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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十二章 過去へ
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片付けたいと思った時は既に……

 浮遊石がゆったりと下り、上と同じくスライド式の扉を開けた先にあったのは、本当に研究所だった。

 そこそこ広い空間に、壁際には机がいくつも置かれ、机の上には実験器具のような物が置かれていたり、よくわからない数式や単語が羅列されている紙束なんかが置かれている。


 また、それら、一つの机の上に置かれている物から、どことなく個性を感じるので、もしかしたら、それぞれ使う場所が決まっていたのかもしれない。


 その中の一つ……出入口近くにある机は、特に酷かった。

 実験器具はいくつも置かれ、それこそ実験途中っぽい感じの、何か危険な感じがする液体が入っている試験官が乱雑に置かれていて、紙束類も散らばっている。


 なんというか……その机とその周辺を見ていると……頭の中に片付けられない人って言葉が浮かぶ。

 ちょっと気になるので、ファイブとシックスに尋ねる。


「ファイブ、シックス……この机を使ってい」

「違う! 違うの! 違うから! これは、アレ! そう! 適切な配置に置かれているのであって、決して……決して! 片付けるのが面倒だから、とかじゃないから!」


 フォーが焦るようにそう言う。

 犯人が自ら証言してきた。


「違うー! 違うよー!」

「嘘は駄目だよ、フォー!」

「ただ片付けないだけー」

「いつかやるからって、手出し無用にしたからこうなってるー」


 ファイブとシックスから、追加の証言。

 どうやら、証言には食い違いがある。

 どちらを信じるかは……明白だろう。


 ファイブとシックスの証言を指示します、とエイトたちはファイブとシックスの方を指し示している。

 もちろん、俺も。


 その事実に、フォーは崩れ落ちた。


「だって……だって……いつかやるから! 本当にいつかやるから! 出来るから! 我輩だって掃除くらい出来るから! ……本当に危険な薬品だってあるし」


 フォーの最後の呟きに関して、まずは一言。

 だったら、尚更きちんと片付けないといけないのでは? と言いたい。


「それいつも言ってるー」

「でも、やってないー」


 更なる証言が出ましたけど?

 ファイブとシックスの証言に、フォーは見えないダメージを受けて崩れ落ちる。


「ぐふっ………………申し訳ございませんでした。本当は面倒でやっていません」


 でしょうね。


「また、片付けを始めると、どうしても他の事……あっ、この資料はここにあったんだと読み返し、新たな発見をしてしまって、気付けば後回しに……」


 掃除している最中に漫画を読み返してしまう感じかな?


「本当にいつかやるので、どうか見逃してください」

「……いや、別にフォーを責めている訳じゃないから。それに、片付けというか掃除って一人だと大変だよね。言ってくれれば手伝うからさ」

「ありがとうございます!」


 なんとなく、心からの感謝の言葉だと思った。

 しかし……詠唱でそうだったけど、フォーはエイトたちと比べてポンコツ感が強いな。

 言動や行動は横に置いておいて。


 でもなぁ……油断出来ないんだよね。

 こういうタイプって、みんなが手出し出来ないのを倒したり、危機的状況をなんでもないように一発で逆転させたりするから。


 フォーを立たせ、改めて視線を周囲に向ける。

 天井にも大小様々な配管が通っている事に気付く。

 ますます研究所感が増した。


 配管のいくつかは周囲の机に向かっているが、大部分はこの空間の中央――床に描かれている巨大な魔法陣の中央に置かれている台座に繋がっている。


 台座の大きさをベッドサイズでいえばシングルサイズ。

 何故それがわかるかといえば、実際に台座の上で眠っている人が居るから。

 体に負担をかけないためか、フワフワの布団が敷かれている。


「台座の上で寝ているのが?」

「そう。セブン。時空属性の子」


 フォーが、自分が利用している机の上を少しだけ片付けながら、そう答える。

 少しじゃ変わらないと思うけど……まぁ、水を差すのもね。


 台座に近付き、眠っている女の子を確認する。


 見た目でいえば、エイトと同じくらいだろうか。

 自身の身長よりも長そうな灰色……いや、輝いているように見えるから銀髪の長髪に、寝顔だが将来は美人間違いなしと言われそうな顔立ち。


 見た目年齢相応の体型に、高価そうというか、貴族が着るような女性服を着ていて、両手を胸の上で組み、その胸が呼吸に合わせてゆっくりと上下している。

 本当に眠っているようだ。


 総評をするなら、まるで人形のよう。

 ……この子が、俺を過去に跳ばすの?


⦅はい。そのための魔力は既に溜め終わっていますので、あとは起こすだけです⦆


 ……その方法はもしや……詠唱ですか?


⦅寧ろ、それ以外にあるとでも?⦆


 普通に起こすとか?


⦅起きません。特化四型から六型はここを守護するという役目があったための例外であり、特化七型はこれまでと同様に詠唱で正しく起こさないと、その力を発揮しません⦆


 そうなの?

 ……でも。


「………………勝ちました。エイトの寝顔の方がご主人様の好みです」

「そうか? セブンの寝顔もなかなかだと思うが?」

「個人的見解を申せば、どちらも良いしかありませんので、同列ではないかと」

「気持ちよさそう寝顔。……ボクも寝たくなってくるよ」


 エイトたちは、まだ良い。

 なんかエイトとセブンの寝顔品評会みたいになっているけど。


 それと、フォーも問題ない。

 まだ片付け中だ。

 一部、雪崩を起こしたようだけど、触れるといじけるかもしれないから、見なかった事にする。


 問題なのは、ファイブとシックスだ。


「セブンちゃん。起きろー! 起きろー!」

「お館様が来たから、挨拶しないとー!」


 二人揃ってセブンの顔をペチペチと叩いている。

 あれで起こそうとしているようだ。


 あの起こし方でも起きそうなんだけど?


⦅いいえ、それは無理です⦆


 何故? と思っていると、セブンが動く。


「うるさいっ! ペチペチ叩くな!」


 セブンがそう叫ぶと同時に、組まれていた両手が離れ、ファイブとシックスのペチペチ叩く手を掴み、そのままクロス。


 ファイブの手がシックスの顔を叩き、シックスの手がファイブの顔を叩く……ように強引に持っていった。


「「痛いっ!」」


 顔を押さえてうずくまる二人。

 自業自得感は否めない。


 セブン、まさかのパワーキャラなのか?

 いや、そうじゃなくて。

 今のって、起きてんじゃないの?


⦅いいえ、あれで眠っているのです。今のは、正しい手順を踏まない者への自動防衛措置です⦆


 なるほど。きちんと詠唱しようと思った。

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