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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十二章 過去へ
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限定って、それだけで心が惹かれない?

 盾が完成するまで数日かかる。

 研究所内の散歩も一日あれば充分だし、出来るまで暇かな? と思っていたのだが、思ってもいないところで相手が出来た。

 セミナスさんから、未来に対する問題にはならないでしょう、と交流する事に問題はないようだ。


「「「グッモーニン、アッキー」」」

「おはよう。ゴーイチ。ゴーニ。ゴーサン」


 まず、姿形が同じため、わかりやすく額部分に数字でそれぞれ「1」「2」「3」と書き、お互いに気軽に呼び合うようになった。


「……そっか。本当に大変なんだね」

「ハイ。本当ニ大変ナンデス。毎回呼ビニ行クノモソウデスガ、ワガママ……トハ少シ違イマスケド、偏食ノ方々バカリデ……」


 溜息なのか、円筒から息のようなモノが漏れる。

 それは全員が思っていた事なのか、他の二体も同じように円筒から息のようなモノが漏れた。

 かなり苦労しているようである。


 ゴーレムたちが。

 造形の女神様たちが自分たちの世話係として造ったゴーレムたちが、本当に疲れているようだ。

 身体的な疲労ではなく、精神的な疲労の方で、だけど。


「シカモ、大抵研究室カラ出テ来マセンカラネ」

「ワタシタチヲ造ッテカラソレナリノ時間ガ経チマスガ、ソロソロメンテナンスモシテ欲しいデス。自分優先デスノデ、中々ソノヨウナ機会ハ訪レマセンガ」


 苦労しているんだな、と泣きそうになった。

 というか、やっぱり造形の女神様たちはそういうタイプか、と思う。

 自分の趣味に走るのは良い事だと思うんだけど、それで周囲を蔑ろにするのはよくない。


 それに、このゴーレムたちが食事とか色々頑張っているからこそ、そういう時間が出来るのだから、労いの言葉くらいはかけるべきじゃないだろうか?

 たとえ、そのために造られたとしても。


 周囲への感謝を忘れちゃいけない。

 なので……セミナスさん。どうにか出来ない?


⦅かしこまりました。マスターの意向に沿うように……メンテナンスでもしますか。もちろん、どうすれば良いのかは、私が指示を出しますので⦆


 ありがとう。よろしくお願いします。

 というか、ゴーレムたちに提案してみる。


「……メンテナンス、する?」

「「「出来ルノデスカ?」」」

「出来るよ」


 俺にはセミナスさんが付いているから。

 という訳で、やってみた。

 幸いとでも言うべきか、道具類に関して困る事はないので。


 ――その結果。


「「「ワタシタチノ真ナル忠誠ヲ、アッキーニ」」」

「いや、普通に友達で良いから」


 なんか忠誠とかになったんですけど?


⦅はい。メンテナンスのついでに、能力向上と、ゴーレムたちの支配権もマスターに移しておきましたので⦆


 俺、そんな話聞いていない。

 能力向上は別に良いけど、支配権は……え? 大丈夫なの? それ。


⦅これまでの行動を変えるようなモノではありませんので、大丈夫です。ただ、ゴーレムの中での頂点をマスターにしただけ。いざという時は、神共よりもマスターを優先する。ただそれだけです⦆


 それ……神様たちが知ったら怒らない?


⦅問題ありません⦆


 なんというか、力強い言葉に聞こえた。

 まぁ、セミナスさんがそう言うなら、きっとそうなんだろう。


 でも……未来で見かけなかったけど、どうなっているんだろうか?

 戻ったら確かめようと思いつつ、ゴーレムたちと交流している内にあっという間に時間は経ち、遂に盾が完成する。


     ―――


 俺専用の盾が完成したと教えられ、案内された場所は広場だった。


「……なんで広場?」

「そりゃもちろん、完成したら性能実験でしょ!」


 少し離れた位置に居る造形の女神様が、輝くような笑みを浮かべ、俺に向けてウィンクしてくる。


「本当に大丈夫ですか? 完成してます?」

「大丈夫です」


 造形の女神様の隣で様子を見ていた生命の女神様が、笑みと共にそう太鼓判を押す。


⦅……問題ありません⦆


 セミナスさんの確認も終わったようだ。

 本当に完成しているようで、心の中でホッと安堵。


「こらー! 私のウィンクに反応しないってのはどういう事だー! これでもレアなんだぞー!」


 造形の女神様が憤慨している。

 俺は直ぐ傍で盾の様子を見ていた製作の神様に、冷静に尋ねた。


「レアなんですか?」

「まぁ、滅多にしない、という意味ではレアだね。……よし。それじゃあ、起動してみようか」


 特になんでもないように答えた製作の神様が、造形の女神様が居るところまで移動した。

 俺は完成したというモノを見る。


 それは――両腕にはめた腕輪。

 鈍く光る銀の腕輪だった。

 それが、完成形。


 もちろん、ただの腕輪じゃない。

 詐欺でもない。

 セミナスさんが考えた結果なのだ。

 俺の安全を最大限考慮して、自重をちょっとそこら辺に置いて。


 最初にこの構想を聞いた時、出来るの? と思ったが、どうやら本当に出来たらしい。

 なんと事はない。

 この腕輪の性質を簡単に言えば、液体金属なのだ。


 こうなったのには、もちろん理由がある。

 たとえば、「剣」といっても、一つの形を指すモノではない。

 その中には様々な名称と形状がある。


 それは「盾」もそう。

 丸盾、長方盾、逆三角盾という形状の違いに、名称もいくつか違いがある。

 また、それぞれに向いた適切な状況、使いやすさというのもあるだろう。


 盾一つで全ての状況に対応するのは難しいという事だ。

 そのための、液体金属。

 俺の意思に反応して、事前に鍛冶の神様に形成された様々な盾の形状へと変化する事が出来るようになっているとの事。


 強度に関しては、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコンなど、特殊な素材も混ぜ込まれて問題ないそうだ。


 その上、空間拡張とか重力軽減とか、様々なスキルも付与されているため、大きな盾に重い盾も形成可能らしい。


 つまり、状況に合わせた盾を瞬時に形成出来るという事だ。

 実際に試してみる。


 長盾、丸盾、楕円盾など、様々な形に変化させていく。

 果ては、俺の全身を隠すような球体にまで。


「「「おぉ~」」」


 造形の女神様たちの方から、歓声のようなモノと拍手が聞こえる。

 ……いや、自分たちで造ったのでは?


 でもまぁ、これだけではないから、まずはきちんと動いた事が嬉しいのだろう。

 なので、もう一つの方も試す事にする。


 形状を腕輪に戻して構えると、造形の女神様たちが動く。

 懐から取り出した円筒に付いているスイッチを押したかと思うと、広場中央が開き、そこから人間が入れそうなほどに巨大な大砲がせり上がってきた。


 ……ここにも自重がない神様たちが居るらしい。

 その巨大な大砲に向けて構える。


「来いっ!」


 それが合図となって、もう一度スイッチが押される。

 巨大な大砲から、圧縮された魔力がビーム状で放射された。

 その射線上に居るのは、もちろん俺。


 セミナスさん!


⦅お任せください⦆


 腕輪から三つの球体が出現して、魔力ビームの前に浮かぶ。


⦅威力。入射角。その他諸々必要算出値全てを計測。完了。意趣返しします⦆


 三つの球体が丸盾のような形になって所定の位置へ。

 一つ目の丸盾が魔力ビームの角度をずらし、二つ目の丸盾が魔力ビームの角度を更に大きくずらし、三つ目の丸盾が魔力ビームをある方向に向けさせる。


 その先に……造形の女神様たちが居た。


「「「ちょっ! あぶっ!」」」


 全力で回避する造形の女神様たち。

 ちょっとスッキリしたのは秘密だ。

 ……今の、大丈夫なの?


⦅手が滑ったとでも言えば大丈夫でしょう⦆


 セミナスさんが手を滑らせる事は一切ない。


 という感じで、俺に仕組みはわからないが、これはセミナスさんも使用出来るようになっている。

 ただし、条件があった。

 セミナスさんが俺の中に居る事。


 体を手に入れて、体の方に居る場合は使えない。

 また、この盾には明確な弱点もある。

 形状を変化させるのも、セミナスさんが使用するにも、俺の魔力を使うのだ。

 乏しい俺の魔力を。


 なので、回避重視という主体は変わらないが、それでも非常に強固な防御を手に入れたのは間違いなく、セミナスさん曰く、これは攻撃にも使えるらしい。


 名称は「全形状対応盾」。長いので「全盾」。

 ――「All Shield」

 略して「ASアス」と呼ぶ事にした。

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