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6話 初めて『パーティー』組みました

 「飯が出来たぞ、家の母さん特性スープだ!! おかわりもあるし、戦う前にはしっかり食って行けよ」


 俺は親父さんとフリードに連れられ、食卓に案内された。食卓や、廊下の壁にはフリードが幼少期の頃から、英雄になった頃の写真が沢山飾られている。写真があるってことはカメラがあるってことか、おそらくテツさんの発明だろうな。


 「母さんのスープを食べるのは久しぶりだな」

 「フリードは実家にはあまり帰らないのか?」

 「そうだな、結婚してからは全く顔を出してないからな」


 そういえばフリードは既婚者だったな、だが不思議な事に結婚式や嫁さんの姿が写っている写真が見当たらない。きっと何か訳があるんだろうが、今は聞くのはやめよう。フリードの母さん特性スープは野菜的な物がベースの何とも口当たりの良いスープだった。俺が三杯おかわりした頃にはフリードが全部食べてしまって、二人ともこれから魔物と戦うのに動けるか心配だった。


 「ハッハッハ!! 少し食い過ぎたかな」


 フリードは少しどころかデカイ鍋ひとつ空にしたぞ、セリアの胃袋はどうなってるんだよ。


 「よし、それじゃ早速パーティー組むぞ」

 「パーティー? って一緒に冒険出来る的なやつか?」

 「そう言う事だ、わかってるじゃねえか‼︎とりあえず最初は俺がリーダーになるから、俺宛にパーティー申請を出してくれ」

 「どうやってパーティー申請を送ればいいんだ?」

 「お前、傭兵所で連絡デバイス貰わなかったのか?」


 そんな便利な物あったのかよ、そんな事言われてもないし貰ってもいないぞ⁉︎さては、あのですですロリっ子が忘れやがったな。


 「すまない、貰ってないみたいだ」

 「仕方ないな、取りに行くのも面倒だし俺が昔使ってたのやるよ」


 この国の英雄に武器と連絡デバイスまで用意してもらうなんて、どう恩返しすればいいんだろう。俺は気付いたら色んな人に面倒見て貰ってばっかだよな、だけどこれからは強くなって自立しよう。フリードは俺の腕に何やらタッチパネル式の腕時計を付けてくれた。


 「これが連絡デバイスってやつか?」

 「そうだ、タッチして色々操作できるんだぜ?凄い便利だよな、これもあの爺さんの発明品だ」


 マジかよテツさん凄すぎだろ、メニュー画面があってそれを押すとホログラムのように立体表示される仕組みだ。メール機能的なのもあって、傭兵達に現在いる国や傭兵団のお知らせも届くみたいだ。


 「最初は初期設定してステータスの同期だな、それが完了したらフレンド申請を選択して、申請が完了したら俺がパーティー申請を出すから参加許可してくれ」


 とりあえず初期設定だな、ステータスを同期……おっ、出来たみたいだな。それからフレンド申請、近くの傭兵と傭兵番号入力って書いてあるな、傭兵番号ってのは首に下げろって言われた認識票の番号って事だな、納得した。今回は目の前にフリードがいるから近くの傭兵でいいんだな。えっと、レベル60フリードってやつか、おいおい!! めっちゃレベル高いだろ、英雄ってのはマジなんだな。


 「フレンド申請送ったぞ、それにこれってレベルとかも見れるんだな」

 「そう言う事だ!! よし、フレンド登録完了だ、フレンド登録するとホログラム電話やステータスも見れるようになるぞ、自分のステータスを見られたくないやつがいたらそいつを選んで非公開にすれば見えなくなる仕組みだ」


 ホログラム電話か、むしろ元世界より進んでるだろ、ステータスはフリードになら見えても構わないだろ、どうせ低いしな。


 「パーティー申請送ったぞ、参加許可しといてくれ」

 「参加許可したぞ、これでいいのか?」

 「それでいい、パーティーを組むと魔光が山分けになる」


 なるほどな、パーティー人数が多くなると取得する魔光は均等に分られるから少なくなるわけか。ともかくこれでパーティーが組めたわけだな。いよいよ町の外に出て魔物とご対面だ、ヤバイ……緊張して来た。


 「どれどれ、お前のステータスちょっと見てやるよ……なんじゃこりゃ‼︎低過ぎだろ、よくこんな適正が出て来て傭兵になろうとおもったな、やっぱりお前は面白いやつだ」

 「あはは……女神にも散々言われたよ、だが運だけは良いらしいな」

 「確かに運の数値は桁違いだがマズイぞ、この体力ならこの辺の魔物クラスで一撃即死だ」

 「ちょっと待て、一撃即死はヤバイだろ、まだ死にたく無いぞ!!」

 「うむ……まあ、俺が援護するから何とかなるだろ、だがしっかり防御と回避するんだぞ」


 防御と回避って俺は完全素人傭兵だぜ……人間相手の喧嘩とかなら沢山して来たけど、それとは訳が違うだろうな。


 「俺の命はフリードに預けた、頼んだ!!」

 「おう!! 任せとけ、魔物は凶暴だから気を引き締めて行けよ」


 マジで怖くなって来た、完全ビビってる、だけどレベル60の英雄と一緒なら大丈夫だろう。俺とフリードは町の外へ出る門にたどり着くと、門番らしきセリアが立っている。


 「フリード様、珍しいですね! 外へお出掛けですか?」

 「よお、ご苦労さん、ちょっくら新人傭兵と散歩してくるさ」

 「ここ最近、魔物が凶暴になっていると傭兵団から通知があったのでくれぐれもご用心を」

 「そうらしいな、近々俺もセフィーヌ様と調査にでる予定だ」

 「そうですか、では行ってらっしゃいませ」


 魔物が凶暴になってるって、やっぱりテツさんが言ってた災いと関係があるのか? それとセフィーヌって傭兵登録の時に見た女王の名前だよな。でも新人傭兵の俺には一国の女王とかそんなの関係ない話だし、今はこれから戦う魔物に集中しよう。俺達は門を抜け外に出でた。道はそれなりに舗装されていて、辺りには魔物らしい姿はまだ見えない。


 「それじゃ、晩飯までゆっくり散歩するか!!」

 「フリードにとっては普通の散歩かもしれないが、俺は一撃即死の命かけた散歩だろ!!」

 「ハッハッハ!! そう固くなるな、俺がついてるさ」


 そんな会話をしていたら何やら舗装された道の遠くから、かなりデカイくテカテカした物体がこちらに向かってきた。


 「おい気を付けろ、かなり厄介な魔物が来ちまったな、デビュー戦にしてはちょっと厳しいヤツだ」

 「マジかよ、死にたくねえ……」


 どんどん近づいてくる、フリードの言う厄介なヤツはかなりデカイく不気味な動きをしている。正直想像していた魔物とは天と地ほどの差があった。俺は近づいてくる魔物の気迫に圧倒され、恐怖で動けなくなっていた。


 「こいつは……久しぶりに良い散歩が出来そうだ、しっかり俺の戦い方を見てろよ!!」


 フリードは、ステータス激低の素人新人傭兵を抱え、果たしてこの厄介なヤツを倒せるのだろうか。


 俺は完全お荷物だが、かつて英雄と呼ばれたフリードの実力は……

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