片付けは定期的に
思った通りと言うべきか。
やっぱり……という結果になった。
互いの紹介が終わったあと、エイトたちはウーノに絡みまくった。
俺は休憩を優先して、ドラーグさんとのんびり過ごしていたので内容まではわからなかったが、エイトたちである。
きっと、絡みに絡みまくったのだろう。
だからだろうか。
エイトたちはウーノという存在に対して直ぐ飽きた。
「もう興味ありません」
エイト、バッサリ。
他のみんなも擁護しない。
「弄ぶだけ弄んで捨てられた気分……」
エイトたちの向こう側で、ウーノが遠いお空を見ていた。
まぁ、だろうな、とは思っていたけど。
けれど、エイトたちの中に、ウーノに対する興味を抱く者が一人居た。
フォーである。
これが予想通り。
「喋る本……本から出現する……ちょっと解剖してみても良い? 仕組みが気になるから。大丈夫! きちんと元に戻すから! 糊付けもきちんとして、なんだったら帯も付けるから!」
「やめろ! 触るな! 怖い! 目が怖い! 外の世界怖い! 帯は欲しいけど、この女に任せたくない!」
ウーノが本を引き摺りながら必死に逃げて、フォーがそのあとを追い始める。
というか、帯に興味あるんだ。
新発見。
「というか助けて! 誰か助けてぇ~!」
ウーノの叫びに真剣さを感じたので、フォーをとめて助けた。
「今はそんな時じゃないから、あとでね」
「ボスがそう言うのなら仕方ない」
「いや、あとでも駄目だから! もっと強く言って!」
それは無理。
フォーかウーノ、どちらかを選ぶなら、フォーの方だから。
でも、ウーノの安全のため、閉じてアイテム袋の中にしまっておく。
―――
それでセミナスさん。
今後の予定は?
⦅次の目的は予言の女神の解放ですが、その前に一旦他の組と合流します。合流地点は、上大陸中央の中央部。そこにある廃城の近くの森が集合場所です。合流予定は明後日となります⦆
明後日か。
なら、今日はこのままここで野宿して、明日出発。
現地で待てば良いかな?
⦅それで問題ありません⦆
そこまでわかるという事は……魔王と戦っているアドルさんたちがどうなったか、もうわかる?
⦅いえ、未だ戦闘中で確定していませんので、お伝え出来る情報はありません⦆
そっか。なら、やっぱり集まってから聞いた方が良いか。
⦅それがよろしいかと⦆
やっぱりそうする事にした。
一泊して、次の目的地の中央にある森へと向かう。
「よろしくお願いします」
「うむ。任された」
みんなでドラーグさんに乗って移動。
元から近かったという事もあって、直ぐに着く。
問題は集合予定地にも魔物が居た事だ。
ただし、大魔王軍ではなく、野良の方。
⦅……野良でも魔物は魔物。それに、放置すれば、こちら側に余計な被害が出ます。今ではなく、未来で、ですが⦆
そういう事なら。
「下に魔物が居ますが、どう致しますか?」
「倒した方が良いみたい」
「かしこまりました」
「じゃあ、お願……え?」
サラッと尋ねられたからサラッと答えたけど、今のエイトだった気がする。
確認してみると、俺に向けて敬礼しながら、ドラーグさんから飛び降りるところだった。
しかも、エイトだけじゃなく、他のみんなも同じようにして。
突撃する雰囲気を出したかっただけかもしれないけど……エイトたちの戦闘能力を考えると、これから爆撃をするように見えてしまう瞬間がある。
実際、エイトたちが降り立った先から、大小様々な爆発が起こった。
魔物たちの雄叫びというか、怒号みたいな叫びも様々なところから聞こえてくる。
そこまでするくらいの数が居るって事なのだろうか?
または、それだけ強いのが……。
⦅数ですね。どうやら、ゴブリンやコボルト、オークなどの集落が出来ていたようです。汎用型、特化型たちは女性体ですので、狂ったように襲いかかられている模様。その数が多いため、一度に広範囲を攻撃出来る手段として、爆発系魔法を選択しているようです。あとは何名かが個別に魔物を倒していっていますので、打ち漏らしはないかと⦆
そういう事なら、いくつも爆発が起こっても仕方ないだろう。
でも……。
「………………」
視線を上げれば、そこまで近いという訳ではないが、廃城らしきモノが薄っすらと見える。
「廃城の大魔王軍に聞こえるかもしれないから、もう少し静かにね~」
一応注意してみるが、空中でも爆心地が近いという事もあって、俺の声がエイトたちに聞こえているかは怪しい。
でも、こころなしか、少しだけ爆発の規模が小さくなったというか、回数が減ったような気がしないでもない。
もう倒し切りそうなのかな?
それならそれで安心なんだけど、先ほどまでの光景とは違ってくるので、なんか勢いが弱くなったというか、見ているだけで少しだけ不安になる。
⦅いえ、まだまだ数が居ます。何しろ、大魔王軍が上大陸を支配してから、これまで一切の人の手が加えられていませんので、数だけは膨大に増えています⦆
………………ヤバくない?
大丈夫なの? それ。
⦅ちなみにですが、追加情報として、確かにこの位置から廃城は見えていますが、爆発音が聞こえるほど近い距離という訳でもなく、振動が届いても僅かですので、気付かれる事はありません⦆
「もうちょっと激しくても大丈夫だってよ!」
とりあえず、そう声をかけてみる。
聞こえる訳がないはずなのに、何故か爆発の数と勢いが増した。
同時に、魔物たちの叫びが悲鳴みたいなモノに変わっていく。
エイトたちの恐ろしさに、漸く気付いたようだ。
このまま殲滅しそうだな、と思っていると、危機回避能力というよりは、本能に従ったからか、逃げ出す魔物が数多く見られる。
⦅逃しても災いにしかなりませんので、骨竜に倒してもらってください⦆
ドラーグさんにお願いして、逃げ出したりしている魔物を倒してもらう。
あっという間に周囲一帯の掃討が終わったのは良いけど……。
「………………」
爆発跡が激しく、無残な魔物の死体が多数あって、さすがにこのまま放置は看過出来ない。
エイトたち、ドラーグさんと共に、後片付けを始める。
これで今日が潰れた。
そして、翌日のお昼頃。
DDやジースくんたちに乗って、詩夕たち、シャインさんと合流した。




