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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第十一章 竜の住み処と世界樹
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結局、どちらも大変だったという事で

 ダンジョンのボス的存在であるボーンドラゴンが、シャインさんによって倒された。

 これでこのダンジョンにも平和が訪れるだろう。


⦅別に訪れません。所詮、骨竜の魔力によって形成されただけの存在ですので、しばらくすればまた現れます⦆


 え? また現れるの?


⦅ここのダンジョンの魔力は豊富なようですから⦆


 ……まぁ、ドラーグさんが骨になるくらいまでここに居た訳だしね。


⦅まぁ、まずはそこの倒されたのがダンジョンの魔力として吸収されてからですが。ですので、その形が残っている今の内に、いくらか回収をお願いします⦆


 ……回収? 何を?

 いや、話の流れ的に、ボーンドラゴンの骨かな?


⦅はい。そうです。全部は必要ありませんが、いくつかは⦆


 まぁ、必要というなら回収するけど……アイテム袋の中に入るかな?

 一本一本、かなり大きいし。


⦅足りなければ、マスターの幼馴染の分も使用してください。豊富な魔力を含み、素材として優秀な部類ですから、専用の武具を製作する際に使用出来るでしょう⦆


 天乃と水連のもか。

 でも、武具のためなら協力してくれるかな?

 一応聞いてみると、そういう事ならと協力してくれた。


 あと、倒したシャインさにも、いくつか回収して良いか聞く。


「好きなだけ持っていけ。なんなら全部でも良いぞ。私はいらんし」


 いえ、必要数で大丈夫です。

 セミナスさんがOKを出すまで回収していく。


 それが終われば、いよいよ地上へ……大丈夫だろうか?

 やり残し、というか、やりたい事はもうないか確認。

 ……全員特になし。


 最後にセミナスさん。


⦅遂に地上に戻る時がきました。地上に居る者たちに教えてあげましょう。……誰が支配者なのかを⦆


 ……もしかして、地下帝国の住人ですか?

 しかも、多分トップだよね、その言い方。


⦅陽の光が届きませんからね。少しでも明るくなるように、と茶目っ気を出してみました⦆


 なら、俺がトップでも問題ないよね?


⦅もちろん構いません。私は陰で操るだけですので⦆


 セミナスさんが実質的支配者の地位か。

 恐ろしい地下帝国になりそうだ……じゃなくて。


⦅もちろん、戻っていただいて構いません。それに、あまり待たせるのもなんですし⦆


 待たせる?

 ……あぁ、竜の住処に向かった皆の方か。

 確かに、待たせ続けて状況がよくなるモノでもないか。


 なので、さっさと向かう。

 もう一度ドラーグさんへの挨拶を済ませ、スリーに頼んで地上へ。


「スリー。地上にお願い」

「わかった! それじゃ、お乗りくださ~い!」


 スリーが壁に大きな穴を開け、中に入ると何もない空間。

 ドラーグさん以外が入ったのを確認したスリーが拳を突き上げる。


「上に行きま~す!」


 なんとなく浮遊感が……と思っている間に、その感覚はなくなった。


「とうちゃ~く!」


 着いたようなので外に出ると……どこかで見た風景。

 なんとなく覚えがある。


「入ってきたところに戻ってきているわね」


 天乃の言葉で思い出す。

 今居るのは麓にある洞窟前。

 つまり、ダンジョン入口前だ。


 ……竜の住処前じゃないんだ。


⦅マスターが『地上にお願い』と言ったので、地上なのです⦆


 なるほど。

 それじゃ、竜の住処前にお願いだったら、竜の住処前に?


⦅行けたと思いますが、そもそも、そう気にするような事ではありません。迎えが来ますので⦆


 迎え? 来るの?

 どんな? と思ったが、その前にドラーグさんを召喚してしまおう。


 ………………というか、どうやって召喚するの?


⦅マスターと骨竜の間には魔力パスが出来ていますので、呼べば召喚されます。また、使用魔力は骨竜持ちですので、マスターに負担はかかりません⦆


 そうなんだ。

 随分簡単なんだね。


⦅複雑化すると面倒ですからね⦆


 助かります。

 という訳で、早速ドラーグさんを召喚して、地上を堪能――。


「見つけた! アキミチ! こっちに居たぞぉ~!」


 頭上からそんな声が届く。

 というか、聞き覚えのある声なので視線を向けると、空中にジース……くん? が居た。


 ジース……くん? らしき竜が俺たちの前に下りてくる。

 ……間違ってはいないと思うけど、一応確認。


「ジース……くんで良いんだよね?」

「他の誰かに見える?」

「いや、見えないから判別に困っているというか……」


 顔面……ボッコボコなんだけど……。


「あぁ、これね……姉貴が……」


 自嘲するように言うジースくん。

 姉貴って事は……女王竜か。


 会うのが怖くなるような事を、この短時間でしないで欲しいな。

 ……とりあえず、詳しい話を聞いてみる。


 DDの長期無断外出について取りなしに行ったジースくんたち。

 竜の住処に着いて直ぐ、取りなしに向かったそうだ。


 ……で、お小言はもらったけど、ジースくんたちにそれ以外は特に何もなかったらしい。

 あれ? もしかして怒っていなかった?


「いや、あれは今考えると逆だったね」

「逆? 何が?」

「自分たちを相手にして、溜め込んでいた怒りを少しも解放したくなかったから、お小言で済ませたんだと思う。……こちらはお小言で済んでどれだけ嬉しかったか」


 でも、最終的な結果は顔面ボッコボコだよね?

 いや……よく見ると、体の至るところに擦り傷っぽいのもあるな。


 続きを聞く。

 で、駆け込むようにして、詩夕たちとアドルさんたちと共に、慌てながらやってきたDD。


 その様子と、俺たちが居ない事で、何かが起こった事を察したジースくんたち。

 だが、その何かを説明する前に、DDは行こうとした。


 どこに? ……多分、俺たちを助けに、だ。

 俺の「責任はDD」発言が思いのほか効いていたらしい。


 だが、それをとめる女王竜。

 ジースくんたちによると、女王竜が自分の顔を見て逃げ出したと思ったのではないか、との事。


 とめても行こうとするDDに、遂に怒り出す女王竜。

 ボタンの掛け違いみたいな状況になったな。


 で、ジースくんたちが女王竜をとめようとしてボッコボコにされ……DDも逃げられずボッコボコにされた、らしい。

 まぁ、DDに関しては元々自業自得的な面があったから良いか。


 ある程度怒りを発散した事で冷静になった女王竜は、詩夕たちとアドルさんたちから事情を聞き、俺たちの迎えにジースくんたちを寄越した、と。


「……もう少し、ここで休んでいく?」

「いや、出来れば早く戻った方が……ありがたいかな?」


 そう?

 ……なら、そうするか。

 事情を聞き終えると同時に、ジースくんが呼んだ竜たちがこちらに現れる。

 もれなく全員ボコボコにされていた。


 会うの怖くなるなぁ……。

 詩夕たちとアドルさんたちは大丈夫なんだろうか?


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