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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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別章 EB同盟対大魔王軍本軍 14

 EB同盟と大魔王軍本軍の戦いは、EB同盟に解放された神々が加わり、その恩恵を得た事で五分五分の状況へと戻った。


 また、解放された神々はこれだけではない。

 戦闘を行える神は前線へと赴いたが、戦闘を行えない神は後方で自分の出来る事を行って、EB同盟を手助けしている。


「普通ならブラックは許さんが、今は何よりも様々なアイテムを前線に出さなければならない! 許せるのは一徹のみだ! それ以上は許容出来ないし、そもそも、向こうも終わるまでは襲いかかってくる以上、そう時間はかからん! 残業手当は倍出してやるから、さっさと前線に補給物資を送れ! 遅延は許さん!」


 仕立ての良い服にマントを羽織る男性――商売の神は、EB同盟と大魔王軍本軍の戦いが始まる前から、魔王マリエムを打倒したあとに使用していた城でその手腕を振るっていた。


 また、その恩恵によって商売の潤滑に回っていて、それはそのまま補給物資の確保と運搬に繋がっている。

 充分な物資があるからこそ、EB同盟は消耗を恐れずに戦えるのだ。


「………………」


 作業服を着こなしている小さな男性――鍛冶の神の役割は詩夕たちの装備を造った事で既に終わっていると言っても良い。

 しかし、そんなのは関係ないとでも言わんばかりに、魔王マリエムが居た城がある、王都内に急遽建てられた臨時の鍛冶場で黙々とその腕を振るっていた。


 口を動かす暇があるのなら手を動かせと言わんばかりに、武具を修復していく。

 その恩恵は他の鍛冶師にも届き、武具の補修は普段よりも早く仕上げられていった。


「戦いは見えないけど……様子はわかる……今」


 結界の神は、戦場にあるEB同盟本陣内に居た。

 そこが一番、戦場を見渡せるためである。


 貴族服を身に纏う少年――結界の神の役割は、命を守る事。

 やっている事は、命を脅かすような攻撃を魔物が放った場合、その防ぐ結界を張るためだ。

 試みとしては上手くいき、結界の神は数多くの者を救い、実際にEB同盟はここから一気に負傷者の数を減らしていく事になる。


 結界のスキル持ちはレアであるため、恩恵による影響は全体的ではない。

 しかし、スキル持ちが居ないという訳ではないのだ。

 恩恵によって強化された結界は、スキル持ちが居る周辺には安全地帯が確保させ、緊急離脱や前衛の入れ替えなどを安全に行えるようになった。


「それでは駄目です。こちらが薄くなり、抜かれる結果となるでしょう。だからといって、そちらを薄くするのも下策。もう少しで状況が変わるかもしれませんので、それまでは現状維持で構いません」


 ヒラヒラフリフリドレス姿の女性――予言の女神の活躍の場は、EB同盟の戦場における動きを決定付けると言っても過言ではない軍師たちのところ。

 様々な英知を持つ軍師たちであっても、未来はわからない。


 しかし、予言の女神であれば、セミナスほど正確で細かくはないが、未来を見る事は出来る。

 それで、軍師が提案する戦術戦略の成否を確認しているのであった。

 EB同盟側に勝利をもたらすために。


 また、予言の女神の恩恵は、直感などの精度にも関わってくる。

 そのため、直感スキル系のスキル持ちからしてみれば、その精度が増す事は命に直結していた。


 何しろ、避けなければいけない攻撃や、どこに攻撃をすれば良いのかなど、直感が関わってくる部分はあるのだから。


「………………」


 白Tシャツと短パンの少年――武技の神は、自分に出来る事はなんでもやっていた。

 それこそ、荷物の運搬や在庫チェックなど、なんでもだ。


 基本的に武技の神は存在しているだけで充分なのだ。

 それだけで必殺の威力を誇る武技が使用出来るようになる。


 つまり、最悪居てくれるだけで良いというか、手伝わなくても構わない存在。

 ただ、それで納得するかどうかは別。


 さすがに見ているだけなのは嫌だったため、武技の神は出来る範囲でやれる事をやっているのだ。


 こうして、これまで明道が解放してきた神々も加わった。

 最初からではなく、今なのには当然理由がある。

 それが関わってくるのは、今まさに大魔王軍本軍との戦いにおける切り札と言っても良い恩恵。


 恩恵は、一度に全員に与えられる訳ではない。

 元々は長い時間をかけて個々に与え続けていたからこそ、方々にまで渡っていたのだ。

 なので、もう一度対応したスキル持ち全員に恩恵を与えるためには、時間がかかる。


 それを一度にやろうとすれば、それ相応の力を溜めないといけない。

 神々はその力を溜めていたため、到着にここまで時間がかかったのだ。


 また、セミナスは、神々だけに向けた説明も行っていた。

 重要なのは、加勢に現れる時と恩恵を与える、二つのタイミング。


 加勢に現れる時というのは、恩恵を与えられるだけの力を溜めるまで来るなという事。

 焦らずとも、EB同盟はその時までもつので、きちんと力を溜めてから動くようにと念押しされた。


 それと、恩恵を与える方は、仮に先に与えた場合、その人物に味方の意識と魔物の敵意が集中してしまい、逆に早々に瓦解する結果になってしまう、と教えられる。


 つまり、神々の行動はこれで間違いなく、丁度良いタイミングで現れたのだ。

 若干一柱、先行してしまったが、そこはまだ許容範囲内である。


 そして、EB同盟に神々が加わった事で、EB同盟、大魔王軍本軍、双方共にほぼ戦力は出尽くしたようなモノとなった。

 真正面からぶつかり、戦い合う。

 互いに、その命を懸けて、燃やして。


 最早、姿形は違うが、やる事はどちらも変わらない。

 目の前の相手を倒すだけ。

 出来なければ自分が死ぬだけ。


 いや、その規模は個人では済まない。

 互いに相手は受け入れられない存在である以上、敗北はそのまま種としての終わりを迎える可能性を秘めている。

 最早これは、生存競争と言っても差し支えないだろう。


 だからこそ、互いに相手に向けて手は抜かず、慈悲はなく、顧みない。

 EB同盟と大魔王軍本軍の戦いは、佳境に向けて進んでいく。

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