最終回 異世界のマ歯車鍛冶!!
この世界に来てしばらくが経ち、俺もこの世界に大分順応出来てきたと思う。元の世界で見て来た、いわゆる異世界なろう系小説のようにあちこち旅して冒険するような生活は……いや、冒険してるな。旅行だったりムリヤリ拉致られてだけど。まぁともあれ、トラブルに巻き込まれつつも最善を選んで生きてこれたような気がする。
両親からの愛情を受けられず祖父母に育てられ、その祖父母も両方亡くし、なにもかもを無くして茫然自失だった俺はいつの間にかこの世界に異世界転移していた。今でもなぜこうなったのかはわからない、でもきっとあのまま元の世界で暮らしていたらと思うとすこしゾッとする。今のように友人や近しい人達と冗談交じりに言葉を交わしあうなんてことはできなかったはずだ。ましてや自分にはもったいないと思えるほどのお嫁さんたちを娶れるなんて。
教会の聖堂の横にある控室その一で正装を着たマーソウとキヤが話し合っていた。
「改めてスケジュールを確認したが、結婚式ってヤツは随分と短いんだな。そういうものなのか?」
「うんにゃ、それは人それぞれじゃねぇかな。王族とかは式典込みでクッソ長そう、偏見だけど。俺らはさ、平民だしあんまり長々やるのもアレだしな。身内しかいないし」
「平民、か。なお当工房比だがな。身内というが、参列客の中に貴族や王族が混じってるが? というより平民より上流階級の人の方が多くないか?」
「義理堅い人が多いだけだからHAHAHA……全体数は少ないから! な?」
「まぁ、そうだな。なお護衛の人たちを含めないものとする」
「スゴいよな、俺もリキ入れて探知しなきゃ潜んでる人見つけられないくらいだし。スゴ腕しかいねぇやHAHAHA!」
「そもそも覚られないのが向こうの仕事だと思うぞ、なんでお前はそんな専門職の人を探知できるんだ」
「個人的にあのクソカルト教団の一件が尾を引いてまして……無理言って何人配置されるか事前に聞いて、俺が会場全体を軽く見張ってるのを向こうの人たちには伝えてあるから…」
「なんかすまなかった」
「えぇんやで」
なんやかんやあって式は始まる。
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規模としては小さめな教会の中にはなかなかの数の参列者が集まっていた。この数日後に式を挙げる予定の国王夫妻ことギルガメス夫妻、パーシヴァル近衛兵長とその奥さん、オンディス侯爵とその執事ハンド、ハナツキ商会会頭シゲゾウとボディーガード、帝国辺境伯嫡子のナルニィエス、大魔女エリナ、そして行方不明という体になっていた大英雄ボルタ・エディットソン。冒険者枠ではS級冒険者ギルバとそのオトモであるミリィと新しくパーティ入りしたデクタスの二人、そしてキヤがよく魔物の素材集めの依頼を出すハローワールドの三人。そして商業ギルドのキヤ担当受付嬢シャルノーム。さらにキヤの魔道具に助けられた数家の貴族当主やその奥さん等々。
身内それぞれの地位がデカすぎる。この中でちゃんと普通と呼べるのはギルバの雑用係であるミリィとデクタス、そしてハローワールドの三人くらいのものだろう。ギルバのオトモ二人は今可哀そうなくらいに委縮してしまっているし、ハロワの三人は鉄火場よりも重苦しい雰囲気で緊張して汗がダラダラだ。シャルノームは青ざめた顔で引き攣った笑顔で座っている。一応貴族や王族が秘密裏に集まるということで、キヤも言っていた通り護衛の人は変装したり姿を隠してわんさかといたりする。
ちなみに少し前まで居た勇者たちは旅立った。理由は推して図るべしだ。男性陣は去り際にキヤと拳を突き合わせ、『次はさらなる性戦士の高みで!』などと言っていたため両方の女性陣からしこたまボコられていたりする。去り際の彼らの涙は女性陣の折檻による痛みか、それとも。
そして神父はなぜかマキナだ。キヤも当初は「いや一応女神様名乗ってるのに女神様自身が神に仕える神職の役やるってどうなのよ」と突っ込んだが、マキナはいつも通りの無表情で「多様性の時代というやつです。学院出身の高学歴がなぜか旅芸人やったりするアレです」とのたまった。この女神自由過ぎる。背後の女神像より神々しい神父が居るか。ここにいたわ。
ちなみに数日後に控えたギルガメス夫妻の結婚式の神父もマキナがする予定である。最早ジーバングル国始まって以来の黄金期に行われた神に認められた結婚式、後年歴史家によって盛られること間違いなし。そして王家の歴史に食い込んでくる謎の平民技術者。なお後に名誉貴族として名を残しているとある人物の前身である。
と、教会の鐘が響いた。同時に教会の大扉が開かれ、四人の人が入ってくる。オンディス侯爵にエスコートされたサツキ、そしてゴルドワーフ(正装)にエスコートされたカレンだ。サツキとカレンはそれは見事なウエディングドレスを着ており、壇上で見ていたキヤが思わず呆けた顔をしている。キヤ視点ではマキナよりも女神女神していた。二人のその姿に参列者の女性陣は一気に静かに色めきだっている。おじ様たちは「おぉっ」と声を上げてしまったために隣の奥さんに抓られていたりする。
キヤは頭を振って正気に戻り、二人を迎え入れ三人で神父マキナへと向き直る。
「汝、コウタ・キヤ。サツキ・イガラシ及びカレン・フェアリスらを妻として、永遠に愛することを誓うか?」
「誓います」
「汝ら、サツキ・イガラシそしてカレン・フェアリス。コウタ・キヤの愛を受け入れ彼の者の妻となり永遠に愛することを誓うか?」
「「誓います」」
「それでは指輪の交換を」
待機していた人型ミニMRCたちがそれぞれ台座に置かれた指輪を捧げ持ち、キヤ、サツキ、カレンへと渡す。そしてそれぞれの指輪を交換した
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
あれから数か月。本当に色々あった。結婚式が終わり皆に祝福され、テンションが爆上がりしたキヤがニケと一緒に空に巨大な虹をかけたり。オンディス侯爵の部下である使用人たちがからかい半分でキヤを試したり。ドラゴン事件やたまにギルドに出没するカレンのファンになった冒険者にケンカを売られ返り討ちにしたり。
そして今日。新たな貴族がジーバングル国に生まれた。
当主の名は『コータ・マギアスミス』。ジーバングル国に未曽有の発展と繁栄をもたらした立役者であり、ギルガメス・ジーバングルの、いや、ジーバングル貴族たちのお気に入りである。
今日も王都郊外の彼の屋敷に併設された工房からは愉快な作業音や大声が響いている。当主がまたやらかしたのか、それとも別の何かか。
「というワケでキヤ、もといマギアスミスにはダンジョンマスターになってもらう」
「最後の最後で出てくるセリフじゃねぇ~~~~?!?!」
くぅ~疲れました(笑)これにて完結です!
はい、いろいろありましたが書ききることができました。だらだら物書きもどきしてきて完結させたのは初めてで感慨深いです。最後までお付き合いしてくださってありがとうございました。ではまた次回作でお会いできれば。
優暮バッタ
次回作予告?
なんの変哲もない平凡な毎日、今日もそんな日が続くはずだった。突如として現れた非現実的なモンスター、それはとある大人気ゲームに出てくるキャラクターとしてのモンスターにそっくりで?! 現実に突如としてブレンドされた非現実、国の重鎮は頭痛で寝込み、一般人も現れたモンスターたちに振り回されたり振り回したり、そのゲームを出した会社は文字通りドえらいことになったり。世界規模で起こった非現実に現実世界が立ち向かう? 結局のところ、シンプルに語らい合えば全て解決したりする、そんなお話。やっぱ日本って未来に生きてんな(諸外国一同)
リアライズ! モンスターショック!!!




