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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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硬い椅子って凶器じゃない?

 東西を攻略していたEB同盟が集結した。

 なので、現状把握と今後のための話し合いを行わなければならない。

 そのために、EB同盟の代表者たちを集めて、話し合いが行われる。


 場所は、廃城の中にある広間。

 元々会議場としてでも使われていたのか、中央に朽ちた円卓があり、その周囲にもいくつか座れる場所が点在している。


 そっちも朽ちているけど。

 その残骸が残っているだけ。

 なので、軽く掃除して形だけ整える。


 樹さんの土属性魔法で形成した円卓と硬い椅子を人数分用意。

 円卓と椅子には一応布だけ被せておくが、椅子の硬さだけはどうにも出来ないので勘弁して欲しい。

 痔持ちの人が居ない事を切に願う。


 そうして詩夕たちとシャインさん、アドルさんたちに、EB同盟の代表者たちを集めた話し合いは、まずは俺からの一方的な説明から始まった。

 出来れば他の人にやって欲しいが、こればっかりは仕方ない。


 セミナスさんの言葉を正確に伝える事が出来るのは、俺だけなのだから。


 というか、もう体があるんだし、セミナスさんが自ら説明すれば良いのでは?


⦅拒否します⦆


 え? なんで?


⦅私がベストパフォーマンスを発揮出来るのは、マスターと共にある時だと、体を手にして理解したからです。だからといって、体が不必要であるという訳ではありません。マスターの夜の獣の如き欲を受けとめなければいけませんし⦆


 人を勝手に変なカテゴライズしないように。

 そんなモノありません。


⦅本気です⦆


 そっか、やっぱり……じゃない。

 そこは「冗談です」って言うところじゃないの?


⦅まぁまぁ、その辺りは今後、夜のベッドの中で朝まで聞きますので、今は説明の方を進めてください⦆


 色々と言いたいが、確かに今は説明の方が重要だ。

 なので、特に大魔王、魔王関連で誤解されないように、丁寧に説明していく。

 ……セミナスさんへの質問は後回しにしよう。


 中断しちゃうと、セミナスさんが、また変な事を言い出すから。


⦅……マスター。獣欲に溺れないように、しっかりと気を確かにしてから説明をお願いします⦆


 こんな感じで。


 ………………。

 ………………。


 そうして説明を終えると、当然のように同じ言葉が各所から漏れる。


『……魔王が地下に居るのか』


 と。

 なんてこったって感じ。


 詩夕たちも苦笑を浮かべている。

 それはそうだろう。


 いきなり魔王の一人を地下で誰にも触れられないように捕えています、なんて言われたんだから。

 頭を抱えたくなるのもわかる。


「なるほど。それでいつも連れていたメイドたちの姿がない訳か。見張りに立てているのだな?」


 ガラナさんの問いに、頷きを返す。

 エイトたちの事を言っているんだろうけど、今は総勢八人居る事も言っておいた方が良いだろうか?


 もしかすると、一気に人数が増えた事で驚くかもしれないし。


⦅その必要はありません。あぁ……と納得するだけですので、今は話し合いの方を進めましょう⦆


 なんか俺はいまいち納得出来ないけど、確かにエイトたちの事は俺の私的な事だし、今は話し合いの方が優先か。


 とりあえず、ここに居る人たちに、大魔王と魔王の関係性と、魔王三人の内、魔王リガジーは逃亡中、魔王ヘルアトは討伐済、魔王マリエムは捕獲中である事は理解してもらった。


「捕らえられている魔王は大丈夫なのか? 逃亡の可能性は?」


 ウルトランさんが当然の疑問を口にする。


「大丈夫です、セミナスさんによる特殊な魔法で力を封印していますから」


 今更、セミナスさん印を疑うような人は、ここには居ない。


「……でしたら、そのまま力ではなく、存在そのものを封印出来ないのですか? それこそ、シユウ様たちが居るのですから、先の勇者様――アイオリ様とエアリー様が行った封印と同じモノを。そうすれば、この戦いの中で大魔王の完全なる力の解放は起こらないのでは?」


 ベオルアさんがそう尋ねてくる。

 ……確かに。


 そこのところどうなの? セミナスさん。


⦅それは不可能です。まず、以前の特殊封印は、既に大魔王によって解析済みですので通用しません。そういう部分の知識の共有も行われているようです⦆


 セミナスさんの回答を、そのまま口にしていく。


⦅また、以前が最上級の特殊封印であり、それを破った事が影響しているのか、現在の大魔王、魔王たちは封印自体が効きづらくなっています。完全無効化ではありませんが、相当な耐性を持っており、生半可な封印は既に通用しません。そのため、新たに開発する必要がありますが、現在そういった封印は見つかっておりません。力を封じるだけで精一杯なのです⦆


 という事らしい。

 納得してくれたかどうかはわからないが、事実として、大魔王はアイオリさんとエアリーさんが施した封印を解いている。


「では、その魔王の処遇はどうするのだ?」


 ゴルドールさんが眉間に皺を寄せながら尋ねてきた。


「必要がありますので、俺やシユウたちと共に同行してもらいます」


 セミナスさんの言うように答える。

 え? 連れて行くの? と思ったが、他の人に任せる訳にはいかないのも事実。

 正直、それが一番安全で確実といえば、その通りだ。


 というか、今かけている封印もいずれ解けるんじゃなかったっけ?

 その事は教えなくて良いの?


⦅構いません。相対するのは私たちなのですから⦆


 う~ん。セミナスさんの判断を察するとすれば、ここに留まっている間だけ封印の効果があれば良いという感じだろうか。


 そこで、ロイルさんが挙手で自己主張。

 珍しい……と思っていたら、隣の宰相さんがロイルさんの腕を持ち上げていた。

 そのまま宰相さんに耳打ちされて、ロイルさんが尋ねてくる。


「……結局のところ、前に聞いた内容と変化はありますか?」


 それにハッキリと答える。


「EB同盟は大魔王軍を倒し、その間の隙を突いて、俺や詩夕たち、エイトたちとシャインさんで大魔王を倒すという、全体的な大きな流れに変化はありません。この集まりの目的は、新たにわかった大魔王、魔王に関する情報の共有と、このあとの戦いで新たにわかった事を伝えるためです。でも、安心してください。セミナスさんが言うには、今こうしてEB同盟が集結して戦うのが、最も勝率が高いそうですから」


 ただ、高いという事はその逆もあり得る。

 絶対ではないのだ。


 ただ、それはここに居る全員が理解している。

 だからこそ話し合うのだ。

 勝利を掴み取るために。


 全員一丸となって話し合い、綿密に詳細を詰めていく。


 終わったあと、全員お尻が痛そうだった。


     ―――


 そして、EB同盟と大魔王軍の最終決戦が始まる。

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