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この行く道は明るい道  作者: ナハァト
第四章 一時の再会
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万事解決です

 俺の冒険者ギルドカードの登録期間を無期限にするために、セミナスさんが導き出した答えは「情報」だった。

 要は、ギルドマスターにとって得となる情報を与える、というモノ。


「……情報を見返りに、無期限にしろって事だろ?」

「言葉を濁さなければそうですね」


 ギルドマスターから、そんな情報が本当にあるのか? とでも言わんばかりの疑いの視線を向けられる。

 本当にあるの?


⦅あります⦆


 なら、問題ない。


「そもそも、今の状況ですら、ちょっとした異例なんだ。そこから更に異例を重ねようってんだから、どういう情報かは知らねえが、生半可な情報じゃ俺は動く気にならねえぞ」


 ……多分、こっちを試しているとかじゃなく、言っている事は本当の事なんだろうな。


⦅相手がどのような態度を取ろうが問題ありません。最後に跪くのは相手の方ですので。なんでしたら、マスターの靴先を舐めるようになる終わりに切り替えましょうか?⦆


 切り替えません。

 やめてあげて下さい。

 仮にも、相手はそれなりの立場の人ですので、あとあとが怖いです。


⦅そちらも問題ありません。心を根元から折り、粉々に切り刻んで、マスターに反抗する意思すら持たないようにしますので。アフターケアに抜かりはありません⦆


 出来るからってやっちゃいけない事はあると思う。

 俺がストッパーにならないと。


 とりあえず、まずは登録期間を無期限にするための情報である。

 セミナスさんに聞きながら、ギルドマスターに伝えていく。


「えっと、まずは……俺が出て行ってからも書類仕事が続くと思いますが、頑張って行って下さい」

「はぁ?」

「それで、丁度その窓から陽が見えなくなったら、たとえどのような状況でも書類仕事を切り上げて、執務机の二重引き出しに入っている隠し資金の、五分の一くらいを持って冒険者ギルドを出て下さい。あっ、予定では、最後の書類はそう大した内容でもないそうなので、大丈夫だと思います」

「いや、待て。なんで隠し資金の事を」

「で、向かう先は……えっと地図……言えばわかる? ……ようなので、道具屋に寄って毒消し用の薬を購入して、そのあと総合武器屋『鉄の世界』に行って下さい。そこで手にするのが一番安価らしいです」

「……何がだ?」

「あっ、注意点として、毒消し用の薬を必ず持っていく事。慌てずに落ち着いて使用して下さい。それと、ギルドマスターとして正しい行動を心掛けるようにした方が良いそうです」


 言い切ると、ギルドマスターは頭を抱えていた。


「………………覚えきれませんでした?」

「いや、覚えられない情報量ではないが……まぁ待て。色々言いたいが、そもそもこれはなんの話をしたんだ?」

「ですから、情報です」

「さっぱり意味がわからない」


 まぁ、これだけじゃあねぇ。

 でも、セミナスさんがあまり俺に未来の事を言わないのと同じ事が言える。

 知ってしまうと未来が大きく変わってしまう可能性があるため、全てを伝えない方が良いという事だ。


 なので、俺がギルドマスターに言える事は。


「まぁ、騙されたと思って、言った通りに動いてみて下さい。良い事が起こりますから。それじゃ、また明日来ます」


 そう言って、俺はエイトを連れて出て行った。

 結果は、明日来ればわかるそうだ。

 エイトと共に王都観光をして、王城に戻った。

 喫茶店があって、ナポリタンっぽいのがあった事にちょっと感激。

 コーヒーもあって美味しそう――。


「エイトが先に試飲し」

「なくて大丈夫だから」


 ちょっと騒ぎ過ぎてしまったので、お店の人に心を込めて謝った。


 翌日。

 再び冒険者ギルドへ。


「エイトが道案内を」

「昨日普通に行けたでしょ!」


 冒険者ギルドに着くと、待っていましたと言わんばかりにギルドマスター室に。

 出迎えたのは、満面の笑みを浮かべるギルドマスター。

 凶悪な笑みにしか見えないのは、きっと気のせいじゃないと思う。


「その顔、上手くいったみたいですね」

「あぁ。意味がわからないまま、とりあえず行動してみたが……上手くいったのは間違いない」


 セミナスさんによると、なんでもギルドマスターは鍛冶が趣味らしい。

 で、今は、自分専用のこだわりの剣を作っているそうだが、中々手に入らない素材がいくつかあるそうだ。

 そこで昨日俺が言った情報は、手に入っていない素材の一つが格安で手に入る手順。


 あの時間帯に指定した武器屋に行くと、ある冒険者一行が現れる。

 その冒険者一行は、その武器屋に素材を持ち込む事で新たな武器を作って貰う約束をしていた。

 持ち込んだ素材は、ギルドマスターが求めているモノではない。


 これで武器が作って貰えると、冒険者一行は喜ぶ。

 ギルドマスターはその様子を眺めていたが、異変が起こった。

 冒険者一行のリーダーが顔を青くして急に倒れたのだ。

 原因は、素材を集めている時に倒した魔物の遅効性の毒。


 直ぐに処置しないといけない危険な状態だったが、駆けつけたギルドマスターの手には毒消し用の薬があり、難なく処置される。

 ギルドマスターは当然の行動をしただけだったが、冒険者一行は命を救ってくれたのだから、お礼がしたいと引かない。


 そこで提示されたのが、冒険者一行が手に入れていた別の素材で、希少素材。

 それこそが、ギルドマスターが求めていた素材の一つ。

 偶然、手に入れていたそうで、あとでどこかに売るつもりだったらしい。

 それを譲りたいと。


 ただ、さすがにそれは釣り合わないと、ギルドマスターは買い取る事にした。

 金も必要だろうと、持ってきていた隠し資金の五分の一を丸々渡したそうだ。

 それでも、いざ普通に購入しようとするのに比べれば、破格の値段らしい。

 原価で買ったようなモノかな。


 ちなみにだが、原価で買っても相当の値段らしい。

 ……どれだけの資金を隠していたのやら。

 でもまぁ、そこら辺は知らなくても良い事だ。


「上手くいったのなら、何よりです。それじゃあ」

「あぁ、良いだろう。充分満足出来る情報だった。ギルドマスター権限を使って、お前のギルドカードの登録期間を無期限にしておく。周囲から文句も言わせない。……ランクじゃなくて、本当に良いだな?」

「別に構いません。それに、ランク上げよりは楽でしょ?」

「確かにな。……ただ」

「安心して下さい。必要な事以外で、こういう事はしませんから」

「それなら良い。良からぬ事を考える者も居るからな。注意するように」


 そこら辺も大丈夫じゃないかな?

 セミナスさんが警告してくれるだろうし。

 でも、そういう慢心が駄目だった、みたいな事もあるかもしれないから、注意された事はきちんと覚えておこう。


 そのあとは、ギルドマスターが受付嬢さんを呼び、無期限設定にするためにギルドカードを一旦渡す。

 もう準備を終えていてくれたようだ。

 その処理が終わるまでの間、適当に雑談というか、ギルドマスターの熱い鍛冶論が展開されたので聞き流しておく。


 処理が終われば即座にギルドカードを受け取り、セミナスさん曰く、特に受けなければいけない依頼もないそうなので、冒険者ギルドをあとにした。

 カノートさん家に行って体を動かす。


 それから数日間は、これといった事は起こっていない。

 俺としては、詩夕、常水と一緒にセミナスさんのお願いに直ぐ向かうかと思っていたのだが、 色々と調整が必要なんだそうだ。

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