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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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それはさすがに無理って時はある

 セミナスさんに色々聞きつつ、現状の確認。

 詩夕たちと情報を共有していく。


 EB同盟は、東西共に優勢のまま進んでいるそうだ。

 目指しているのは大魔王が居る本拠地。

 上大陸北部にある城。


 ただ、本拠地が近くなればなるほど、それが当然のように大魔王軍もその数が増えていく。

 一つの戦いが段々と厳しくなっていく訳だ。

 なので、心配ではあるのだが、現状のままでいく訳ではないので大丈夫だと信じたい。


 それに、大魔王軍の方はEB同盟に任せるしかないのだ。

 セミナスさん曰く、現状で大魔王、魔王と対抗出来るのは、ここに居る俺たちだけらしい。

 他の者が対峙すれば、言ってはなんだが手も足も出ないそうだ。


 今は、魔王の一人をアドルさんが手痛い傷を与え、魔王の一人をインジャオさんとウルルさんが倒した。


 残るは大魔王と魔王が二人。

 アドルさんにやられた魔王の行動はわからないが、アドルさんからの情報によると、大魔王のところに戻った可能性が高いそうだ。

 セミナスさんもその意見を支持している。


 なので、その内相対する可能性は高いけど、いくら神造超生命体ハイブリッド・ホムンクルスの体でも、数日の内に全快する訳ではないので、もうそこまでの脅威はないとの事。


⦅私がASでミンチにしてみせましょう⦆


 セミナスさんが自信満々でそう言う。

 でも、こういうのってフラグじゃない?


 アドルさんの情報によるとかなりの武闘派タイプなんでしょ?

 ASでやろうとした瞬間、普通に殴り飛ばされそうな気がするんだけど。


⦅………………⦆


 セミナスさんが何も答えない。

 多分、同じ妄想イメージが浮かんだんだろう。


 ご利用は計画的に。


⦅私は常に計画的です⦆


 だよね。


 という訳で、逃げた魔王とは、大魔王のところで会う事になると思う。

 なので、俺たちは残るもう一人の魔王と相対するのだが、ここでも分かれる事になる。


 ここから見える場所にある廃城に居るのは魔王だけではない。

 その地下に予言の女神様が封じられているそうだ。


 というか、セミナスさん。


⦅はい。なんでしょうか?⦆


 別に分かれる必要なくない?

 詩夕たちと一緒に予言の女神様を解放しに行くか、先に魔王を倒しちゃえば。


⦅その予定も考えたのですが、今は反対します⦆


 どうして?


⦅まず、先に予言の女神を解放しに行く方ですが、当然結界が張られていますので、中の様子がわかりません。なんの対策もなしに人数を増やせば良いという事でもありませんし、当然、魔王は結界内に入る事が出来る手段は持ち得ているでしょう⦆


 まぁ、結界を張った本人みたいなモノだしね。

 どの魔王が張った結界かはわからないけど、方法自体は確保していると俺も思う。


⦅先に解放しに行くと必ず魔王が邪魔しに現れます。未だ結界内の状況がわからない以上、不確定な状況は避けるべきでしょう⦆


 黒い神殿は確定だけど、内部のパターンはあっても、統一性はないんだよね。

 下手に邪魔が入ると、こちらに不利な状況になりかねないって事か。


⦅はい⦆


 だったら、やっぱり先に魔王を倒してしまえば、予言の女神様の解放に集中出来るんじゃ?


⦅それも今は不確定な要素が出来てしまったため、推奨しません⦆


 ……ん? 出来てしまった?

 つまり、最初はなかったって事?


⦅それについては私の力が足りなかった、としか言えません。何しろ、吸血鬼と魔王の戦いにおいて、私の予測の中での結果は、吸血鬼がやられるか、魔王がやられるかのどちらかでしかありませんでした。ですが、結果は⦆


 魔王が逃走を選択した。


⦅はい。この結果によって、やはりと言うべきか、今の私では大魔王もしくは魔王の行動を完璧に予測する事は出来ていないと、証明されてしまいました。ですので、今の状態で別の魔王に挑んだ場合、想定外の事が起こる可能性があります⦆


 想定外……。


⦅はい。想定外の事態をなくすためにも、予言の女神を解放しつつ、魔王の邪魔が入らないように相手をする者が必要なのですので、分かれて行動する事を推奨します⦆


 そうだね。

 理由を聞いたら納得。

 俺もそうした方が良いと思う。


 分け方はそこまで変わらない。


 俺、エイトたちは、予言の女神様の解放に。

 詩夕たちとシャインさんで、魔王の相手を。

 DD、ジースくん、竜たち、ドラーグさんで、廃城に居る大魔王軍と戦ってもらう。


 というこれまでの情報を全て伝え、詩夕たちとシャインさんに確認を取る。

 問題ないと頷かれた。


「………………なんだったら、DDや竜たちと交代する?」


 詩夕たちの安全面を考慮した俺の案に、DD、ジースくんがいやいやいやいやと頭を横に振る。


「大丈夫じゃない? しっかりと鍛えられていたし。意外とどうにかなりそうな気がするけど?」

「……ダンスバトルでなら勝てるが?」

「いや、そこを自信満々に言われても。確かに勝てるかもしれないけど、どうやって魔王をダンスバトルに参加させるつもり?」

「………………ノリと勢いで? 目の前で踊り出せば、向こうもノッてくれるんじゃないのか?」


 いや、相手はさすがに魔王だし……無理じゃない?


⦅無理ですね。そういうノリが通用する未来は見えません⦆


 やっぱり駄目らしい。

 まぁ、だろうな、とは思っていたけど。


「ジースくんも強くなったし、どうにか」

「無理だから。自分ってモノをわかっている」


 断固とした拒否。

 目から強い意思が伝わってくる。

 出来ればその強い意思は別の事で発揮して欲しかったけど。


「大丈夫だよ、明道。この時のために僕たちは鍛えてきたんだ。それに、僕たちなら魔王に対抗出来ると、セミナスさんも言っているんでしょ?」


 俺を安心させるためか、詩夕が笑みを浮かべてそう言う。

 それは、まぁ……。


「うん。わかった。なら、任せる。でも、無理はするだろうけど、生き残る事を優先してね。逃走も一つの選択肢として、きちんと頭の中に残しておくように」

「わかっているよ」


 提案した分け方で進む事になった。

 というか、なんか忘れているような………………あっ!


「そういえば、DD」

「ん? どうした?」

「ミレナさんは? こっちに合流するはずだけど?」

「まだ現れていないという事は、竜共への指示に時間がかかっているのだろう。何しろ、自由というか、我の強い者が多いからな」


 ああ……と、全員の視線がDDに向く。


 とりあえず、今日はこのまま休息を取る事になった。

 伝令に行った竜たちの帰りを待たないといけないし。

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