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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十三章 大魔王軍戦
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別章 EB同盟 上大陸東部 2

 EB同盟対大魔王軍。

 上大陸東部で始まった戦いにおいて、初手を制したのはEB同盟の方であった。


 凍らせる雨で動きをとめ、火の玉を連射して爆撃を起こす。

 廃墟となっていた町に、更なる被害が起こる。


 それは廃墟の町に集まっていた魔物たちも同じで、それなりの被害を受ける。

 それなりで済んだのは、廃墟とはいえ建造物がある程度残っているという事。

 建造物に身を隠した魔物たちは、雨と火の玉により被害をそれほど受けなかったのだ。


 そこに迫るのは、ビットル王国、エルフの里、ドワーフの国、ラメゼリア王国の先行部隊で構成されたEB同盟である。

 EB同盟が廃墟の町に辿り着くまで、凍らせる雨と火の玉による先制攻撃は続けられた。


     ―――


 戦場のメインとなったのは、やはり廃墟の町であった。

 後手に回った大魔王軍が、そのまま廃墟を砦のように利用し始めたのだ。

 砦攻略戦の様相となった戦い。


 EB同盟がまず行った事は、未だ廃墟の町に入っていく大魔王軍の牽制である。

 そこに向かったのは、ビットル王国とドワーフの国に所属する者たち。


 ビットル王国の騎士、兵士たちが優れているのは、攻守であれば「守」の方。

 長年、大魔王軍の侵攻を抑え込んでいる内に、そちら側に優れていったのだ。

 その「守」としての力は、「EB同盟の守護国」と評されてもおかしくないほど。


 大魔王軍を上大陸に押し返したあと、軍事国ネスは度々上大陸に攻め入っていたが、ビットル王国は迎え撃っていた。

 軍事国ネスが攻め入った反動か、大魔王軍は下大陸に向けた侵攻を行う際は、大陸東部――つまり、ビットル王国側から行う事が多かったのだ。


 その全ての侵攻を、これまでビットル王国は防いできた。

 ビットル王国の「守」の力は、全体的に総じて高く、一級品である。


 また、ドワーフの国の者たち――つまり、ドワーフもまた、攻守どちらかと言えば、「守」に優れているとも言えるだろう。


 ドワーフといえば鍛冶で、その鍛冶で鍛え上げられた頑強な体は耐久力に優れている。

 もちろん、攻撃力も並ではない。

 一線を画しているのは間違いない。


 が、やはりネックなのは、全てにおける速度スピード

 ドワーフという種族の例に漏れず、ずんぐりむっくりとした体型では、他の種族と比べて速度は出せない。


 攻撃力がいくら高かろうとも、当たらなければ意味はないのだ。

 だが、それを補って有り余るのが、耐久力である。

 頑強な体に防御力の高い防具を身に付ければ、まさに鋼の防御力といっても過言ではないだろう。


 だからこそ、ビットル王国とドワーフの国の者たちが、廃墟の町に入ろうとしている大魔王軍の牽制に動いたのだ。

 目的はもちろん、追加の援軍を通さない事。


 援軍の大魔王軍を無理に倒す必要はない。

 耐え続けて、廃墟の町に居る大魔王軍を倒したあとに合流してくるエルフの里とラメゼリア王国の先行部隊を待てば良いのだから。


 鉄壁の布陣が、大魔王軍の援軍を妨げた。


     ―――


 一方、廃墟の町に残る大魔王軍を討伐するのは、エルフの里とラメゼリア王国の先行部隊である。

 こちらの役割もきちんとしていた。


 エルフたちは弓矢を射り、ラメゼリア王国の先行部隊は弓矢と同時に魔法も放ちつつ、前衛は廃墟の町に向けて歩を進める。


 エルフたちの弓矢は正確無比。一射必中。

 誰しもがそう言われるほどの腕前を持っていた。

 視力もよく、物陰から様子を窺う大魔王軍の魔物すら射貫くほどだ。


 牽制のための矢も忘れておらず、多くの魔物がエルフたちの放つ矢に絶命、もしくは致命傷を受けていく。


 ラメゼリア王国の先行部隊の数は、先行といっても一国の軍隊に匹敵するだけの数が居た。

 軍事国ネスは「攻」に優れ、ビットル王国には「守」に優れる。

 なら、同じ三大国において、ラメゼリア王国が優れているのは「数」だ。


 基礎的な能力も高い水準で平均的であり、何かに優れているという訳ではないが、三大国の中でも最大の領土を誇るラメゼリア王国。

 兵数においては、他国の追随を許さなかった。


 何しろ、それだけの数を先行させたとしても余力は充分にあり、東西にさらに援軍を送る事が出来るのだから。


 そうして、エルフと一部の弓兵、魔法兵の援護を受けて、前衛部隊が廃墟の町に進入する。


     ―――


 戦いが至るところで起こっている廃墟の町。

 その中でも特筆すべき存在が二人居た。


 まず一人は、シャインの娘でもある、エルフのグロリア。

 シャインから既に一人前だと認められている強さは、伊達ではなかった。


 距離など関係ない。

 射れば必中。


 どのような体勢であろうとも、魔物の急所を射抜いていた。

 どのような装備であろうとも、隙間を縫うように矢が突き刺さる。


 グロリアであれば、相手がどのような状態でも矢を刺せるのだ。


「ふっ……ふっ……ふっ……」


 短い呼吸でリズムを取り、まるで舞を披露しているかのように射っていく。

 驚異的なのは、魔物との距離は関係ないという事だろう。


 遠距離であれば、放たれた矢は空気を裂く音を奏でたあと、必中で魔物に突き刺さる。

 近距離であれば、魔物の攻撃を回避つつ射ったり、矢じりをナイフのように魔物に突き立てて殺す。


 グロリアにとって最早距離は関係なく、次々と魔物を射り殺していった。


     ―――


 もう一人の存在。

 それは、「数」に優れているラメゼリア王国において、個人で武勇に優れている者。

 その強さは、この世界において最強クラスであり、槍の名手・カノート。


「漸く……本当に漸くだよ。漸く、サーディカに、平和な世界をプレゼント出来る。だから、君たちには死んでもらうよ。容赦なく、ね。だって、平和な世界に……君たちは必要ないんだから」


 既に若干の狂気性を含みつつ、カノートは魔物を次々と貫き殺していく。

 カノートの槍は、正確に急所を貫き絶命させる。


 それは、相手が武装していても関係ない。

 鎧の上から、鎧ごと貫いていた。


 完全武装で身を包んでいたオークは、驚愕の表情を浮かべて絶命する。

 オークが最後に見た光景は、カノートが浮かべる微笑みだった。


「これでまた一歩。サーディカと私の幸せな未来に近付いた」


 微笑みを浮かべたまま、カノートは魔物を仕留めながら廃墟の町の中を駆ける。


 そして、上大陸東部での戦いが本格化していく。

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