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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十二章 過去へ
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人によっては心に届くと思う行動

「どうして助けてくれなかったのか、説明を要求する! それと、謝罪も!」

「そうだ! そうだ! 神を見捨てるとは、言語道断! もう少し敬う気持ちを持つべきだ!」


 ゴーイチたちからのお叱りから解放された瞬間から、造形の女神様と製作の神様が俺に詰め寄って文句を言ってくる。


 ……どうして俺に言いにくるの?

 リビングというか待合室っぽいところで、ぼーっと外を眺めていただけなのに。


 いや、確かに助けなかったのは間違い。

 けどそれは――。


「でも、自業自得でしょ?」

「今はそういう問題じゃないの!」

「そうだ! そこを議題にしている訳じゃない!」


 いや、それが発端で、一番というか唯一の原因だと思うんだけど。


「それじゃあ、何を言いたいんですか?」

「なんて言うの……こう……大事に扱われたい、みたいな」

「もっと気にして欲しいし、気にかけて欲しい……優しくされたい」


 ………………。

 ………………。

 とりあえず、頭を撫でてみる。


「……でへへ」

「……ふへへ」


 なんか満足そうな表情を浮かべている。

 これで良いのか? と思うのだが、よくない方が居た。


⦅私ですらまだナデナデしてもらっていないのに……それをこんな駄神たちに……駄神如きが。許せません。少々調子に乗せ過ぎたようですね。そういう行いは、誰を敵に回すのかを、身を以って教えなければいけません。これも……私の務め!⦆


 いや、そんな務めはなかったと思いますけど?

 というか、過剰に反応し過ぎじゃないかな?


⦅では、私が体を手に入れたら、ナデナデしていただけますか?⦆


 ……なんの理由もなしに?


⦅わかりました。造形の女神と製作の神が泣いて謝るようにしましょう。もちろん、泣いて謝っても私は許しません⦆


 待って待って、ちょっと待って。

 わかった。わかったから。

 撫でるから、それは一旦ストップで。


⦅ありがとうございます。その……マスターなら、頭だけではなく、好きなところを撫でても構いませんので⦆


 どういうデレかた?

 とりあえず、妙な約束をさせられた事だけはわかった。


 一方、撫でられ続けていた造形の女神様と製作の神様は――。


「復活! ナデナデから愛情を感じました! 私、今、輝いている!」


 勝手な愛情を感じないでください。

 それと、輝いていると思うのは、そこの窓から漏れる陽の光の影響だと思います。


「なんだろう……久し振りに頭を撫でられると……なんか、泣きそう……」


 そう言った製作の神様の目の辺りから、一筋の水が流れる。

 ……深くは聞かない。

 それもきっと、優しくするって事だ。


⦅そうですね。これ以上、何かするのが少し可哀想に思えてきました。現状維持とします⦆


 うん。そうしてあげてください。

 ただ、造形の女神様、製作の神様ときて、この女神様を忘れてはいけない。


「生命の女神様は、何やらご満悦ですね?」


 造形の女神様と製作の神様が俺のところに駆け込んで来て、生命の女神様が来ない訳がない。

 当然一緒に来ていたのだが、生命の女神様だけはのほほんとでも言うように佇んでいたのだ。


「わかりますか? そうなんです。実はあの方法を教えてもらってから実践していまして……数百グラム落ちたんです」


 嬉しそうに言う生命の女神様。

 それは誤差じゃ? とは言えなかった。

 いや、言わなかった。


 減ったと実感する事で自信となり、これからも頑張っていく活力となって、本当に減っていくのだ。

 それを邪魔するのは無粋というモノ。


 だから、俺がここで言うべき言葉は――。


「頑張ってください」

「はい! 頑張ります!」


 これで良いのである。


 というか、こっちも神様たちに言うべき事があるんだった。


「えっと、それでですね、用事も済みましたので、そろそろ未来に戻ろうと思っているんですけど」

「「「お疲れ様でーす。お元気でー」」」


 三柱揃って一礼する。

 いやいや、早い早い。

 それに、別にそこまで仲良くなったとは思わないけど、もう少し別れを惜しんで欲しいというか、そういう仕草を少しぐらい見せてくれも良いんじゃないだろうか?


 と、思っていたら――。


「ちょっと待って」


 造形の女神様から待ったが入る。

 もしかして、お土産でも渡してくれるのだろうか?

 いや、なんか悪いね。


 そう思っていたんだけど、どうも違うようだ。

 造形の女神様が、製作の神様と生命の女神様にコソコソと内緒話を行い、どこかに移動する訳でもなく、ただただ俺をジッと見てくる。


 ……え? 何これ?

 しかも、俺を中心とした円を描くように、少しずつ移動していく。

 どういう事?


⦅このままでお願いします⦆


 いや、まぁ、セミナスさんがそう言うなら、そうするけど……出来れば、神様たちのこの謎の行動の意味を知りたい。


⦅この行動による結果が実を結ぶのは、未来での事です⦆


 未来に戻ればわかるって事かな?

 そういうしている内に、造形の女神様たちが一周し、そこで謎の行動は終わった。


「「「ふぅ~……」」」


 満足げな雰囲気と共に。

 本当に意味がわからん。


「「「じゃ、改めてお元気で」」」

「いや、まだ帰りませんよ。というか、帰れませんよ」

「「「どういう事?」」」

「どういう事も何も、帰るためには時の神様にお願いしないといけないみたいなんで、皆さんに呼んで来て欲しいんです」

「「「………………あぁ!」」」


 納得したように、三柱揃って手をポンと打つ。


「じゃあ、連絡を取りますね」

「起きてんの? あいつ」

「さぁ? 起きている方が珍しいですし。まぁ、眠っていれば、その状態で輸送してもらえば、あとはアキミチが起こすのでは?」

「「それもそうか」」


 ……なんだろう。

 妙に手馴れているというか、さらっと俺に任せてきたな。

 まぁ、別に構わないんだけど。


 そして連絡を取ってもらったのだが……やはりと言うべきか、眠っているそうだ。

 で、俺の事を明かす訳にもいかないので、どうにかこうにか理由を付けてもらって、輸送してもらう事になったのだが、着くまでに数日かかるそうだ。


 まぁ、数日待つくらいなら問題ない。


 時の神様が着くまでの数日間。

 ゴーイチたちと親睦を深め、なにかと絡んでくる造形の女神様たちは、セミナスさんの指示通りに対応した。


 ……というか、セミナスさん指示通りって、適当にあしらっているように見えるんだけど?


⦅その通りですが、何か?⦆


 いや、大丈夫なの?


⦅問題ありません。それに、そうでもしないと調子に乗せ過ぎてしまいますので⦆


 そういう事なら仕方ない。

 造形の女神様たちが調子に乗ると、エイトたちがどうなるかわからないしね。

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