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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第七章 お礼
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普通、見るだけで話は進まない

 洞窟の奥に居たのは、超硬質棍棒を持つ女性を除いて……五人の男女。

 男性二人に、女性三人。

 また、その中で男性二人と女性二人は、超硬質棍棒を持つ女性と似た鎧を身に纏っていて、残る一人の女性は、白を基調とした仕立ての良い服の上にローブを身に纏っている。


 一人だけ服装が違うという事は、あの女性が重要人物なのかな?


⦅はい。その通りです⦆


 なら、その人に話を通せば良いのかな? と思って近付くと、こちらに向けて攻撃態勢が取られる。

 ……ん? んん? あれあれ?

 もしかしてだけど、話が通っていないのかな?


「盗賊の残党か?」


 槍を持つ男性の一人が俺に問いかけてくる。


「いえ、違います。俺は皆さんを助けに来たのです」

「と、油断させて背後から討つつもりだろう?」


 かなり警戒心が高い。

 でもまぁ、仲間だと思っていた人たちから強襲を受けたのだから、全く知らない人が来たら警戒するような態度を取る可能性はあるか。


⦅これが普通の対応です⦆


 他にどんな対応があるの?

 あっ、もしかして、超硬質棍棒を持つ女性の事を言っているの?

 でもあれは、純粋だからであって。


⦅そこは蒸し返さなくても良いので、話を進めて下さい。まずはそこの者たちを安心させて、話を出来るようにするのが先です⦆


 確かに。

 でもそれは、そう困るような事じゃない。

 何しろ、既に超硬質棍棒を持つ女性は事態を把握しているのだから。

 説明お願いします、と超硬質棍棒を持つ女性に視線を向ける。


 ………………。

 ………………。


「そんなに私を見つめてどうした? まさか、惚れたのか?」

「いや、そうじゃなくて」

「ご主人様。見つめるなら、エイトがオススメです。なんでしたら、そのままそっと目を閉じるオプション付き。そのあとはご自由に」

「うん。エイトはちょっとの間、黙っていようか」

「その気持ちは嬉しいが、私はカリーナ様を生涯かけて守ると決めている。悪いが」

「そうじゃないって言ったでしょ」


 あれ? 話が進まない?


⦅思考回路が似ているのかもしれませんね⦆


 誰と? と聞く前に、ローブの女性が超硬質棍棒を持つ女性に尋ねる。


「あの方たちはシュラのお知り合い?」

「はっ! 先ほど出会いまして、男性の方には、こうして私の武器を取り返してくれました。女性たちの方には、外に居る外道共も蹂躙するのも協力して頂いたのですが、実際は私が外に出た時点でほぼ終わっていましたので、ほとんどあちらの戦功です」

「男性の方……女性たちの方……他にも女性が居るという事?」

「はい。外で逃げ出さない者が居ないか見張ってくれています」


 その会話に、鎧を纏っている男女四人は頭を抱え、ローブの女性は笑みを浮かべる。

 なんか、仕方ないなぁ……て感じの笑み。


「どうやら本当に助けられたようです。味方と判断するのはまだ早いですが、直ぐに襲ってこないところを考えると、何かしらの狙いがあるのかもしれません。その狙いがなんなのか、まずは話を聞いた方が良いと判断します」


 ローブの女性がそう言うと、わかりましたと一応警戒が解かれる。

 おぉ! なんというか、こちらが目的を持って助けた事がバレバレだけど、まずは敵じゃないと思ってくれたようでよかった。

 出来れば聞こえないように言って欲しいが、あとはこちらの目的を伝えるだけだ。


 ……えっと、その目的を聞いていなかったんですけど?

 確か、手土産……有効活用……なんの?

 セミナスさんが答える前に、ローブの女性が超硬質棍棒を持つ女性を伴ってこちらに来る。


 近付いてきた事で、その容姿が見えるようになった。

 ローブの女性は、赤い髪に、目尻が下がっている可愛らしい容姿。

 その見た目は俺と同年齢くらいで、ローブの上からでもわかるくらいにスタイルが良い。

 なんというか、服装が服装なら、どこかの国の姫様と思ってもおかしくないくらいだ。


 他の四人は何やら奥の方で片付けをし始めていた。

 なんとか持ち出した持ち物とかのかな?

 そう思っていると、ローブの女性が一礼し、次いで超硬質棍棒を持つ女性も一礼する。


「この度は助けて頂き、ありがとうございます」

「いえいえ」

「それで、どのような目的で助けられたのでしょうか?」


 直球でくるなぁ。

 でも、その目的は俺も知らない。

 なので。


「ちょっと待って」


 相手に手のひらを見せて、TIME。

 エイトを呼び寄せ、くるりと半回転して相手に背を向ける。

 相談するような態勢を取ったのは、カモフラージュ。

 一人だとただ突っ立っているだけになるしね。


 という訳で、セミナスさん。

 準備万端なので説明を。

 ………………ふんふん。なるほど。

 ………………ちょっと待って。


 エイトが手をワキワキと動かしながらこっちを見ている事に気付いたので、注意しておく。

 一体何をしようとしていた?

 エイトとの話し合いはあとに回して、セミナスさん。続きをどうぞ。


 ………………そういう事か。

 これは、助けられてよかった、と思う。

 再び半回転して、ローブの女性と向き合った。


「お待たせしました」

「別に待っていませんよ。相談をするような声は一切聞こえませんでしたが、相談は終わったという事で良いでしょうか?」


 笑みを浮かべるローブの女性。

 確かに終わったけど、相談じゃなくて説明ね。

 どっちでも良いけど。


「そうですね。終わりました。なので、一応というか念のための確認ですけど、あなたは軍事国ネスの女王『ガラナ・ネス』……様の妹である、『カリーナ・ネス』様ですか?」


 さすがに初対面で呼び捨ては駄目だと判断。

 特に相手は王族だし。


 けれど、ローブの女性は何も答えない。

 笑みを浮かべたままだ。

 ……なんだろう。分厚い扉がバタンと閉まったかのようなエフェクトが見える。

 警戒度を上げたって感じかな。


 このままでは本人確認出来ないと思ったが。


「なっ! えっ、いや、その……」


 隠し事は出来ませんとばかりに、超硬質棍棒を持つ女性が狼狽えている。

 うん。わかりやすい。

 ローブの女性も超硬質棍棒を持つ女性の態度に気付き、仕方ないなぁ……と笑みを浮かべて、俺の方を見る。


「はい。その通りです。それで、私がカリーナだと知って、どういう目的があるのでしょうか?」


 閉じられた分厚い扉に、頑丈な錠前がガチャンと付けられたかのようなエフェクトが見える。


「えっと……まぁ、どう言えば良いのか。とりあえず、ある程度はこちらの事情を伝えますので、それからなんですが、軍事国ネスの王都まで一緒に来て……戻ってくれませんか?」


 セミナスさん曰く、それが最速らしいです。


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