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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十二章 過去へ
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自分はそうじゃないと思っている

 とりあえず、大魔王の事はわかった。


「それだけの事、よくわかりましたね」

「まぁ、これでも世界を統一している国の王をやっているからね。広めて良いような内容ではない以上、秘匿にかなり気を遣ったけど、やってやれない事はない地位だから」


 文字通り、トップだもんね。

 うんうんと頷いていると、アイオリさんとエアリーさんが真剣な表情で俺を見ている事に気付く。


「……最早私とエアリーは、こうして伝えられる事を伝える事しか出来ない。ここから先の事を任せる事しか出来ないのは心苦しいが……この世界を頼む。アキミチ」

「……」


 アイオリさんが、俺に向けて頭を下げる。

 エアリーさんも同じだった。


「……やれるだけの事はやりますけど、俺に期待しないでくださいね。アドルさんやシャインさんの方がよっぽど強いんですから」

「確かにそうかもしれないけど、何故だかアキミチなら、どうにかしそうだと思えるんだよね」

「そうね。どうしようもない時に、物理的な力以外で解決しそう」


 アイオリさんとエアリーさんが、言っていてそれっぽいと、うんうんと頷く。

 やめて。なんかそれだと、造形の女神様系統っぽいから、ちょっと……。

 自分はそうじゃないと思いたい。


⦅………………⦆


 否定してよっ!


⦅……現状において、マスターは私の予測を超えて行動する事もありましたので⦆


 違う! なんでそっちを肯定するの!


⦅マスターを信じています⦆


 何を! 何を信じるっていうの!

 話の流れ的に、俺が何かやらかす事を信じているって言っているよね!


⦅いけるいける。大丈夫大丈夫。やれるやれる⦆


 そう言われたらやる気に……ならないよ!

 なる訳ないよね!

 魔王ですらあんな様だったのに、大魔王なんて恐ろし過ぎる!


 前に立たなくても良いのなら、立ちたくないです!


⦅と、言いつつ?⦆


 立つんでしょうね!

 そうなるんでしょうね!


 あっ、大魔王と魔王で思い出した。

 現代には大魔王の他に魔王も居るけど、同じような存在って事で良いの?


⦅推測でよければ⦆


 お願いします。


⦅恐らくですが、大魔王には『神造超生命体ハイブリッド・ホムンクルス』製造の知識があると思われます⦆


 で、造ったと。

 やっぱり、大魔王と魔王は同種って事かな。

 強さが別格だもんね。


⦅あとは、大魔王に喜怒哀楽の哀の感情の発露があったという事から考えると⦆


 魔王は三人居て、喜怒哀楽の「喜」「怒」「楽」の感情を発露しているかもしれない、か。

 なんか納まりが良いから、その可能性は高そうな気がする。


 ……セミナスさんの力が通じない原因みたいなモノは?


⦅これも推測ですが、竜素材を使用している部分が関係あると思われます。神の知識に神の御業だけで造られた存在であれば、問題なかったでしょう。私も同じようなモノですから。ですが、そこに神と同等と言っても良い竜の素材によって、更なる力が加わった事が原因ではないかと推察します⦆


 なんというか……改めて竜の力の凄さがよくわかった気がする。

 それじゃあ、セミナスさんが魔王に対抗するためには……。


⦅解決案としていくつかありますが、有効なのは二つ。一つは、研究所がある島に戻り次第、造形の女神共に圧力をかけて、私の体に竜の素材も使用してもらいます⦆


 そうなるよね。

 でも、その竜の素材はどこから?


⦅もちろん、用意してもらいます⦆


 造形の女神様たちが用意出来るの?


⦅……いざという時は、情報と新たなエサを用意しましょう⦆


 エサの方はものすごい食い付きだろうなぁ。

 あっ、でも、そういう事なら、エイトたちの方にも竜の素材を使ってもらえば、更に強くなるんじゃない?


⦅……確認しました。確かに強くなりますが、全員に暴走属性が付与されるようです⦆


 うーん。危険な予感。

 どう考えても、俺的にも世界的にも駄目な気がする。


⦅賢い選択かと。それに、神共にエサを与え過ぎるのもよくないような気になってきました。現代に戻ってから、独自で竜の素材を加えた方が良いかもしれません。その方向で思考を試みてみます⦆


 無難な選択だと思います。

 ただでさえ造形の女神様たちはギリギリっぽいし、更なる行動が追加されると……神様といっても死ぬ……いや、この場合は消滅するかもしれない。


 あっ、ところで、大魔王対抗に有効なもう一つはなんなの?


⦅そうですね。そちらの方が簡単ですし、折角アイオリとエアリーが揃っているのですから、協力してもらいましょう⦆


 ん? どういう事?


⦅マスターならわかるでしょうし、この世界でもそうなのですが、魔王と相対する際、最も適した者はどのような者だと思いますか?⦆


 そりゃ、そう言うって事は、勇者なんじゃない?


⦅その通りです。勇者は魔王という存在に対して特化、もしくは相反する存在と言っても良いでしょう。そのため、魔王という強大な力に対して、勇者であれば太刀打ち出来るのです⦆


 ふんふん。


⦅そこで関わってくるのが、私が内包しているスキルです。マスターには既に説明していますが、私は予言の女神が様々な神の協力の下、色々なスキルを内包して造り出されました。ですが、その協力した神共の中に、『勇者』と『賢者』スキルに対応する神は居ません。その時、既に封印されていたのです。ですので、私の中にその二つのスキルは存在していません⦆


 ……つまり、大魔王、もしくは魔王という存在に対して、セミナスさんの力が通じないのは、向こう側がハイスペックなだけではなく、対抗出来るスキルもないから……という事?


⦅悔しいですが、私と未知数である魔王共を想定して比べた結果、その結論に至りました⦆


 相手が魔王だからこそ、というのがあるんだろうな。

 寧ろ、そこが重要なのか。


 という事は、その二つのスキルを手に入れ、竜の素材を使用した「神造超生命体」の体を手にすれば……。


⦅充分に対抗……いえ、圧倒してみせます⦆


 頼もしい。

 でも、体の方はともかく、スキルの方はどうするの?

 アイオリさんとエアリーさんに協力してもらうって……まさか、二人からスキルを奪うの?

 それはちょっと……。


⦅マスター、早計です。私がそのような手段を取るとでも?⦆


 ………………。

 ………………。


⦅これからマスターには毎日逆ラッキースケベ体質になっていただきましょう。毎日、事あるごとに服の一部が露出(主に下半身)するようになってもらいます⦆


 いやいや、ちょっと待って!

 想像以上に重い罰だから、それ!

 セミナスさんだって、マスターと呼んでいる人物がそんなだと嫌でしょ?


⦅寧ろご褒美ですが、何か?⦆


 すっごく前向きな言葉!

 本当にすみませんでした。


⦅わかっていただけたのなら良いのです。毎日ではなく週一に修正しておきます⦆


 わかってない!

 それはわかってないよ!


⦅冗談です。それとスキルは、奪うのではなく複製するだけですので、アイオリとエアリーに協力をお願いしたいのです。スキルを解析・複製している間、マスターが二人と手を繋いでいるなど、直接触れている状態を維持していただけるだけで充分ですので。熟練の「勇者」と「賢者」スキルでしょうから、私にとっても大きな力になります⦆


 そういう事ね。了解。

 早速とばかりに二人に話すと、問題ないと協力してくれる事になった。

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[気になる点] 『広めて良いような内容である以上』…………え?
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