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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十一章 竜の住み処と世界樹
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歴史 今に続くのが歴史

 ……鍛冶力って何?

 俺はわからないけど、セミナスさんならわかる?


⦅知識としてはありますが、理解は出来ません⦆


 セミナスさんでも無理とか……恐ろしい力である。

 というか、予言の女神様が活躍……というか、輝く時ってあるの?


⦅さぁ? 当事者が輝いていると思う時と、周囲から見て輝いている時が別の時もあるし、なんとも言えません。ただ、予言の女神は、この世界における最大の功績を挙げています⦆


 ……最大の功績?


⦅私を作り出した事です⦆


 ですよね。

 いや、確かに助かっているけど……ちょっと待って。

 この世界における?


⦅はい⦆


 迷いのない力強い返事。

 実際に助けられている俺としては、否定しづらい。

 いや、否定するつもりもないけど。


 という訳で、ここで話を打ち切って、手記の続きを読む。


     ―――


 自身の専用の装備が出来るまで時間がかかるという事もあって、アイオリとエアリー、予言の女神はドワーフの国に留まらず、各国を回っていく。

 その目的はもちろん、ドラロスとも約束をした、人類を一つに纏めるためであった。


 そのために、勇者という存在は旗頭として最適であり、求心力もある。

 何より、わかっている者はわかっているのだ。

 そうしなければ、一つに纏まらなければ、あとは魔王軍に蹂躙されるだけだという事を。


 最早、状況はそういう段階にきているという事も。


 それは大国であればあるほど理解していた。

 寧ろ、状況、情報の入手速度と量が違うため、小国の方が情勢を理解していない。

 未だに自国だけは助かる、自国だけでどうにか出来ると判断するような国が存在し、そういう国を相手取るのは非常に厄介であった。


 何しろ、そういう国の王は自分勝手に振る舞う。

 無理難題を課したり、無茶な要求を平気で通そうとする。


 実際、アイオリとエアリーが勇者だとわかると、アイオリには自分の下について自国のためだけにその力を振るえ、エアリーには見目麗しいために王である自分の子を宿せなど、そのような自分の欲のままに要求を告げる小国の王が何人か居たのは確かだった。


 そして、そういう国の大半は、魔王軍に関係なく民が苦しんでいる。

 そうなってくると、孤児院もまともな運営が出来る訳もなく、孤児院出身であるアイオリとエアリーにはそれが看過出来ず、見過ごせない。


 何より、人類が一つにならなければいけない時に、王が自分の欲をただただ通そうとしているのだ。

 そのような者が王だと、一つに纏まった時も必ず和を乱すのは間違いなく、足を引っ張ってくるのは確実。

 また、竜たちの協力を得られると知れば、良からぬ事をしでかすのは明白。


 もしかしたら違う可能性もない訳ではないが、アイオリとエアリーの傍には予言の女神が居るため、危険分子、不穏分子は、現在でも未来においてもその存在は明らかになる。


「どうですか? 予言の女神様」

「う~ん……ちょっと待ってね」


 とある小国にて、アイオリとエアリー、予言の女神は、魔王軍に対して一つになる必要があると訴え、協力を求めた。

 その結果は――。


「聞くまでもないと思うよ、アイオリ兄さん。国王と仲良しの宰相の私の事を見る目は、欲望に塗れて隠し切れてない。絶対、協力する条件に私の事を入れてくるよ」

「……だろうね。王様の方も、俺に何かしら邪な目を向けていたし、優良な道具とでも思っているのかもしれない」


 アイオリとエアリーはそう判断する。


「はい! 出ました! どうやらこのままあの王と宰相が居ると、この国に住む人たちにとって、ううん、それだけじゃなくて周辺国にとっても良い事はないみたい」

「「やっぱり」」


 アイオリとエアリーにとっては、それはわかりきった答えだった。

 だが、予言の女神の言葉はまだ終わっていない。


「それと、確かに宰相はエアリーちゃんと狙っているようだけど、王の方はアイオリちゃん狙いみたいよ」


 その言葉に、アイオリが固まる。

 ちなみにだが、予言の女神がアイオリとエアリーを「ちゃん」呼びしているのは、二人が幼い頃から付き合ってきた名残りであって、二人がいくら言っても予言の女神が直さないため、もう諦めた形だ。


 固まった状態から少しだけ回復したアイオリが尋ねる。


「……えっと、それってどういう狙いか聞いても?」

「やだ。アイオリちゃん。私の口から何を言わせる気? そうね。まぁ、私は嫌いな……いえ、寧ろ大好物だけど、アイオリちゃんにはきちんとした相手と結ばれて欲しいから、ここの王はなしね」

「………………」


 もう色々答えている、とアイオリは目をつむって堪える。

 エアリーは、慰めるようにアイオリの肩をポンポンと叩く。


「……何気にアイオリ兄さんって、そういう類に好かれるよね。下手すれば、私より人気なんじゃない?」

「……やめてくれ、頼むから。それで、予言の女神様。この国はどうすれば救われるのですか?」

「そうね。幸いと言うべきか、現王の駄目なところを見せられてきたおかげで、後継である第一王子が王位に就けば、まともな国になるようです。私の『予言』に間違いありません! キラーン!」


 ビシッ! とどこかを指差す予言の女神。

 既に慣れた状況なのか、予言の女神の言動と行動は特に気にせず、アイオリが尋ねる。


「それで、これからの行動は?」

「どうやら、現状を憂いている第一王子が現王に対して反乱を起こそうとしているようですので、そちらに協力するのが最も早く確実な方法です」

「じゃあ、それでいこう」


 一度方針が決まれば、行動は速い。

 アイオリとエアリー、予言の女神は、早速とばかりに第一王子と接触し、反乱に協力して国を正常へと導く。

 それから現王となった第一王子との話し合いによって、魔王軍に対する協力を得る事になる。


 アイオリとエアリー、予言の女神は、度々こういう事を行いながら各国を回っていく。


 その行いが実ったのは、黒歴三年の終わり頃。

 大陸南部。当時最大国だった「ルベラ国」の王都。その王城。

 各国の代表者が集まり、一つの同盟が結ばれる。


 それは、魔王軍に対してのみ、国という枠組みを取り払い、人類一丸となって事に当たるというモノ。

 その中心に立つのは、アイオリとエアリー。勇者の二人。


 同盟の名称は、「永遠の絆(Eternal Bonds)同盟」。

 略して、「EB同盟」。


 ここから、魔王軍への本格的な反攻が始まる。


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