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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第八章 軍事国ネス
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別章 軍事国ネス軍 対 大魔王軍 決着

 時は少しだけ遡り――。

 インジャオが魔王ヘルアトとやり合い始めようとした頃。


 平原で戦っていた軍事国ネス軍と大魔王軍の頭上に、黒い竜が舞い始める。

 その姿を確認した者は、双方問わず混乱した。


 何故、ここに竜が居るのか、と。


 この世界における、不可侵の存在である竜。

 通常は、大陸中央の山にしか居らず、そこから出ようともしない。

 なのに、この場に現れた。


 竜の力は個体にも寄るところはあるが、基本的に絶大であり、下手をすれば一体だけでもこの場に居る全ての者を蹂躙する事が出来るのだ。

 それが現れただけではなく、頭上を舞い続けている。


 混乱は当然であり、気が触れてもおかしくはない状況。

 これから一体何が起こるのか。

 気付いた者たちは手をとめ、足をとめて竜の動向を窺う。


 そんな竜の背から、何かが飛び出し下りて来る。

 それは二人の人物。

 アドルとウルルだった。


 地上に向けて飛び下りながら、二人は会話を行う。


「う~……私もあの魔王をぶっ飛ばしたいのに」

「仕方ないだろう。インジャオたっての願いだ。気負ってもいないようだし、任せておけば良い。騎士や兵士たちが向かっていたし、アキミチも保護してもらえるだろう」

「それはそうですけど」


 ウルルが不満そうに口を尖らせる。


「何がどうなって、アキミチはああいう状況になったのかはわからんがな、それに、寧ろ危機的状況なのはアキミチよりも軍事国ネスの方だ。一気に瓦解する寸前だからな」

「わかっていますよ。だから、魔王は任せてこっちに来たんですから。鬱憤はこっちで晴らします」

「八つ当たりか……だがまぁ、早く片付けば、インジャオの方に向かっても良いぞ。援軍も直ぐに」

「ウルル、いきまーす!」


 アドルの言葉に食い気味に反応したウルルが、地上に向けて一気に加速する。

 苦笑を浮かべたアドルも追随し、二人は何事もないように地上に着地すると同時に行動を開始。


「『獣の爪は裂くために 獣の牙は砕くために 獣の咆哮は放つために 特殊武技・狼大砲ウルフキャノン)』」

「『切り刻むために作り 斬り裂くために造り 貫き穿つために創る 血塗ブラッディれた槍蛇ランスネーク』」


 二人の武技が炸裂。

 大魔王軍への攻撃を開始した。


 また、この場に現れた者はもう一体。


「この馬鹿共がっ! この中に未来の優秀な踊り手が居たらどうする! 世界の損失だぞ!」


 咆哮と共に、DDによるドラゴンブレスが、大魔王軍の頭上から降り注がれる。

 三者による大魔王軍への攻撃に、味方が来たのだと理解した軍事国ネス軍は湧いた。

 好機だと、エイトたちと神々も、その動きに合わせるように更に激しい攻撃を繰り出していく。


 ここが決め時だと判断した軍事国ネス軍も力を振り絞って攻勢に出る。

 確かに、アドルとウルルは世界的にみても強者であり、DDは竜であるため、勢いを取り戻すには充分だった。


 けれど、大魔王軍も当然反撃に出る。

 優勢であった勢いそのままに。


 しかし、神々とエイトたちだけではなく、何よりDDという竜の力が大きいアドルたちの救援によって、大魔王軍は敗れるだろう。

 だが、瞬く間に、という訳ではない。


 軍事国ネス軍の消耗具合を鑑みれば、大魔王軍の敗北はいずれであり、直ぐではないのだ。

 その結果がもたらすのは、軍事国ネス軍も壊滅的なダメージを負う可能性は高い。


 ――このままであったなら。


 この場の空中に、更なる飛翔体が現れる。

 それも、竜。五体。

 DDよりは小さな体躯だが、内包している力は竜である以上強大だ。


 この五体の竜は、DDがダンスをする時には欠かせない音楽を担当していて、明道とも仲の良い、ジースと楽しい仲間たちである。


 だが、援軍はそれだけではない。

 ジースたちは五角形を描くような配置で飛び、その中央には大きな鉄籠……というか、巨大な鉄箱があった。

 その鉄箱と繋がっている紐をジースたちが持ち、ここまで運んできたのだ。


 ジースたちのドラゴンブレスによって、戦場の真ん中にポッカリと穴が作られ、そこに鉄箱が下ろされる。

 下ろされた鉄箱の四方が開くように倒れ、中から飛び出してきたのは、獣人たちだった。


「かかれっ! 大魔王軍を殲滅せよ!」

『オオオオオッ!』


 獣王ウルトランの号令の下、獣人たちが咆哮を上げて、大魔王軍に襲いかかる。

 その数、およそ五百。

 獣王ウルトランの子であるフェウルとウルアだけではなく、武闘会出場者たちも交ざり、獣人国の精鋭たちが揃っている。


 その数と強さと勢いは凄まじく、大魔王軍も疲弊していたという事もあって、獣人たちの援軍は致命的なダメージとなり、一気に追い込まれていく。

 この獣王ウルトランを筆頭にした獣人たちの援軍こそが、明道が出来る事をやった結果である。


 明道は、まず数を集めようと思った。

 ガラナたちの作戦会議と、セミナスからの情報で、軍事国ネス軍の数が足りないとわかったからだ。

 ただ、今から招集をかけても間に合わないため、そこをクリアすれば良いと考え始める。


 そこで考えたのが、来てもらうのではなく、連れて来れば良いのではないか? という事だった。

 輸送……と考えた時に思い当たったのが、DDたち。


 獣人国でダンスの普及活動をしているはずだから、「軍事国ネスでも普及をお願いします」とでも言って呼べば来るはずだから、その時に獣人国の戦士たちを連れて来てもらえば良いと考えたのだ。


 問題は二つ。

 DDたちにそれをどうやって伝えるのかと、獣人国の戦士たちをどうやって連れて来るか、である。


 直ぐに解決した。

 明道が頼ったのは、神々。

 神々なら飛んで行けるので、DDとの接触も出来るし、獣人国に話を通す事も出来る。


 次に運搬に関してだが、竜ならそう時間がかからずに獣人国から戦場まで来る事が出来るので、そこまで持てばなんだってよかったのだ。

 結果、鍛冶の神が超特急で鉄箱を作り上げる事になった。


 そうして神々を連絡係にして、DDたち、獣人国と密なやり取りをしている時に、DDが先行して来ようとしている事を知った明道は、それならばと、軍事国ネスに向かっていたアドルたちの回収をお願いする。


 獣人国の援軍到着とほぼ同じくらいになったのは、さすがに予想外だったが。


 そして、神々を使ってDDたちと獣人国の援軍は確保したものの、間に合うかどうかはギリギリであったが……そんな明道の行動が実を結び、軍事国ネス軍を救った形となる。


 戦況は完全に覆り、軍事国ネス軍側が優勢となった。

 大魔王軍に、再びここから覆せるだけの余力はない。

 エイトたちとシュラに、魔王ヘルアトと共に来ていた側近たちがやられただけでなく、この一連の流れをインジャオと戦いながら見ていた魔王ヘルアトが、早々に去ったのが大きく影響している。


 巻き返しは不可能だった。


 こうして、エイトたち、神々、DDたち、獣人国の協力を得た軍事国ネス軍は、大魔王軍の侵攻を阻止して勝利を得た。


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