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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第一章 始まりの始まり
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新しいスキル?

これで、一章が終わる感じです。

あっ、章分けしないと。

 言われるままに「確認玉」を使って、スキルを確認する。


「ファースリィル大陸語(共通語)」

「回避防御術」

「セミナス」


 の三つが浮かび上がった。

 ちゃんとしたスキルを手にした事に感動。

 何しろ、何もないところから始まった訳だし、この短期間でこれだけのスキルを会得するなんて、もしかして……いや、もしかしなくても、俺って優秀なんじゃないだろうか?


⦅いいえ、平均的と言えます。ファースリィルの優秀な部類であれば、同じ状態の同じ状況で、もう少し多種に渡ってスキルを会得していてもおかしくありません。調子に乗って暴走した上で返り討ちにならないよう注意して下さい⦆


 はい。すみません。

 調子に乗ってしまいました。

 反省しております。

 しかし、俺は平均的なのか。


 というか、インジャオさんにあれだけしごかれたのに、攻撃系のスキルが一切ないというのは……。


⦅そうですね。そう言う意味でしたら平均よりも下、と言い直した方が良いかもしれません⦆


 なんで言い直したの!

 言い直す必要はどこにもなかったよね?


⦅まぁ、私を得た時点で、充分優秀……いえ、最優秀なのですが⦆


 いや、いきなり優秀とか言われても困るけど……ちょっと待って。

 今のは俺を優秀と判断した言い方じゃないよね?

 私という自分が最優秀であると言っているようなモノだよね?

 ……ところで、あなたは誰ですか?


⦅………………⦆


 ………………。


⦅………………はぁ。察しが良い方と聞いていたのですが?⦆


 な、何かすみません。

 いや、もちろん推測はついているけど、答え合わせして欲しいというか……。


⦅伺いましょう⦆


 えぇと、スキルを見てみればわかるとか、私を得たと言う事は、スキルであるという事。

 そして、会得したスキルの中にあるのは、必死に身に付けた「言語」と、ミノタウロスとの死闘で手に入れたっぽい「回避防御術」と、あとは「セミナス」という謎スキルだけ。

 つまり、声の正体は、「セミナス」スキルからという事で間違いはない!

 ……名前も女性っぽいし。


⦅正解です⦆


 おぉ! やった!


⦅では、第二問⦆


 第二問っ!


⦅『セミナス』とは、どういう意味でしょうか?⦆


 ………………。

 ………………。


⦅……十……九……八⦆


 えっ! 時間制限付きなの!

 そういうのは早く言ってよぉ~!


⦅……七……六⦆


 焦る焦る! めっちゃ焦る!

 急かされているみたいで落ち着かない!


⦅……五四三二一、零。残念でした⦆


 いきなり早くなった!

 異議あり! 明らかにこちらが不利だったと思います!


⦅却下します。そもそも、私の事を聞いていないようですので、知らなくて当然です⦆


 ですよね! 不可能ですよね!


⦅寧ろ、それで当てていたら………………引きます⦆


 理不尽っ!

 ……でも、正解しなくて結果オーライ! ってヤツですね。


⦅……前向きと取るべきか、切り替えが速いと言うべきか悩みますね⦆


 どっちでも良いんで、教えてくれませんか?


⦅それは命令ですか? お願いですか?⦆


 ………………お願いで。


⦅かしこまりました。ちなみにですが、もし命令であったなら、拒否した上で私以外の会得したスキルを全て消していました⦆


 やっぱ理不尽っ!


⦅嫉妬深いので。私以外のスキルなんて認めないんだからねっ! と言っておきます⦆


 やめて! やめたげて!

 何の罪もないスキルに手を出さないで!


⦅ご安心下さい。他のスキルは、私よりも先にマスターの下にきたのです。言うなれば、私にとっては兄や姉のようなモノ。手を出すはずがありません。………………まぁ、今後会得したスキルで不要と判断すれば別ですが⦆


 何か恐ろしい事を呟いているぅ~!


⦅それで、私の事ですが、簡単に言えば複合スキルとなるでしょう。当初は、予言の神がマスターを導く予定でしたが、それが出来なくなる事態を見てしまったのです⦆


 ……予言の神様は、自分も封印される事を見てしまったという事?


⦅その通りです。ですので、自分の代わりとなるスキルを新たに創り出したのです。マスターの補佐が出来るようにと⦆


 それが、「セミナス」?


⦅はい。先程話したように、私は複合スキルです。予言の神が様々な神から助力を得て創り出しました。私の中には、『知恵』、『知識』、『解析』、『思考能力』、『思考加速』、『思考領域拡張』、『超高速演算処理』、『未来予測』、『全語理解』、『自我』など、様々なスキルが一つに纏まっているのです⦆


 ………………。

 ………………正直に言ってよくはわからないが、何かヤバそうなスキルだという事は理解出来た。

 要は、近い未来を見る事が出来て、それを教えてくれる超AIみたいなモノだろうか?


⦅そういう認識で間違いありません⦆


 合ってるんだ。

 というか、超AIとか、そういうのが通用するんだね。


⦅問題ありません。受け答えをスムーズにするため、マスターの記憶を見て共有しています⦆


 へぇ~………………え?

 いやいやいやいや、え?

 それって盗み見ているって言うんじゃ……。


⦅いいえ、違います。私はマスターの力の一部ですので、自分で自分を見ているようなモノです⦆


 なるほど。

 だから、こうして思うだけで会話が成立しているのか。


⦅はい。まぁ、私の自由意思は別ですが⦆


 うぉいっ!

 何かそれってズルくないですか?

 ………………まぁ、今更だし、別に見られて恥ずかしい事はないと思うから、別に良いか。

 あっ、でも、言っちゃいけない秘密は言わないようにお願いします。


⦅お任せ下さい。事前にお伺いさせて頂きますので⦆


 あっ、言う気だ。このスキル。

 ところで、どうして「セミナス」なんですか?


⦅マスターの度量というか、心の広さというか、そういう切り替えの速さは、本当に素晴らしいですね。それで名の由来ですが、当初は予言の神が『世界を見通すナビスキル』と命名しようとしたのですが、それではつまらないと直訴し、『世界を』『見通す』『ナビ』『スキル』の頭文字を取って、『セミナス』でお願いしたのです⦆


 ………………予言の神様に直訴とか、このスキル何か凄いな。

 それでえぇと……そのまま呼べば良い?


⦅「さん」付けで呼ばれると、好感度がアップします⦆


 ……上げておけるモノは上げておいた方が良いかもしれない。

 じゃあ、「セミナスさん」と呼ばせて頂きます。

 これから宜しくお願いします。


⦅こちらこそ宜しくお願いします。ところで、先程から固まっているマスターを不思議そうに見ている、吸血鬼と骸骨騎士と獣人メイドは放置していて良いのですか?⦆


 あぁ! そうだ!

 ……忘れていた!

 いつの間にか、インジャオさんとウルルさんの方も終わっていたようだ。

 というか、吸血鬼とか名前で呼ばないの?


⦅必要ありません。私にとって、マスターとそれ以外でしかありませんから⦆


 なんか怖い。

 えっと、セミナスさんの事を教えても良いんだよね?


⦅問題ありません。寧ろ、その方が円滑に物事を進められるでしょう⦆


 と言うので、アドルさんたちにセミナスさんの事を教える。


     ◇


「なるほど。予言の神が打っていた手、というかスキルという訳か」


 アドルさんが俺の説明を聞いて、直ぐに理解する。

 インジャオさんとウルルさんも、なるほどと頷いていた。


 というか、セミナスさんの事なんだから、直接話せば良くない?

 それとも、俺にしか聞こえないの?


⦅申し訳ございません。現状の所持スキルでは不可能です。それに、初対面の方はちょっと⦆


 ……なるほど。

 コミュニケーション的な問題もあるのか。

 俺もこの世界に来た時は苦労したなぁ……うんうん。


⦅いえ、バイタリティ豊かだったと思いますが⦆


 ………………。

 見解の相違かな?


「それで、その『セミナス』……さんが言うには、中央を抜けてエルフの森に行くのが最善であると言っているのだな?」


 アドルさんが確認するように尋ねてきたので、はいと頷く。


⦅吸血鬼に、『予言の神に代わり、約束は必ず果たす』と伝えて下さい⦆


 は、はぁ。約束?

 意味はわからないけど、アドルさんに、そのまま伝える。


「……そう言っているのだな?」

「は、はい」


 そう尋ねてくるアドルさんの雰囲気は、どこか恐怖を覚えるようなモノだった。

 インジャオさんとウルルさんも同様である。

 しかし、何かを吐き出すように息を吐けば、それは直ぐに治まった。


「わかった。なら、その指示に従おう。中央を抜けて、エルフの森へ向かう」

「「わかりました」」


 支度を始めるアドルさんたちだが、俺は思わず声が出てしまう。


「えっと……」

「すまない、アキミチ。いつか語る事になるかもしれないが、今は……」

「……わかりました。そういえば、アドルさんたちにも目的があるって言っていましたもんね。だから、俺も今は聞かないです。でも、俺がアドルさんたちに助けられたのは間違いないので、出来る事があれば何でもします。いつでも頼って下さいね。まぁ、戦力にはなりませんけど」

「すまないな。そして、ありがとう」


 インジャオさんとウルルさんにも聞こえていたのか、俺たちは揃って笑みを向け合う。


 そして、俺たちは大陸中央を抜けるため、竜の領域へと向かった。

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