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高校ぐらし

 高田馬場の自宅件店舗を焼き出された哲子達深川ファミリーはホテルに一時避難していたが、宿代も馬鹿にならないし両親は仕事を見つける必要もある。それらの問題を一挙に解決する為にあえて敵地・東陽町に乗り込むことにした。そしてなんと母ちゃんが潜伏先に選んだのはなんと哲子が通う都立東陽高校であった。

 「ここよ」

 「うちの学校じゃん」下校する生徒がまだチラホラいる中で同じ制服を着て両親を伴う哲子は少しきまりが悪かった。

 「ここの購買部に住み込みで働くの。父ちゃんは用務員も兼務してね」

 「哲子、わし頑張る」何故かやる気にあふれている。

 「言っとくけどうちは女子校じゃないからね」

 「わかっとるって、きしし」もう嫌な予感しかしない。

 職員室で挨拶を済ませると私たちは購買部に向かった。ここで文房具とかパンやジュースを売るのか。購買部は私も日常的に利用している。カウンター式の売り場の奥は六畳間になっていた。なるほど、ここで生活する訳か。早速上がり込んで荷物を下ろす。

 「ここって」

 「こんなむさっ苦しいところでごめんね」いやいや、私の学校だし。

 「前の店舗とあまり変わらんじゃろ?」そうなのである、店舗件住居という意味では慣れ親しんだスタイル、場所が馬場から学校内に移ったことを除けば。

 「ここに試着室をこしらえてだな」試着室?学校指定ジャージは売ってたかな。

 「お昼にはここで東陽ライスを売れるわね」

 「お願いそれだけはやめて」私がそう言うと、目に涙を貯めてハンカチを噛みしめる母ちゃん。

 「まぁ、売れないから良いか…」

 「哲子ちゃんありがとう」本当に先が思いやられる。

 「哲子、わしゃ制服の買い取りを始める」喜々と計画を打ち明ける父ちゃん。そう来たか。私は体制を立て直しこう言った。

 「いやいや、そんなサービス聞いたこと無いし、色々問題があるでしょう」

 「でも、商品燃やされちゃったし?」うっ、良心の呵責に訴えかける作戦か。うちが火事になったのは私の苗字がアジトにバレたのがきっかけですからね。ま、ここに潜伏するのも一時的なもののはず。そんな痛い事にはならないだろうと踏んだ私は、取り敢えずこれらの問題を不問に付すことにした。この楽観的な期待は見事に打ち砕かれることになるのだが。

 こんな感じで取り敢えず住まいと両親の仕事は確保された訳です。

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