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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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片付けは定期的に

 思った通りと言うべきか。

 やっぱり……という結果になった。


 互いの紹介が終わったあと、エイトたちはウーノに絡みまくった。

 俺は休憩を優先して、ドラーグさんとのんびり過ごしていたので内容まではわからなかったが、エイトたちである。


 きっと、絡みに絡みまくったのだろう。


 だからだろうか。

 エイトたちはウーノという存在に対して直ぐ飽きた。


「もう興味ありません」


 エイト、バッサリ。

 他のみんなも擁護しない。


「弄ぶだけ弄んで捨てられた気分……」


 エイトたちの向こう側で、ウーノが遠いお空を見ていた。

 まぁ、だろうな、とは思っていたけど。


 けれど、エイトたちの中に、ウーノに対する興味を抱く者が一人居た。

 フォーである。

 これが予想通り。


「喋る本……本から出現する……ちょっと解剖してみても良い? 仕組みが気になるから。大丈夫! きちんと元に戻すから! 糊付けもきちんとして、なんだったら帯も付けるから!」

「やめろ! 触るな! 怖い! 目が怖い! 外の世界怖い! 帯は欲しいけど、この女に任せたくない!」


 ウーノが本を引き摺りながら必死に逃げて、フォーがそのあとを追い始める。

 というか、帯に興味あるんだ。

 新発見。


「というか助けて! 誰か助けてぇ~!」


 ウーノの叫びに真剣さを感じたので、フォーをとめて助けた。


「今はそんな時じゃないから、あとでね」

「ボスがそう言うのなら仕方ない」

「いや、あとでも駄目だから! もっと強く言って!」


 それは無理。

 フォーかウーノ、どちらかを選ぶなら、フォーの方だから。


 でも、ウーノの安全のため、閉じてアイテム袋の中にしまっておく。


     ―――


 それでセミナスさん。

 今後の予定は?


⦅次の目的は予言の女神の解放ですが、その前に一旦他の組と合流します。合流地点は、上大陸中央の中央部。そこにある廃城の近くの森が集合場所です。合流予定は明後日となります⦆


 明後日か。

 なら、今日はこのままここで野宿して、明日出発。

 現地で待てば良いかな?


⦅それで問題ありません⦆


 そこまでわかるという事は……魔王と戦っているアドルさんたちがどうなったか、もうわかる?


⦅いえ、未だ戦闘中で確定していませんので、お伝え出来る情報はありません⦆


 そっか。なら、やっぱり集まってから聞いた方が良いか。


⦅それがよろしいかと⦆


 やっぱりそうする事にした。

 一泊して、次の目的地の中央にある森へと向かう。


「よろしくお願いします」

「うむ。任された」


 みんなでドラーグさんに乗って移動。

 元から近かったという事もあって、直ぐに着く。

 問題は集合予定地にも魔物が居た事だ。


 ただし、大魔王軍ではなく、野良の方。


⦅……野良でも魔物は魔物。それに、放置すれば、こちら側に余計な被害が出ます。今ではなく、未来で、ですが⦆


 そういう事なら。


「下に魔物が居ますが、どう致しますか?」

「倒した方が良いみたい」

「かしこまりました」

「じゃあ、お願……え?」


 サラッと尋ねられたからサラッと答えたけど、今のエイトだった気がする。

 確認してみると、俺に向けて敬礼しながら、ドラーグさんから飛び降りるところだった。

 しかも、エイトだけじゃなく、他のみんなも同じようにして。


 突撃する雰囲気を出したかっただけかもしれないけど……エイトたちの戦闘能力を考えると、これから爆撃をするように見えてしまう瞬間がある。


 実際、エイトたちが降り立った先から、大小様々な爆発が起こった。

 魔物たちの雄叫びというか、怒号みたいな叫びも様々なところから聞こえてくる。

 そこまでするくらいの数が居るって事なのだろうか?

 または、それだけ強いのが……。


⦅数ですね。どうやら、ゴブリンやコボルト、オークなどの集落が出来ていたようです。汎用型、特化型たちは女性体ですので、狂ったように襲いかかられている模様。その数が多いため、一度に広範囲を攻撃出来る手段として、爆発系魔法を選択しているようです。あとは何名かが個別に魔物を倒していっていますので、打ち漏らしはないかと⦆


 そういう事なら、いくつも爆発が起こっても仕方ないだろう。

 でも……。


「………………」


 視線を上げれば、そこまで近いという訳ではないが、廃城らしきモノが薄っすらと見える。


「廃城の大魔王軍に聞こえるかもしれないから、もう少し静かにね~」


 一応注意してみるが、空中でも爆心地が近いという事もあって、俺の声がエイトたちに聞こえているかは怪しい。


 でも、こころなしか、少しだけ爆発の規模が小さくなったというか、回数が減ったような気がしないでもない。

 もう倒し切りそうなのかな?


 それならそれで安心なんだけど、先ほどまでの光景とは違ってくるので、なんか勢いが弱くなったというか、見ているだけで少しだけ不安になる。


⦅いえ、まだまだ数が居ます。何しろ、大魔王軍が上大陸を支配してから、これまで一切の人の手が加えられていませんので、数だけは膨大に増えています⦆


 ………………ヤバくない?

 大丈夫なの? それ。


⦅ちなみにですが、追加情報として、確かにこの位置から廃城は見えていますが、爆発音が聞こえるほど近い距離という訳でもなく、振動が届いても僅かですので、気付かれる事はありません⦆


「もうちょっと激しくても大丈夫だってよ!」


 とりあえず、そう声をかけてみる。

 聞こえる訳がないはずなのに、何故か爆発の数と勢いが増した。

 同時に、魔物たちの叫びが悲鳴みたいなモノに変わっていく。


 エイトたちの恐ろしさに、漸く気付いたようだ。

 このまま殲滅しそうだな、と思っていると、危機回避能力というよりは、本能に従ったからか、逃げ出す魔物が数多く見られる。


⦅逃しても災いにしかなりませんので、骨竜に倒してもらってください⦆


 ドラーグさんにお願いして、逃げ出したりしている魔物を倒してもらう。

 あっという間に周囲一帯の掃討が終わったのは良いけど……。


「………………」


 爆発跡が激しく、無残な魔物の死体が多数あって、さすがにこのまま放置は看過出来ない。

 エイトたち、ドラーグさんと共に、後片付けを始める。

 これで今日が潰れた。


 そして、翌日のお昼頃。

 DDやジースくんたちに乗って、詩夕たち、シャインさんと合流した。

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