◎~ENORAⅢ~◎
たとえ夢の中の事であろうと・・・私は信じる・・・
※本当は本名で呼んでくれてますが、あえてペンネームにいたします※
とある日の夜にて・・・
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「本当にこんなジャップに私達が見えるの」?
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「ちょっと、そんな言い方しなくても・・・もう戦争は終わったんだよ」
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「私から見れば東洋の黄色の猿よ」
私のベットの横で何か話し声が聞こえ、その声で私は起きた
重巡利根
「誰だ?・・・こんな夜遅くに・・・」
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「久しぶり、利根」
重巡利根
「ん?え、エノラか」?
また会いに来ると言って帰って言ったB29エノラ・ゲイの精霊、エノラが、私の前に再び現れた
重巡利根
「久しぶりだな、一年ぶりか・・・頑張ってるか」?
エノラ
「うん・・・スミソニアンで私は頑張ってるよ」
重巡利根
「そうか・・・こっちも頑張ってるんだけど・・・中々上手くいかないよ・・・」
エノラと話していると後ろから・・・
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「ちょっと、私をほったらかして何二人で世間話してるのよ」?
エノラの後ろから少女が現れた、身長はエノラとほぼ一緒で、髪の色は金髪で、顔立ちもエノラにそっくりだった、違うのは髪の長さである
エノラはセミロングで、少女はショートヘアーであった
重巡利根
「ん?後ろの娘は誰だい」?
エノラ
「この娘はボーク、本名はボックスカー」
重巡利根
「ボックスカー」!?
??ことボーク
「その驚きようだと私の事を知ってるらしいわね」?
ボックスカー、長崎にプルトニウム原子爆弾、『ファットマン』を投下した爆撃機として知られている爆撃機である
重巡利根
「あ、あぁ・・・アメリカ合衆国の爆撃機、ボックスカーだろ?長崎に原子爆弾を落とした・・・」
ボーク
「えぇそうよ、貴方達野蛮人が住んでいた国に正義の鉄槌を落とした爆撃機の精霊よ」!
ボークの言葉で私は少しムッとしてしまった
エノラ
「ボーク、そんな事言わなくても・・・」
重巡利根
「いいよエノラ、当時のアメリカから見れば日本は東洋の野蛮人としか見られてなかったんだから・・・」
ボーク
「あら、このジャップは自分の立場を分かってるじゃない」?
重巡利根
「(ジャップって言葉を聞いたのは1年ぶりだな・・・)」
エノラ
「ボーク!そんな事言うんじゃないの」!!!
エノラがボークを怒った
ボーク
「ふんっ、負けた国の人間をどう言おうと私の勝手よ」!
エノラ
「それは60年以上も前の事でしょ!?もう日本との戦争は終わったのよ」!
ボーク
「私から見れば何年経っても敵国の人間よ」!
自分の目の前で喧嘩をする二人
重巡利根
「・・・うるさぁあああいぃ」!!!
エノラ・ボーク
「「((ビクッ))」」!!??
私が一喝して二人を黙らせた
重巡利根
「ボークさんの言葉にも一理ある、だけどもうあの戦争は終わって今のアメリカ合衆国はこの日本国と同盟を結んで友好国となっているんだ・・・昔は昔、今は今さ」
エノラ
「そうよ・・・それに、私達は大きな十字架を背負っているのよ・・・」
ボーク
「はっ?十字架?あの原子爆弾を落としただけで何でそんな物を背負った事になってるの」?
ボークは反省せずにそのまま自分の意見を毒舌交じりに言った
重巡利根
「・・・ボークさん?・・・君は、君が落とした原子爆弾の被害の事を知っているのかい」?
ボーク
「はぁ?なんで私がそんな事を知らなきゃならないの」?
重巡利根
「・・・・・・・・・」
この言葉に私はベットから起き上がって、本棚にあるある本を取り出してボークに渡した
ボーク
「ん?何これ」?
重巡利根
「原子爆弾による被害の写真集だよ・・・広島、長崎の両方の被害写真が出ている・・・取り合えず見るだけは見なさい・・・」
そう言って私はボークに写真集を渡し、ボークは本を開いた
ボーク
「この本が何だって言うのよ・・・っつ」!?
ボークは写真集を見て言葉を失った
重巡利根
「・・・その写真集の説明文には出てないが・・・イギリス人捕虜1人とオランダ人捕虜7人の合計8人も死んだ・・・君の落とした原爆のせいでな」!!!
ボーク
「・・・・・・・・・」
渡しは声を荒げてボークに言った
エノラ
「・・・これでも十字架は背負ってないって言えるの・・・ボーク・・・」
ボーク
「・・・・・・・・・」
部屋の中は物音立たずに時間が過ぎて行った、その沈黙を破ったのは・・・
ボーク
「・・・この写真の人って・・・何歳なの」?
ボークが写真を指差して言った
その写真は、全身に大火傷を負った少女の写真だった
重巡利根
「・・・その娘の年齢は14歳だよ」
ボーク
「14歳・・・か・・・」
それだけを聞いて、再びボークは黙った
しばらくして、ボークが口を開いた
ボーク
「・・・エノラの言った事が少し分かった気がするわ」
エノラ
「ボーク」?
ボーク
「最初はエノラが敵であった日本に魂を売ったかと思ったの・・・だけど・・・そんな事は無かったわ・・・」
重巡利根
「・・・・・・・・・・・・」
渡しはボークの話を黙って聞いた
ボーク
「貴女はあの日からすごく暗くなって・・・いつも謝っていた・・・だけど1年前から少し明るくなったわ・・・」
エノラ
「えぇ・・・利根に励まされたから・・・」
重巡利根
「は、ははは・・・」
ボーク
「渡しはずっと大日本帝国と言う野蛮人の住む国に正義の鉄槌を落としただけと思ってた・・・だけど、利根が見せてくれたこの写真集で考えが変わったわ・・・私が落としたのは正義の鉄槌では無く・・・悪魔の兵器だってね・・・」
重巡利根
「ボークさん・・・」
エノラ
「ボーク・・・」
ボーク
「・・・そろそろ帰る時間じゃないのエノラ」?
エノラ
「そうね・・・ボークは先に帰っててくれる」?
ボーク
「分かったわ・・・じゃあね、利根・・・また来るわ」
そう言って、ボークの体は光に包まれて消えた
重巡利根
「・・・エノラはまだ帰らなくていいのかい」?
エノラ
「うん・・・お礼を言いたくてね・・・」
重巡利根
「お礼」?
エノラ
「うん・・・ボークは本当は自分の背負った十字架の事は知ってるの・・・だけどそれを認めたくなくて、強がりを言っていたの・・・だけど今日見せてくれた写真集でボークの心も少し開けたわ・・・ありがとう」
重巡利根
「僕は何もしてないよ・・・ただ手助けをしただけさ」
エノラ
「クスッ・・・それじゃ、私も行くね、また会いに来るわ、利根」
重巡利根
「おうっ!待ってるからな」
そう言ってエノラの体が光に包まれて、消えた
重巡利根
「・・・今の時間は・・・2時丁度か・・・早く寝よ」
そう言って私は眠りについた
その日の朝
重巡利根
「ふぁ~・・・よく寝たなぁ~」
そう言ってベットであくびしながら起きる利根
重巡利根
「・・・あれも夢だったのかな」?
そう言いながら、昨日ボークに渡した写真集を開いた
重巡利根
「ん」?
私はある物を見付けた、大火傷を負った少女の写真の所には、涙の後が残っていたのだ
重巡利根
「やっぱり夢じゃなかったんだな・・・お互い頑張ろうな・・・エノラ、ボーク」
Fin
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