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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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こっちはこっちでやる事がある

 セミナスさんが導き出した勝利のための作戦は、こうだった。


 EB同盟は、大軍同士という事で、大魔王軍全体とぶつかる。

 神様たちも今は戦いの準備中らしいけど、そこに参戦予定。

 そうして上大陸の東西で大きく戦っている内に、大魔王、魔王たちを少数精鋭で倒す。


 つまり、俺、詩夕たち、エイトたち、アドルさんたち、シャインさん、DDやミレナさんの竜たちで、大魔王、魔王たちの相手を直接するというモノだった。


 過去の魔王戦を似たようなというか、そっくり同じだけど、これが一番確実なんだそうだ。

 特に、大魔王、魔王たちを相手にした場合、下手に人を増やし過ぎても無意味らしい。

 それだけ、大魔王、魔王たちの力が特出しているとの事。


⦅逆に言えば、大魔王、魔王たちをどうにかすれば、あとは所詮雑兵でしかありません。私の敵ではないでしょう⦆


 それは逆に、セミナスさんは大魔王、魔王たちを敵認定しているって事だよね?


⦅……まぁ、その通りです⦆


 不本意らしい。


 それで、この作戦に関しては、EB同盟の上位陣――要は王様クラスの人たちには伝えてある。

 竜の協力に関しては黙っておいたけど。


 別の王様たちを信用していない訳ではなく、俺たち以外の誰にも言わないという竜たちとの約束を守っただけである。


 で、俺たちで大魔王、魔王たちに勝てるのかというと……五分五分っぽい。


⦅いえ、七三で私たちの勝利です⦆


 ……実際は?


⦅九一で私たちの勝利です⦆


 高まる要素は一切なかったと思うんだけど?


⦅やる気の問題です⦆


 根性論!

 まぁ、負けるつもりはないけど。

 それで、俺たち側の作戦は、まず三組に分けられる。


 一組目は、上大陸東部に居る魔王のところへ。

 二組目は、上大陸西部に居る魔王のところへ。


 アドルさんたちも分かれ、それぞれ因縁のある魔王とやり合う。

 一緒に行くメンバーはその戦いに邪魔が入らないように、そこに居る大魔王軍の相手をする。


 その二人の魔王は、アドルさんたちの獲物である。

 他の誰かが手を出しちゃいけない。

 だからこその因縁なのだから。


 で、残る三組目――俺とエイトたちの目的。

 それはもちろん、最初からやってきた事で、俺がこの世界に召喚された意味。


 そう、神様解放である。


 しかも、セミナスさんが言うには、最低でもあと二柱の解放が必要らしい。


 一柱目。結界の神様。

 言うに及ばす、前も言っていたが、大魔王、魔王たちは神様たちを封じ込めた特殊な結界を張れる。

 それを破るために必要なのだ。


 しかも、かなり早目に。

 でないと、アドルさん……じゃなくて、インジャオさん側が危険との事。

 なので、まずは結界の神様の解放に向かう。


 それと、もう一柱。

 二柱目。予言の女神様。


 ……本当に必要?


⦅非常に残念ですが、必要です。私もスキルである以上、神共からの恩恵は受けています。私の力を最大限発揮するためには、予言の女神の解放が必要です⦆


 セミナスさんが必要だと言うのなら、俺に異論はありません。


 なので、今俺とエイトたちは、結界の神様解放に向けて移動している。

 移動はもちろんドラーグさんにお願いした。

 座り心地はアレだけど、文句は言わない。


 大丈夫。ただ硬いだけ。

 いざという時は立てば良いのだ。


 エイトたちが付いて来ている理由は明白。

 どうやら、目的の場所に大魔王軍の姿があるそうだ。

 そこを殲滅するための戦力である。


 その事を伝えると、エイトたちはやる気を見せた。


「エイトたち、姉妹の絆の力を見せてあげましょう」

「漸く好きに暴れられるな」

「敵には容赦しません」

「よーし! 思いっきりやるぞー!」

「遂に我輩という至高の存在に脚光が浴びせられる時がきたか」

「駆逐~! 殲滅~!」

「破壊~! 討伐~!」

「実戦は初めてだから気を引き締めていかないと」


 正直に言おう。

 不安である。


 やれるかどうかの不安じゃない。

 やり過ぎないかどうかの不安だ。


 実際、エイトたちなら地形を変えそうな攻撃も放てるだろうし、そこに躊躇いがないような気がする。

 やったあとに、必要な事でしたので、とか言いそう。


⦅必要な事でしたから⦆


 ここに率先して言う人が居た!


⦅必要な事でしたので⦆


 それでゴリ押さないように。


 というか、セミナスさん。


⦅はい。なんでしょうか?⦆


 どうしてまた俺の中に戻っているの?

 いきなり俺に触れてきて、戻りますって戻ってきたけど。


⦅神を解放する際のマスターの補助を正確に行うためです。マスターの中に居た方が、危険に対して的確に素早く指示を出せますので⦆


 なるほど。

 確かに、そういう部分はあるね。


⦅それに、神造超生命体ハイブリッド・ホムンクルスの体でも、結界を突破する事が出来ないという未来が見えました。推測の域を出ませんが、同じ神造超生命体の体でも、大魔王、魔王共のとは何かが違うのかもしれません⦆


 そうなんだ。


⦅ですので、私の体はそのままマスターのアイテム袋の中に入れておいてください。いざという時の切り札としては充分使用出来ますので⦆


 わかった。


⦅なんでしたら、抱き枕として利用していただいても構いません。抱き心地抜群ですので、快適で安心な眠りになる事、間違いありません⦆


 いえ、大丈夫です。


⦅なるほど。興奮して逆に眠れなくなるという事ですね⦆


 いえ、違います。

 違わないかもしれないけど、違います。

 試すつもりもありません。


 それで、これからの事だけど、力の上がったセミナスさんでも、結界内の様子はわからないの?


⦅残念ですが、見通す事は出来ませんでした。敵ながら、中々やるなと評価するしかありません⦆


 そうなんだ。

 出たとこ勝負って事か。

 まぁ、そういう事なら、変に緊張するような事はないかな。


 これまでと一緒って事なんだし。


 いや、結界の神様に関しては、アドルさんたちの勝利に直結しているっぽいし、緊張はしなくても、気は引き締めていこう。


 そして、セミナスさんだけじゃなく、エイトたちとも話している内に、目的地に辿り着く。

 場所は、上大陸中央、西部より。


 大魔王軍らしき魔物たちが蔓延る荒野だった。

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