大魔王軍本軍と対等にまでもっていっているのだ。


 その均衡が大きく崩れるのは目に見えている。


 だからこそ、少しでも外に出さないために、ここに精鋭の中でも大勢が残ったのだ。

 全員が全員、人形たちに対して対応出来るだけの強さを持っている。


 けれどこれが個人的影響度となると、話は別。


 何しろ、精鋭中の精鋭が向かった先に居るのは大魔王。

 名が体を表すのなら、最強の存在。

 その上、未だセミナスが絶対を導き出せない存在でもある。


 ここに残る者たちと、大魔王の下へ向かった者たち。

 そのどちらが危険であるかは、言うまでもないだろう。


 正直なところを言えば、誰しもが付いていきたかった。

 しかし、ここを放置も出来ない。


 明道がここを任せたように、ここに残った者たちも、明道たちなら無事だと信じて送り出す。


 それに、言ってしまえば、ここが片付けば向かっても問題ないのだ。

 余裕が出来たところから、随時送り出せば良いだけの話。


「さっさと片付けてあとを追うぞ!」


 樹が積極的に前に出て、人形たちに攻撃を放っていく。


 何しろ、この場に残った中で人形たちに対する一番の有効である打撃をメインとしているからだ。

 それをわかっているからこそ、樹は積極的に攻撃を放ち、人形たちの動きを鈍らせていく。


 トドメに関しては、そもそもが杞憂。

 何しろ、ここに残っている者たちの大半は魔法を使える。

 しかも、人形たちを倒すのに問題ないくらいの威力を放てる者ばかり。


 魔力の残量は気を付けないといけないが、逆に言えば、そこさえ気を付ければ良いだけという事でもある。


 寧ろ、前衛の数の方が少ないのだ。

 だからこそ、数少ない前衛として、樹は奮闘する。


 偶に放った拳が人形の核に当たって倒すといった事は時折起こるが、それは幸運だっただけという認識で、気にかけずに次へと向かっていた。

 核を狙っている暇があるのなら、動きをとめる方に回った方が良いと判断しての行動である。


 ただ、前に出れば、当然人形たちからも狙われやすくなり、襲われやすい。

 けれど、そこの心配も杞憂。


 確かに前衛の数は少ないが、少ないという事は単独ではなく複数。

 何も前衛は樹だけではない。


「ふっ」


 短い息を吐くのと同時に、常水が槍を振るう。

 といっても、穂先の方ではなく石突の方。


 打突系が有効である以上、常水の槍は樹の拳と同様に前衛の主力となっている。

 樹が拳で牽制して動きをとめ、トドメを他の者に任せているように、常水も同様の選択を取った。

 いや、どちらにしろ、トドメを行う時間すら惜しいと、前衛は大忙しなのだ。


「……」


 刀璃もまた前衛。

 しかし、その様相は他の前衛とは違う。

 刀璃の表情は、ただただ面倒な、というモノ。


 それは仕方ない。

 何しろ、腕を落とそうが、足を斬ろうが、首を切断しようが、人形たちは動くのだ。

 動き続けるのだ。


 なら、斬る事に特化していて、魔法に関してはそこまでである刀璃の取った行動は……やはり切断。


 といっても、一部だけとかではなく、四肢を斬り落とすといった無力化。

 それで問題はなかった。


 人形たちの攻撃手段は、肉弾戦のみなのだ。

 各型で分けられる揃いの服は身に纏っているが、それだけ。

 武装もなく、魔法も放たない。

 ただただ相手に襲いかかるだけの人形。


 喋りもしないので、頭部を残しても問題なかった。

 近付き過ぎると噛まれる可能性はあるが、それに気付かない者はここには居ない。

 刀璃としては、前衛が少ないため、一手だけでも出来るだけ手間を減らして行動したいのだ。


 そうして前衛が人形たちの動きを一時的にとめて、そこを天乃と水連が魔法で倒すという図が出来上がる。

 天乃の闇属性魔法で全身を消滅させたり、水連の水属性魔法の全身攻撃で核破壊などによって、順当に人形たちを倒していく。


 ただ、最も手間取ったのは、咲穂。

 人形たちは矢が突き刺さろうが関係なく動く。

 どこに刺さろうとも関係ない。


 別段これは咲穂が弱いという訳ではなく、相性の問題。

 そのため、手や足に矢を射って、壁や床に縫い付けて人形たちの行動を制限させるといった方向で動いていた。


 ここで樹たちにとって大いに助けとなったのが、同じく残ったワンたち。

 その中でもワン、スリー、ファイブとシックスだろう。


 残った神造生命体ホムンクルスたち七人中、四人が前衛を行えるのだ。

 それも、並の、形だけの前衛ではなく、確かな力を持った前衛として。


「おらおらおら! さっさと潰れな! 主のあとを追わないといけないんだからな!」


 ワンの炎を纏った拳が人形を砕く。


「はははははっ! ボカスカボカスカ!」


 スリーが土属性魔法で巨大なハンマーを造り出し、モグラ叩きのように上から振るって圧し潰していく。


「圧殺! 殴殺! 撲殺!」

「消滅! 消失! 消去!」


 ファイブとシックスは、二人一緒に縦横無尽に駆け回りながら、光属性、闇属性の魔法を以って、人形たちを屠っていく。


 他のツゥ、フォー、セブンも、天乃や水連と同等の魔法を使い、人形たちを倒していた。

 その様子を見た樹は、ワンたちの強さに頼もしさを抱く。


 これならいける、と。

 そんな樹の近くにワンが来ると、口を開く。


「あたいたちを見てたって、なんの得もないぜ! あたいたちは全員主のモノだからな!」


 樹は心の中で明道に頑張れと応援エールを送る。


「それに、そっちにも動いてもらわないと困る! あたいたちは、さっさと潰して主の下へ向かいたいんだ!」

「そうだな。目的は同じだ。なら、協力し合うのは当然!」


 共通の目的を以って、双方が協力して勢いに乗り、人形たちを倒していく。


 それでも、人形は次々と追加されていっている。

 未だ、終わりは見えない。

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