表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
453/590

我慢比べは嫌いじゃない

 青い髪の女性が放つ拳をかわし、蹴りを転がってでも避け、掴んできそうになると全力で逃げて距離を取った。

 何しろ、相手は俺を一撃で倒せるだけの攻撃力を保持している。


 回避、防御に全力を傾けた。

 でないと、補足されて終わってしまう。


「そんなに恐れなくても良いのではないかしら?」

「いや、それは無理。一発でもまともに食らうとやられるから」

「意外と冷静なのですね」

「褒められているのかな?」

「正直なところはわからないわ。お姉さま以外の人と会った事も話した事もないもの」


 そう淡々と告げてくる。


「それに、褒めている可能性は低いと思うわ。私の基準はお姉さま。そして、お姉さまを超える存在は居ないもの」


 そう断言されても困るんだけど。


「だから、もし私を懐柔しようとしているのなら、無意味ね」


 そんなつもりは一切ない。

 だって、そんなつもりがない事は、青い髪の女性の動きでなんとなく察しているからだ。


 青い髪の女性の動きは、本当に人形のようだ。

 目に見えてわかるカクカクって感じではないんだけど、どこかそういう風に見えるというだけだけど。


 でも、だからこそだろうか。

 お姉さまという魔王の命令のままに、躊躇いなく相手を殺すと思えた。


 これは本当に、やられる前にやらないと不味い気がする。

 セミナスさん?


⦅思いのほかやるようです。結界外であれば私の力も万全で、どうにでも対応出来るのですが、やはり結界内だと制限がかけられて難しいです。……まぁ、認めたくはありませんが、そこの人形の強さという部分も関わっています⦆


 苦戦は必至のようだ。

 ただ、何度かやり合ってわかった事もある。


 正直なところ、青い髪の女性の強みは力だけではなかった。

 もっと正確に表すのであれば、身体能力が総じて高いという事だ。

 何しろ、扉を壊した時も、後ろから出遅れたにも関わらず、俺を追い抜いて壊したのだから。


 また、人形らしさが見えるからだろうか?

 体力も底無しに思える。

 このまま避け続けていても、先にへばるのは俺かもしれない。


 となると、勝利の仕方は一つしかない。

 俺が動けなくなる前に、相手をどうにかして倒すしかない。

 つまり、いつもの事だ。


 ただ、そのための方法が思いつかないだけ。

 というより、青い髪の女性の攻撃を避けるのに全力を傾けているので、どう倒せば良いのかを考えるのが難しい。

 それに割く思考力が足りない。


 なので、何か案がある? セミナスさん。


⦅……可能性として、魔王が造り出した生命体ホムンクルスであるという事が重要です⦆


 どういう事?


⦅私や汎用型、特化型の体には、『仮初の生命石』という重要な核が存在しています。それがなければ、動く事は出来ません。人体で言えば、心臓のようなモノ。それは大魔王、魔王も同様であり、それは目の前の人形も同様です⦆


 という事は、それを破壊する事が出来れば。


⦅機能停止。つまり、倒したと言ってよいでしょう。ですが、これには問題もあります⦆


 問題?


⦅はい。まず、その『仮初の生命石』がどこに組み込まれているのか、です⦆


 心臓みたいなモノなら、胸部じゃないの?


⦅可能性はゼロではありませんが、魔王製ですので、そう素直な場所に組み込むのか? と疑いを持ってしまいます⦆


 それはそうだけど、気にし過ぎじゃない?


⦅私もそう思いますが、能力制限で現状だと確認しようがないのです。ですので、様々な可能性を模索する必要があります⦆


 えっと、確認出来ないの?


⦅マスターがそこの人形と間近でやり合う状態を維持していただければ、調べる事は可能です⦆


 ……やるしかないか。

 勝たなきゃ、倒さなきゃ、先に進めないのだから。


 回避、防御というスタンスは変えない。

 ただ、青い髪の女性の近くに居続けるようにするだけだ。


 無遠慮に放たれる拳を回避し続け、時には盾を上手く利用して攻撃を逸らし、どうしても受けてしまう場合でも、出来るだけ威力と衝撃を減らすようにして受けて飛ばされる。

 大抵の場合、受けるとそのまま飛ばされて、体が壁に強打されている。


 ただ、そこでとまる訳にはいかない。

 気持ちを奮い立たせて、青い髪の女性が迫る前に一気に前へ。

 こちらから距離を詰める。


 壁際に追い詰められるのは不味い。

 何しろ、青い髪の女性から放たれる攻撃の威力と衝撃を減らすためには、自ら後方に跳ぶという行動が必要なのだ。

 攻撃が当たる位置と瞬間をずらす事で、どうにか耐えられているのである。


 それが出来なくなると、一気に決められる可能性があった。

 それだけの力が、青い髪の女性にはあるのだ。

 なので、壁を背後にするのは危険なので、前に出る。


 また、青い髪の女性の攻撃は基本的にどれであっても一発KOの可能性があるので、一切気が抜けず、緊張感が続いて精神が摩耗していく。

 長時間はやり合えないと判断。


 それでも、少しだけ、ほんの一瞬だけど、気を休める事が出来る場面はある。

 それは、殴り飛ばされて壁に当たるまでの間。


 青い髪の女性は追撃のような事は何故かしてこないので、飛ばされている間だけは休めた。

 慣性に身を投げているとも言える。


 でも、ほんの少しでも呼吸出来る瞬間があるのはありがたかった。

 その代わり、ダメージも受けているけど。

 まぁ、青い髪の女性から直接受けているダメージではないため、そこまで大きなダメージという訳ではない。


 でも、じわり、じわりとダメージが蓄積していくのを感じた。


 このままだと、そう遠くない内に体が限界を迎えて、満足に動く事が出来なくなりそうだ。

 それまでにどうにか活路を開けるかは、セミナスさんにかかっている。


⦅もう少しです、マスター。耐えてください⦆


 わかっているよ!

 セミナスさんを信じて、青い髪の女性と近距離でやり合い続ける。


 もう少し……もう少し……と考える内に集中力が増していき、どれだけ時間が経ったのかわからなくなった。

 でも、もう問題ない。


 間に合ったのだ。


⦅確認、確定しました! 『仮初の生命石』の数が二つ。胸部の左右にあります⦆


 さぁ、反撃の時間の開始だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 胸部の左右に二つ!?いや、しかし明道なら!明道ならそんな羨まけしからん展開にはならないはず!! 信じてるぞ!信じてるからな!(期待した眼差し)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ