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白紙の後 旋

作者見直し用だったんですが時間の都合により、当分このままUPします。

誤字やら何やら気にしないのなら見て下さい。

今年中には改訂版として出す予定です。

白紙の後


ふと目が覚めるとベッドの上で2人きり、隣には女が横たわっていた。


思考回路がパンクしそうな頭を落ち着かせ上半身を起こす際に着いた手に違和感を覚える。


"グチャ"


「んっ?」咄嗟の対応は虚しく声を出す事しか出来ない。

湿っているというにはあまりに水っぽい

布団の触り心地。


掌を顔に向けるとそれはそれは綺麗な真紅の液体。


"鮮血血だまり"


布団から飛び起き周りに目を凝らすとそれは女から出ている事は容易に検討がついた。


「やっとあなた様はここに来られた」


背中から聞こえた声に反応し顔を振った。

その感一秒にも満たない。


瞼を一瞬閉じて開けた瞬間。


世界は目が眩む程、真っ白な世界へと変貌を遂げていた。


空と地の境目も無く、自分が浮いている感覚に陥るが今いる場所はどうやら地上であるという事は足に伝わる体の重みが理解させてくれる。


だがどうだろうか、俺は思いの外冷静だった。


見た事がある様な気がしてならない。

そればかりか心から安堵すらしているのである。


「それはここが世界の隙間だからでしょう」


白い世界で話しかけてきたのは間違い無く見覚えのある初老の男だった。

ウールのような素材のハットにロングコート。

直角を表すかのような佇まいは英国紳士の気品と明治時期の古き良き日本を象徴するかの様だ。


「今のあなたならわかるはず、"今までの世界"がどうであったか」


今断絶された世界の記憶のピースが集約する。


謎の女との出逢いと別れの世界

小説家に奇妙な事が起きた世界

松本宗次がおかしくなった世界

そして顔覚えの良い男が奇妙な体験をした世界



全ての主役は俺だった。



「全ての記憶が集約し、今あなたは個を手に入れました」


テレパシーのように、俺が至った確信に答え優しい口調で話す老人。


彼もまた "自分"なのだと悟る。


「その通り、私はあなたのキーパー(断絶記憶保管者)とでも言いましょうか」


「この狂った世界を何度も何度も体験する内、あなた様は大事なことを忘れていったのです」


老人は確信へと話始めた。


この世界が何なのか、それを知る術は今の所無い。

世界1つ1つに自分の設定があり、それに基づいたストーリーがある。

色々な世界を渡り歩く内に記憶の容量がいっぱいになり、俺は


"自分を失ってしまった"


名前も顔の容姿さえも全て失ってしまった。


「記憶には容量がありますが一瞬で消えるわけではありません、少しずつ毒のように侵食していくのです」


「だからこそ俺は自分を忘れていく事に気づけなかった」


「この事態に気づいた時にはもうすでにあなたは自分を無くしていました。」


そう言いながら老人に渡されたのは赤い縁の手鏡。

その手鏡に写っていたのは黒いクレヨンで塗りつぶした顔のような形をしたモノ。


そのモノは自分。


記憶から消え、この世界からはじき出された自分の顔。


「まだ打つ手はあります」


と老人は話す。


この世界は法則が無いように見えて法則がある。

世界と世界つまり物語と物語には順序があり、それは法則だと今回の件で知ったと老人は言う。


「今回の物語、つまりはあなたが殺された女を追う物語と謎の女との出逢いの話が少なからず繋がったのです」


"繋がった"


つまり今回の世界から謎の女の世界へ繋がったということは物語を戻せるという法則を確率したという事にもなる。


「その通りです。何度も世界を周り、あなたは自分を探すヒントとこの世界の謎を解くことが出来るのです。」


「そしてもう1つの法則はキャラクターの存在です」


例えて言うなら友人の松本宗次がわかりやすいだろう。


どの物語でも彼は"俺の親しい友人"として存在している。


「固有名を持つキャラクターを"メイン"。

固有名を持たないキャラクターは"エキストラ"とあなたはおっしゃっておりました。」

メインには必ず名前があり物語の役割を果たす。


エキストラは言動行動に制限があり、物語に役割を持たない。


「エキストラに何を聞いても無駄って事か」


「その通りです。そこで問題があります」


キーパーは少し間を置いた。


「この世界ではメインの記憶は次の物語には引き継ぎ出来ません

あなたですら記憶の容量の問題がある」

「ですが1つだけ引き継いでしまう事があります」


そうそれは



"死"



つまりキーパーの言いたい事はこうだ。

まずは無くしたモノつまり"自分"を取り戻さなければならない。

自分を知る者からヒントを得る事がこの世界を知り、理解する唯一の道であると。

その1人である"謎の女"を生存させ、彼女の役割を知らなければならないのである。


「あの謎の女性こそ、あなたを知っているやもしれないのです。そして彼女を生かし次の物語へ、死の引き継ぎを阻止せねばなりません」


「そうか、わかった」


俺は小さく頷いた。


「私はただのキーパー、あとはあなたがこの世界の謎を、そして自分を見つけなければなりません」


向かうは


"あの世界"


俺は瞼を閉じ、あの情景を思い浮かべた。

ネオンライトビームが鬱陶しい夜の街。


"謎の女"が居る"、あの夜の街へ。


vagp'.Tj#dpgdgw'##dpwpp"ppmpdpe.pdhyre.'.........


re:turn of secret girl.



先程とは真逆の世界。


"深淵暗闇"


瞼を開け閉めしても、現在(いま)がなんなのかはわからない。

察するに移動しているのだろうがそれは仮定での話だ。


しばらくすると瞼の上に幽かな光が突き刺さる。


目を開けて周りを見るとネオンが 光り輝く夜の街。


「目的地には着いた」


自分に言い聞かすように小さく吐息の様に呟いた。

着いて早々異様であることに気付かされる。

店の入口すら見えない程の人混みの中に俺の周りを2m程の穴が開いている。

自然に不自然に開けられた穴は日常生活では類を見ない異様な穴だ。

キーパーが言っていたエキストラである。

役割を持たないこの人形達は夜の街の

ネオンを着飾ったマネキンそのものだ。


如何にしてメインを妨害をしないように自然であるかが彼らの役割とも言える。

その役割が不自然を生み出している事に彼らは気付きもしないだろう。


話しかけてもエキストラには2から3パターン程の会話しかなく、情報交換と呼ぶにはあまりに粗末である。


呆気に取られたのは束の間、まずは自分の服装と持ち物を調べる。


服装はフォーマルな黒のスーツセットアップ。

持ち物は財布と


胸ポケットを手で叩くと裏側には微かな段差がある。

それはあってはならないもの。


元気(いま)あってはならないモノ。


裏側のポケットから


"木製の鉛筆"


が姿を現した。


これはあの占い屋兼ラーメン屋を営む老婆から渡される物。

最初の時点で持っている訳がない、いま現在始まりの時点でこの鉛筆は俺の手元にある。


自分の疑問はこの世界には些細な事なのが怖い。


恐らくどういう手段を取ろうともこの鉛筆を持ってさえいれば話は進むのである。


しかしあの老婆には必ず何らかの役割があるはず、この鉛筆を渡す。つまりキーアイテムの入手経路でないとするならば老婆の役割とは何なのか、、


一応俺は何の期待もせず財布を開けた。

求めたのは身分証明書であるが望みは薄い。


カード入れは三つあり綺麗に三枚のカードが入れられている。

この世界の俺の設定は几帳面であるかもしれない。

壇上になったカード入れ、上段にあるのは、どこの店ともわからぬポイントカード。

中段にあったのは白紙のカード、裏表共に綺麗な白いカード。

材質は名刺の様なザラついた厚紙。

下段には免許証があった。

何の躊躇も無く勢い良く引き抜く。

そこに望みは無いとわかっているからだ。

それでも調べるのは0.0000001%でも手がかりがあれば・・・と思っていれりからだ。


だが虚しくも確率は確率。


免許証は何か黒いペンシル、すなわち鉛筆の様な黒光りする物で名前、顔、住所塗りつぶされていた。


おかしい事は百も承知、免許証は光沢仕上げ、鉛筆で塗り潰す事など出来るはずがない。

だが現に免許証は明らかに鉛筆で塗り潰されている。

手で擦っても何をしても、それは消えない。

普通の鉛筆ならば手でも消せるはずだがここは普通じゃない。


”狂った世界”


俺は早々に財布をポケットに放り込み、老婆が占い屋を構える路地裏へと足を運んだ。

俺が歩く度に人波に亀裂が走る。

掻き分けて進む必要も無い。


まるで小さいがモーゼの十戒の様だ。


しばらく歩いていると、これまた異様な光景が目に入る。


前方に人波が裂けた場所があるのである。

そうその裂けた場所こそが老婆の居る路地裏。

路地裏はまるで街に空いた穴の様にポッカリと口を開けていた。


躊躇など一切せず、俺は暗闇に体を委ねた。


'bpnauags'eavmv&dt'(dwu'tmnamwt'vni@wt......


暗闇の中を必死で歩く。


夜の街のライトはこの路地裏には一切届かず、まるで夜の森を裸で歩いているような感覚である。


「今度は大丈夫みたいだね」


しゃがれた声と共に1つのランプがポツリと点き、暗闇を晴らした。


「言いたい事はわかるよ。」

あの占い屋の老婆は机にある水晶を見つめながら話す。

「疑問だらけだろう?私が何なのか、そして何故私が渡したはずの鉛筆をお前さんが持っているのか」


「その通りだ、お聞かせ願おう」

俺は机に両の手を付けて前のめりで話した。


「まず私についてだけどね」


老婆は目線を俺の目に写した。


途端に俺の頭は透き通った水に差した光が如く晴れ渡った。


そうこの老婆はあの老人と同じ、"俺"なのだ。


役割はアドバイザー(助言者)。

電車の中で現れた時も何かを仄めかしていた。


「助言者というよりかは警告者の方が合ってるだろうね」


「それにねぇ言っておくけど、私が知ってる事はあんたが知ってる事」


「この物語の概要は話せないのさ、何せあたしは助言者であり警告者だからね」


「何故あなたのようなキャラクターを生み出したんだ?話の核心を補完するキャラクターを生み出していれば」


こう考えるのに無理はあるのだろうか?


「そう思うのも無理は無いねえ、ただあんたが作れるキャラには限界があるんだよ、何せあんたから生まれてるんだから、この話の核心を知らないあんたがね」


分身は本体以上にはなれないという事。

記憶保管者も警告者もつまりは自分の記憶から形成した者。

大事だと思った部分には警告者を登場させ、物語を少しでも好転させようとした結果である。


だが警告は警告である。

俺が聞く耳を持たねば、小言にしかならない。


「ではこの物語の警告は何だ?」


「この物語にはどうにもならない事柄が1つある。それを避けるという事も出来るが、それを避けるという事はあんたの望みすら避ける事になる。そしてその2つを繋げるのは他ならぬ、その鉛筆じゃ」


確かに鉛筆は謎の女が求めていた物。

これがなくては謎の女との出逢いもなかっただろう。


「どうにも出来ない事柄とは何なんだ?それと何故鉛筆が最初から俺の手元にあったんだ?」


アドバイザーは俯く。


「どうにもならない事柄とはこの物語の以前に関する事さね、与えられた時間でしか、この物語は存在しないのでね、以後は変えれても以前は変えられぬ」


「人間の記憶ってのは曖昧なもんさね、忘れたくない記憶、忘れたい記憶、それらを自分で分けて自分の都合の良いようにしてしまう。」


"それが人間というものさね"


「それ以上の事は言えないねえ、何と言っても私は助言者。記憶を取り戻したあんたには必要の無いもんさ」


保管者も助言者もいわば保険。


ゼロになった時の手助け目的。


俺が歩を進め"1"になった瞬間、必要性は亡いに等しい。

だが本当にそれだけか?と疑問を抱く。


謎の女以前も恐らく数々の世界を渡っていたはずであるが、残念ながら記憶は無い。


だが思うに大変な


"孤独"


だったと思うのだ。


共感者なども居らず、ただ1人で違う世界を延々と繰り返す。


これほどの苦痛はないだろう。


愚かと罵られても良い、彼らは所詮俺から生まれた者、俺の分身。


だが世界からはじき出された者と会話が成立する者が居るだけで良いのではないか。


俺はそう思う。


「意味ならある、居てくれ」


「甘えんぼさんだね、私は消えやしないよ。あんたが消えるまでね」


krdt(mjbat't'/tsjojrub@muepurmtv......


アドバイザーが言うと机で灯っていた小さなランプが消え、辺りに雑多音が響き始めた。


兎にも角にも行くしかない。


あの道へ、あの女の元へ。


俺はあの女が待つ道へと歩を進めた。


女が居る場所にはすぐに着いた。

足早に歩を進めていたのもそうだが、道がエスカレーターのように動いている様だからだ。

様だからだと思ったのは確実とは言えないからであり、尋常ではない早さでここに着いた理由を説明できるのは、"まるでエスカレーターの様だ"としか言えないからだ。


ここですよ!と言わんばかりにまた人混みには大きい裂け目が出来ていた。


迷う暇も躊躇も無く、一気に女の元へ足を運ぶ。

その歩数5歩、時間にして3秒の出来事である。


「ねえ、何か書くもの持ってない?、、、例えば鉛筆とか」


女はしゃがんだまま、顔をこちらに向けて笑顔を見せた。


俺は左裏のポケットから鉛筆を取り出して女の差し出した手に放った。


「やっと逢えたね、運命の人」



@aqmtjAtnetvjstsxvlntvjujsnazonoonnaha.missreadjtlitmjjtjtvpi#atmxvga@jnjraj-/////


次の瞬間、塞がった瞼に光が差した。


重い瞼を開けると露出したライトが天井から見下ろす様に照らしていた。


「そういう事か」


理解して頭を大きく両の手で抱えた。

誤算だった。


世界をしっかり回り周りさえすれば、謎は解けると、記憶の保管も問題はないと。


"そう自分に言い聞かせていた"




だがそれは大きな間違いだった。




この世界には特定の場所で縛りがあるのだ。


私は以前、鉛筆を渡す前に女にキスをされ気絶しこの部屋に来た。


"気絶"もしくは"時間の省略"は確定で起きるという縛り。


この縛りがあることによってこの世界への滞在時間は恐らく一時間程になる。

アドバイザーが言っていた、"どうしようもない事柄"まさにどうしようもない事。


あと時間の省略は1回、飛ぶと警察の署内まで飛んでしまう。


そしてBAD END。


ここからが正念場。


そしてこれが狂った世界の常識。


俺が顔を扉に向けると女はバスタオル姿でこちらを覗いていた。



「何を見てるのかなー?」


「教えてくれ」





"お前は誰だ"

見てしまったのですね、、、近い内に直し入るよきっと。

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