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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第七章 お礼
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中々上がらないくせに、落ちるのはいやに早い

 翌日。出発の準備を整える。

 食糧やテントなど、セミナスさんと相談しながら、必要な物をアイテム袋の中に次々入れていく。

 おやつはいくらまで?


⦅武闘会以降、マスターは中々外を出歩く事が出来ず、のんびりしている事が多かったため、少々たるんでいます。丁度良い機会ですので、ここで運動不足を解消しましょう。なので、おやつはなしです⦆


 ……はい。厳しい旅になりそうだ。

 その翌日。出発する。

 王城の門前で、アドルさんたちとウルトランさん一家に見送られる。


 急な出発になったため、フェウルさんやウルアくんから少々お小言を貰ったが、各国が揃ってEB同盟再強化の話し合いを行う時にまた会えると思うので、勘弁して貰った。


「ウチの分も頑張って。エイトちゃん」

「はい。頑張ります。またお会いしましょう」


 フェウルさんは、エイトに対して、なんの応援をしているのかな?

 いや、聞かない。藪蛇になりそうだし。

 というか、エイトがまた会いたいと言うとか……いつの間にそんな仲良く?

 通じるモノでもあったのだろうか?


「ではな。EB同盟再強化の時に、また会おう」

「はい」


 ウルトランさんと握手を交わす。

 あとで合流するけど、アドルさんたちとも一時の別れの挨拶を。


「それじゃ、一足先に軍事国ネスに行って、待っていますね」

⦅先に着いているのは、吸血鬼たちの方です⦆

「それじゃ、一足先に軍事国ネスに行って、待っていて下さいね」

「なるほど。先に着くのは私たちの方か」


 そうみたいです。

 そういう事は先に言って欲しかった。

 なんか締まらないでしょ?


⦅聞かれませんでしたので⦆


 いや、セミナスさんは、聞かなくてもわかるはずだ。


⦅こういう事の積み重ねによって、幸せな未来に辿り着くのかもしれませんね⦆


 ……それってつまり、今後もこういう事があるって事かな?


⦅………………⦆


 おっと、黙っちゃったよ。

 まぁ、気にしたら負けかな。


⦅その通りです。マスター⦆


 で、どうなの?


⦅………………⦆


 さすがに引っかからないか。


「それじゃ、アキミチ。自分たちが居ないのだから、無理しないようにね」

「そうそう。エイトちゃんとワンが居るとはいえ、アキミチ自身の戦闘力は防御超特化なんだから」

「わかっているって。インジャオさん。ウルルさん」


 別れの挨拶を済ませ、獣人の国の王都から出発する。


     ―――


 王都を出て、まずは地図を広げる。

 セミナスさん。まずはどこに向かっていけば?


⦅ここをこう……それで、そこをそう……⦆


 セミナスさんの指示通りに地図の上で指を動かしていく。

 まず、アドルさんたちとの合流場所である軍事国ネスの王都があるのは、ここから北西の位置。

 本来なら、ここから斜めに進んでいけば辿り着くところなのだが、俺たちはここから北に真っ直ぐ進んだのちに左折して、緩く斜めに進んでいく感じだろうか。


 うーん。本当に遠回りしていくようだ。

 その経路を、エイトとワンに説明する。


「なるほど。わかりました」

「あいよ」


 納得して、エイトが俺から地図を奪い取り、ワンは拳を手のひらにバシバシ打ち付けて、やる気を滾らせ出す。


「えっと……」

「経路の指針はお任せ下さい」

「しっかりと守ってやるからな、主!」


 ……手持ち無沙汰というか、何も出来ない子、みたいな感じなんだけど。


⦅適切な配置です⦆


 結果よければ全てよし。という事にしておこう。

 では、出発!

 並び順など関係なく、適当にだらだらと進んでいく。


 ちなみにだが、移動手段は馬車ではなく徒歩だ。

 セミナスさんが言うには、馬車では進めない森の中とか、悪路もあるそうなので、徒歩という事になった。

 良い運動になるんじゃないかな。


 ………………。

 ………………。

 そんな事を思っていた時期もありました。


 辛い。超辛い。

 あれ? なんでもうこんなに疲れているの?

 もっとこう……体力だけはあったような気がするんだけど?


「確実に運動不足です。ご主人様」

「武闘会の時と違って、今は駄目駄目だな。主」

「ぜはぁー……ぜはぁー……」


 言い返す体力も今は惜しい。

 まさかここまで体力が落ちているなんて。


⦅ですから、運動不足解消なのです。マスターの体力はこの世界に来てから急激に伸びましたが、その反面、定着していない以上は落ちやすくもあるのです⦆


 つまり、習慣的な運動が不足していたって事?


⦅ありていに言えば、はい。その通りです⦆


 ……運動って大切だね。

 という訳で、運動も兼ねて先を目指す。

 ただ、こういうのは周りのサポートも大切だ。


「食事の方はお任せ下さい」

「運動メニューでも組み立ててみるか」


 ありがとう。エイト、ワン。

 でも、ちょっと待とうか。

 まず言っておくのは、その心遣いは嬉しいって事だ。

 本当だよ。


「で、エイト」

「はい。どうかしましたか?」

「その見るからに怪しい食材は何? トカゲっぽいのとか、亀っぽいのとか」

「主に、夜にハッスルするための代表的な」

「うん。要らない。そういうのは求めてないから」


 遠くに放り投げてしまいたかったが、食べ物を粗末にするのはよろしくない。

 なので、とりあえず、エイトからそういうのを全て回収し、アイテム袋の中に仕舞っておく。


「………………」

「まさか、そこまでしょんぼりするとは……」


 エイトが、しゅーん……としている。

 確かに、見ているだけで可哀想になってくるけど、返そうとは思わない。


「次に、ワン」

「何かあったか?」

「……厳し過ぎる。一日で出来るトレーニング量じゃないよね?」

「あたいは出来るけど?」

「うん。基準を自分にしちゃう、ありがちなミス! 今の俺の状態から判断して!」


 ワンが俺の上から下まで、下から上までをゆっくり見て……。


「わかったぜ!」


 親指を立て、満面の笑みでそう言うワン。

 本当にわかったのか怪しい。

 リテイクは納得するまでやるからな!


 そんな感じで、体力向上をメインに運動しながら進んでいく。

 でも、これって軍事国ネスに着くのが遅れるんじゃないの?


⦅問題ありません。その辺りも計算しての時間配分ですので⦆


 だと思った。

 さすがセミナスさん、としか言えない。


 ところでセミナスさん。

 今、軍事国ネスに向かっていない以上、これはどこに向かっているの?


⦅マスターが希望した、お礼をするための場です⦆


 だからそれはどこだろう? と思ったのだが、着けばわかると判断。

 というよりかは、今はそんな思考の余裕がない。


「ぜはぁー……ぜはぁー……」


 運動きっつい。

 なんでこう、体力って中々向上しないのに、落ちるのは早いんだろうか。

 人の体って不思議。


 日数は数えていないけど、そうこうしている内に辿り着いたのは、戦いの跡が未だ残る平原に建つ黒い神殿だった。


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