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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第二章 竜とエルフ
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えぇと、まぁ……良いんじゃないかな?

 DDとジースくんたち、シャインさんとグロリアさんが、ビットル王国に向けて飛び立っていった。

 振り続けていた手を下ろす俺の胸中にあったのは、ただただ大丈夫だろうか? という心配だけ。


 う~ん………………不安で胸が一杯。


 もちろん、DDたちやシャインさんたちの事を心配している……訳ではなく、親友たちの方だ。

 なんだかんだと、DDは竜である。

 そう竜である。

 おっきな蜥蜴ではない。


 しかも、そこにシャインさんも加わっている状態。

 変に暴れていないだろうか?

 なんというか、こう……出会い頭に自分の力を見せ付けて主導権を握るために、なんかそこら辺の魔物とかを蹂躙していきそうな……。


⦅………………⦆


 こういう時になんか言いそうなセミナスさんが黙っているのも、不安を加速させている。

 ……でもまぁ、なんだかんだと大丈夫そうな気がしないでもない。


 何しろ、対応するのは親友たちなのだ。

 俺とは違ってコミュニケーション能力も高いし、上手く付き合っていけると思う。

 だから、DDやジースくんたち、シャインさんに関しては大丈夫だ。

 良い人たち? だとわかってくれるはず!


 問題なのはグロリアさんだ。


 セミナスさんが、わざわざ同行させて下さいと言うくらいなのだから、ビットル王国で何かが起こると推測出来る。

 ……個別のイベントとか?

 ただ、それが一体なんなのか……楽しみにと言っていたから、悪い事ではないと思うんだけど。


 はっ! まさか親友たちの誰かと!

 ……いや、でもなぁ……う~ん。


 ………………。

 ………………まぁ、良いか。

 セミナスさんも教えてくれないし、どういう事になったかは、会った時に聞けば良いや。


 そんな事を考えていると、インジャオさんとウルルさんがこちらに来るのが見えた。


「おや? 準備を終えている間に、もう行ってしまわれたようですね」

「ちょっと時間がかかってしまいましたね」


 このタイミングで来るとか、確実に狙って来たよね?

 そんな二人に、俺とアドルさんはジト目を向ける。


「おーおー、インジャオさんとウルルさんじゃないですか! 今頃登場ですか? 二人でイチャイチャして満足ですか? こっちは色々と大変だったというのに」

「そうだな。DDたちの相手をこちらに任せっ放しにして、二人はずっと自分たちの世界に引き籠っていたようだしな」


 俺に続いて、アドルさんもそんな事を言い出す。

 ……思い返せば、俺はシャインさんの相手をずっとしていた。

 その間、DDやジースくんたちとの触れ合いはそれほどない。


 ………………。

 ………………そうか。

 アドルさんが、DDやジースくんたちの相手をしていたのか。

 DDの性格から考えて、間違いなくダンス三昧だったに違いない。

 それは大変だろう。

 もの凄く大変だったろう。


 それなのに、俺だけ頑張ったみたいな風にして、ごめんよ。

 マラソン中に謀って、ごめんよ。

 アメンボ。


 わかってくれたか、とアドルさんから視線を向けられ、俺はわかったよと頷く。

 アドルさんと心が繋がった気がした。


 ふっふっふっ、苦労した者同士の結束は固いのだ!

 俺とアドルさんは協力して、インジャオさん、ウルルさんと少しでも苦労を分かち合おうと、これからねちねちと絡もうと思った。

 それぐらいは許されるよね?


 でも、その前にインジャオさんとウルルさんが、揃って頭を下げる。


「「それに関しては本当に申し訳ございません」」

「え?」「あ?」


 まさかいきなり謝られるとは思っていなかった。

 そのため、俺とアドルさんは出鼻を挫かれたようで、どもってしまう。

 戸惑っている間に、インジャオさんは更に言葉を続けた。


「本当に申し訳ないと思っています。ですが、そう………………今回の退避行動は、死活問題故でして」

「し、死活問題?」


 考えてもいなかった言葉が出てきて、ちょびっくり!

 すると、頭を上げたインジャオさんが、どこか悲しい目で遠くを見始める。


「自分、気付いたんですよね……」


 なんか哀愁を感じさせた。


「骨だけの自分って、ポキッと折れたら終わりなんじゃないかって……」

「………………」


 ………………。

 俺とアドルさんは、サッと視線を逸らして黙る。

 た、確かに、骨だけの状態で折れた場合、これってどうなるんだろう?

 なんか治るイメージというか、くっ付く気が全くしない。


 でも、ここは異世界。ファンタジー。

 そういう薬とかあるんじゃないの? という視線をアドルさんに向けると、黙って首を左右に振られた。


「なんと言えば良いですか……ハッキリ言ってしまえば、DD様に付き合い続ければ疲労骨折しそうですし、シャイン様に付き合い続ければポキッと気軽に折れそうで……そんな想像しか出て来ないんですよね」

「だから私は、怯えるインジャオを匿う意味も込めて、DD様とシャイン様から遠ざけていたんです!」


 ウルルさんが最後にそう付け加える。

 ………………。


「………………そ、そっかぁ。……う、うん。まぁ、そういう事なら……ねぇ? 仕方ない……かなぁ」

「それはなんと言うか………………なぁ。し、仕方ないと判断するしか……出来ないよ……な?」


 俺とアドルさんは確認し合うように言う。

 う、うん。仕方ない仕方ない。

 実際、DD、シャインさんと関わった事で、ポキッと折れてしまうインジャオさんが簡単に想像出来た。


 互いに何度も小さく頷き合う。

 ただ、その前に確認というか、聞いておきたい事があった。

 アドルさんも同じ考えなのか、インジャオさんの鎧の隙間から見える骨をチラチラ覗いている。


「うん。とりあえず、情状酌量の余地があるという事で、一旦この話は終わらせるとして……一つ聞いても良いですか? インジャオさん」

「わかってくれてありがとう。それで、何を聞きたいのかな? なんでも聞いて良いよ」

「勘違いだったらそう言って欲しいんですけど………………インジャオさんの骨、前よりも光沢があるというか……ちょっと光ってません? こう、暗闇の中だけでほんのり光る、みたいな……」

「………………」


 インジャオさんが首を一回傾げる。

 自分を指差すので、俺とアドルさんはその通りだと頷く。

 またまた~と手を振るので、いやいや本当なんだって! と手を振って訴えた。

 ……それじゃあ見てみる、とインジャオさんが鎧の一部を少し外して確認する。


 ………………。

 ………………インジャオさんが固まった。


「……え? 光っている! え? ……本当に光っている!」


 二度見して二度とも驚いている。

 インジャオさんは慌てているようだけど、それを見て、俺とアドルさんは逆に冷静になった。


「……まぁ、夜道とか洞窟とか困らなそうですよね」

「あっ、私は明るいと眠れない体質だから、鎧のままか幕で遮ってくれ」

「あぁ~、そっかそっか。大変ですね、吸血鬼って」

「いや、吸血鬼としての部分はもう克服している。ただの自分の性質だな」


 そっかそっかと、アドルさんと揃って頷く。


「……なんで急に冷静になっているんですか! 光っている! 自分、光っているんですよ! 緊急事態じゃないですか!」


 インジャオさんは困惑しているようだけど、俺とアドルさんはもう冷静である。

 寧ろ、冷静になったからこそ、わかる事もあるのだ。


「いや、だって……どう考えても」

「原因はウルルだろ?」


 三人揃って視線をウルルさんに向ける。

 視線が集中したウルルさんは、てへっ! と舌を出す。


「そういえば……最近手に入れた鉱石を使い出したとか、なんとか……」


 インジャオさんが思い出したように言う。

 それでピン! ときた。

 間違いなく、竜の領域で無断拝借したアウト鉱石の事だろう。


 これが表に出ればどういう事になるかわからないので、俺は空気を読んで口をつぐんだ。


     ◇


 とりあえず、インジャオさんの骨のほんのり光っている部分は、高密度の魔力を含んでいる事がわかった。

 どうやら、インジャオさんの骨密度と戦闘力が更に向上した、との事。

 ただ、今後気を付けるように、とウルルさんはアドルさんに少し怒られていた。


 ……反省しているかは怪しいが。

 またなんか見つけたらパク……無断拝しゃ………………使いそうだ。

 最終目標は、あるかどうか知らないけど、オリハルコンとみた!


 そうこうしている間に、ラクロさんがこちらに来る。


「もう行ってしまうのか。もっとゆっくりしていっても良いのだが」

「色々とお世話になりました。俺ももっとゆっくりしていたいんですけど、もう行かないといけないみたいで」


 ラクロさんの言葉にそう答える。


「そうだね。アキミチには、神解放の使命があるのだから」


 そう言いながら、笑みを浮かべたラクロさんが手を差し出してくる。

 俺も笑みを浮かべて、握手を交わした。


「頼って申し訳ないが、宜しく頼む。もし助けが必要なら、いつでも頼って欲しい」

「ありがとうございます」


 ラクロさんは、そのままアドルさんたちとも挨拶を交わしていく。

 それが終われば、いよいよ俺たちも出発の時だ。


「それでは、君たちの使命が果たされる事を祈ろう。いつでも来てくれて構わない。歓迎するよ」


 ラクロさんの言葉に笑みを浮かべ、その姿が見えなくなるまで手を振り続けた。

次から新しい章に入ります。

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