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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十二章 過去へ
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普通はスラスラっと出てこないよね

 ファイブとシックスに次の行動を取られる前に、言質を取っておく。


「今のを避けた訳だし、これで俺の事を認めてくれるよね?」


 俺の直感が言っている。

 この二人は放置しちゃいけない、と。

 目の届く範囲に居ないと、何をしでかすかわかったものじゃない。


 ……今までよく無事だったな、この研究所。


「仕方ない」

「約束は大事」

「認める」

「わらわたちのお館様として」


 うん。それはよかった。


「でも、ちょいちょい言っているお館様って、もしかして俺の事なの?」

「そう。お館様はお館様」

「わらわたちはそう呼ぶ」

「……まぁ、呼び方なんて人それぞれだから別に構わないけど、俺、お館というか持ち家なんてないけど?」

「大丈夫。ここを奪えば良い」

「それでお館様は一城の主。どこにも問題ない」


 問題大ありだと思うのは俺だけだろうか?

 いや、そんな訳ないよね? とエイトたちを確認。


 その手があったか、と納得している。

 いやいや、それはさすがに駄目でしょ?


⦅良い考えですね。まずはこの研究所をマスターの物とし、そのままこの島を掌握。次いで世界樹の島を押さえて一つの国としましょう。国王は、当然マスターです。世界樹さえ押さえれば、魔法を押さえた事と同義。何しろ、魔力の源のような存在ですからね。これで魔法に関してはマスターの思うまま。こちらは魔法を使い放題、相手は魔法なし。これで全ての戦いにおいて、勝率がグッと上がります。あとは権謀術数を私に任せていただければ、マスターが覇を唱えて大陸統一する事も可能です。どう致しますか?⦆


 うん。どうも致しません。

 というか、スラスラッと出てきたって事は、前々から考えていたよね、それ。


⦅私のマスターは凄いんだぞ、という事を知らしめたかったので⦆


 うん。なるほど。

 ……それだけじゃないでしょ?


⦅想定では可能でしたので、ついついもっと効率的に世界統一出来るのではと試行錯誤していました⦆


 ついついで片付けて良い案件じゃない。

 それに、そもそも前提がおかしいでしょ。

 ここの主は、神様たちなんだし、それを奪うって。


⦅可能ですが?⦆


 サラッと言わない。

 それに、これまでの事から考えられる性格だと、神様たちは間違いなく居座ると思うけど?


⦅別に出て行けとは言いません。月々の支払いさえきちんとしていただければ⦆


 家賃を取るつもりだ、これ。

 たとえそうしたとしても、世界樹は無理でしょ?

 ドラロスさんが守っているんだし。


⦅確かに、ある意味で一番の難敵ですね。魔王と同格であるため、私の力も効きづらいのは間違いありません。ですが、なんとかしてみせます。任せてください⦆


 いや、そんな急にやる気を出されても、そもそも世界統一なんてしないから。

 もちろん、この島だけじゃなく、研究所の奪取だって。


 そもそも、なんだってこんな話に……あっ、ファイブとシックスの俺の呼び方か。

 しまった。少しだけだけど、放置してしまった。

 ごめんよ、と視線を向ければ……居ない。


 くっ。セミナスさんとの会話で、ファイブとシックスから目を離してしまった。

 それは駄目だと思っていたのに。

 一体どこに……と周囲を確認してみれば、エイトたちと何やら話していた。


「……という訳ですので、ご主人様の中には、予言の女神が用意した、セミナスさんという特殊なスキルが存在するのです。ああして、黙っている間はセミナスさんと会話していますので、邪魔をしてはいけません」

「ふむ。興味深いな。我輩もそういうスキルを作ってみたい」

「おぉ! 面白そうなスキル!」

「欲しい! 欲しい! わらわも欲しい!」


 どうやら、エイトがフォー、ファイブ、シックスに、セミナスさんの事を教えていたようだ。

 なんか、ありがとう。

 でも、どことなく先輩風を吹かせたような感じでなければ、もっとよかったと思います。


 あれかな? エイトは一番下の妹だから、逆に先輩感を出せる状況が嬉しいのかもしれない。

 ワンたちはそんなエイトが微笑ましいから、優しく見守っている……とか?

 考え過ぎ……ではないと思う。


 なんだかんだと、エイトたちは姉妹間の絆がきちんとあるのだから。

 ………………。

 ………………。


「いやいや、エイト。説明するのなら、もう一人と合流してからの方が」

「あっ、戻って来たのですね。エイトもそう思ったのですが」

「セブンちゃんなら大丈夫」

「セブンちゃんは寝てる子だから」


 そう答えたのは、ファイブとシックス。

 どういう事? と、この場でもう一人の事を知っていると思われるフォーに視線を向ける。


「セブンはずっと眠っている子なのよ。眠る事で、魔力をその身に溜め続けていっているの」


 眠っているというのはわかった。

 でも、魔力をため続けているってどういう事?


⦅時空属性魔法は、その規模が広がれば広がるほど、飛躍的に消費魔力も増大していきます⦆


 ……つまり、そのセブンって呼ばれる子が俺を過去に飛ばす子で、目的の時間まで遡るための魔力を貯め続けているって事?


⦅はい。その認識で合っています⦆


 なるほど。


「でも、意思疎通が出来ないって訳じゃないから、特に問題はないけどね」


 納得していると、フォーがそう付け足す。


「え? そうなの?」

「不思議に思うのは仕方ないけど……まぁ、会えばわかるさ」

「それもそうか」


 でも、その前に。

 俺はファイブとシックスを見る。


「それじゃ、詳しい説明はセブンを交えてからって事で」


 行こうとすると、待ったが入る。


「詠唱~! 自由へのチケット!」

「詠唱~! 窮屈な思いをさせた神々に鉄槌を~!」


 やっぱり忘れていなか……ちょっと待って。

 今、神様たちに鉄槌を? とか言わなかった?


「「気のせい~」」


 そっか、気のせいか……じゃない!

 声に出していないのに答えるなんて、表情を読むのが早過ぎる。


「わ、我輩だって読めるからな!」


 フォーが焦るようにそう付け足してくる。

 疑いの視線を向けてしまうのは、仕方ないだろう。

 未だ、俺の中ではフォーのポンコツ感は拭えていないのだから。


 まぁ、それは置いておいて、今はファイブとシックスの詠唱が先か。

 ……お願いします。


⦅かしこまりました。始まりはこれまでと変わりません。それは大丈夫ですか?⦆


 大丈夫です。

 そこだけがまともだというのも、既に理解しています。


⦅では、次に、『双子って、それだけで成立している可愛さがあるよね』⦆


 まぁ……なんとなくは、理解出来そうな気がしないでもない。

 特別感があるというか。


⦅次いで、『似てるけど違う。違うけど似てるって……最高!』⦆


 もう意味がわからなくなった。

 ……感性の問題かな?


⦅その次は、『どっちだ? て、からかわれて弄ばれたくなる』⦆


 完全にわからない。

 とりあえず、一つだけ言いたいのは、それを詠唱文にするのは間違えていないだろうか? という事だけ。


⦅最後は、『毎晩双子に挟まれながら寝たい……』です⦆


 だからさ……最後の最後で欲望全開にするのはやめようよ。

 言わされるこっちの身にもなって欲しい。


 しかし、ファイブとシックスは、キラキラした目で俺が詠唱するのを待っている。

 ……わかってる。わかっているよ。


 無駄だろうという事はわかっているけど、それでも言っておく。


「誤解しないように」


 そうして、ささっと詠唱した。


「詠唱を確認しました。声紋によるマスター登録をしました。同時にマスターの魔力波形も登録しました。条件オールクリア。『対大魔王軍戦用殲滅系魔導兵器・特化型』……『ファイブ』。現状の最優先命令を全て破棄し、マスターからの命令のみを受け付けます」


「詠唱を確認しました。声紋によるマスター登録をしました。同時にマスターの魔力波形も登録しました。条件オールクリア。『対大魔王軍戦用殲滅系魔導兵器・特化型』……『シックス』。現状の最優先命令を全て破棄し、マスターからの命令のみを受け付けます」


 対応している属性は、ファイブが「光」、シックスが「闇」、だそうだ。

 ただ、ここから先は………………まぁ、案の定、そのまま受け取るよね。

 果ては、誰と誰に挟まれて寝たい? という話にまで進む。


 もちろん、ノーコメントで。

 今は、ファイブとシックスが合流した事を喜ぼうと思う。

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