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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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別章 魔王強襲作戦 西部

 上大陸西部にある、大魔王軍の拠点の一つ。

 例に漏れず、廃町を利用している拠点である。


 この廃町にも、強襲作戦は実行されていた。

 ここに現れたのは、樹、天乃、刀璃の三人に、シャイン。

 それと、ジースを筆頭にした竜たちである。


 竜に乗った樹たちが、空中から強襲。

 着地点の魔物を一掃すると、手筈通りに散らばっていく。


 樹は、シャインと共に居た。


「ほらほら、しっかりと倒せ! 取りこぼしがあるぞ!」

「無茶言わないでください! 一人で対処出来る数ではありません!」


 樹が泣き言を言うのも仕方ない状況だった。

 こちら側の組も、狙いは拠点に居る大魔王軍の魔物たちの狙いを自分たちに引き付ける事。

 その間に、特定の者が魔王を討つ。


 西部に居る魔王は、緑髪の魔王「ヘルアト・ディダーク」。

 インジャオの肉体を燃やし、骨だけの状態にした張本人。

 もちろん、ヘルアトの下にインジャオとウルルが向かっている。


 その戦いが終わるまで、邪魔させないように魔物たちを自分たちの方へ引き付けているのだ。


 そして、今の状況。

 樹は四方八方を魔物に囲まれていた。

 倒しても、次から次へと現れているのだ。


「少しは手伝ってくれても!」

「それじゃ、鍛錬にならないだろ」


 シャインはそんな樹の様子を少し離れた位置で見ていた。

 といっても、数が居る以上、魔物たちはシャインの方にも向かって瞬間的に倒されているが、その数は樹の方と比べると少ない。


 本能で、どちらの方が弱いかを察しているのだろう。


「これも鍛錬だったの!」

「もう大魔王と残る魔王との戦いまでの時間は迫っているんだ。時間的余裕はなくなった。なら、それまでの僅かな時間でも鍛錬をして、少しでも底上げをしておいた方がいいに決まっている」

「それはそうかもしれないけど、考え方が脳筋過ぎ」

「おっと」


 シャインが掴んだ魔物を樹に向けて投げる。

 樹は本能で危険を察知。

 なりふり構わず横っ飛びをして回避した。


「あぶなっ!」

「戦闘勘もきちんと養われているじゃないか。まだまだ鍛えられそうだな」

「しまった! 今のは当たっておくべきところだったのか!」

「次行くぞ~!」

「――――っ!」


 樹が声にならない悲鳴を上げた。

 それでも樹は自然と魔物を倒す行動を取っている。


 この師にしてこの弟子あり、という事をしっかりと表していた。


     ―――


 天乃と刀璃は、樹とシャインとは別の場所で、魔物を相手に戦っていた。


「……刀璃ちゃん。今、樹さんの悲鳴が聞こえなかった?」

「そう? 私は聞こえなかったけど」

「空耳かな?」

「そうじゃない? それよりも、今は魔物に集中する」

「うん。わかってる」


 目の前に居る魔物たちに視線を向ける天乃。

 こちらも似たような状況であり、二人は魔物に囲まれていた。

 しかし、樹とシャイン側とは決定的に違う部分がある。


 樹とシャイン側は鍛錬の様相だが、こちらにそういう部分はない。

 また、この二人の連携の質は高かった。


 天乃が魔法で殲滅と援護を、刀璃が刀で天乃を守りつつ、前に出る時は前に出て斬り倒す。

 互いが互いに次どう動くのかがわかっているかのように補い合っている。


 詩夕たちは元々仲がよく、誰と組んでも一定以上の戦果を挙げる事は出来ていた。

 それでも、特定の組み合わせだといつも以上に力を発揮する、というのは存在している。


 詩夕と常水。

 天乃と刀璃。

 咲穂と水連。


 これが最も力を発揮出来るペアであり、だからこそ、今そういうペアが組まれているのだ。

 樹に関しては個人の方が強い。


 また、明道とペアの場合、特定の人物以外はコンスタントな成果になるため、誰と組んでも良いというポジションである。


「天乃。ここで無理をする必要はないんだから、間違ってもやられないように。それと、傷もなるべく受けないように」

「わかってるよ。ここでインジャオさんとウルルさんが魔王を倒しても、まだ大魔王と魔王があと一人残っている。私たちが相手をするのはそっち、でしょ?」

「その、通り」


 肯定をしながら、刀璃が一閃。

 オークを縦に一刀両断した。


「あとは、インジャオさんとウルルさんの勝利を信じるだけ。東部側もきっと同じ」

「そうだね。きっと大丈夫。勝ってくるよ」


 インジャオとウルルの勝利を信じて、天乃と刀璃は魔物の注意を自分たちに向けるために行動する。


     ―――


 殲滅力で言えば、間違いなく竜たちの独断上だろう。

 何しろ、基礎的なモノが全て段違いであり、広範囲攻撃ブレスを放つ事も出来る。


 今回はそれに加味される事があった。

 魔物たちを相手にして、自分が竜という存在である事を再確認出来たのである。


 ジースが、魔物を殴り飛ばす。

 それだけで倒す事が出来ていた。


「やっぱり……普通に強いよね、竜って」


 その呟きに、他の竜たちが同意するように頷く。

 そう思っても仕方なかったのだ。


 何しろ、ここ最近は鍛錬でボコボコにされっ放しである。

 要は、自分に自信が持てなくなっていた。


 そこに、魔物を相手にして簡単に倒せてしまう自分たちに気付く。


「いける……いけるぞ! 俺たちの時代が来たんだっ!」


 ジース含め、調子に乗り出した竜たちのテンションは高い。


 ちなみに、女王竜であるミレナは、竜の住処に寄って竜たちに指示を出したあと、こちら側に来て合流する予定であった。

 その時、調子に乗っている竜たちを見かけて、物理的注意を受ける事になる。


     ―――


 この拠点に魔王であるヘルアトの姿はない。

 何かを感じ取ったのか、拠点から少し離れた位置にある平原に一人佇んでいた。


「……来たね」


 ヘルアトは確信を持って呟く。

 その視線の先に、インジャオとウルルの姿があった。

 インジャオとウルルはゆっくりとヘルアトの近くまで歩み寄り、対峙する。


「拠点ではなく本当にこんなところに居るとは」

「なんとなく、来そうな気がしたんだよね。勘ってヤツかな?」


 インジャオの言葉に、ヘルアトは愉快そうに答える。


「勘……そんな事も言えるのですか」

「……その物言い、僕たちがどういう存在なのか、わかったような口振りだね。ふ~ん……なるほど。僕たちを倒すために色々頑張ったみたいだけど、結局は無駄になるよ。だってここで死ぬんだから」

「……あえて言うのなら」

「ん?」

「勝ってから言え、かな」


 ヘルアトが笑みを深める。


「それじゃあ、勝ってから言わせてもらうよ。……ところで、今回はそっちの彼女も一緒かな?」


 ヘルアトの問いに、ウルルが答える。


「はい。今回は私も一緒です。そう言えば、名乗っていませんでしたね。ウルルと申します」

「名乗って……あぁ、どこかで見た事があると思えば、あの時居たヤツね。僕との因縁があるって訳か。妥当な人選だね」


 ヘルアトは納得し、魔法を放つような構えを取る。

 その動きに対して、インジャオは大剣を構え、ウルルも拳を前に突き出すような構えを取った。


 上大陸西部。平原にて。

 インジャオ、ウルルと魔王の戦いが始まる。

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