四月上旬
春
校門の前で見慣れた背中を見つけた。
何処にいても同じだな、と思うと少し面白くなった。
「斉藤さん」
斉藤は大して驚いた様子も無く振り向くと、
「総司」
と言った。
「他の皆さんには、もう会われたんですか?」
「いや。まあそのうち来るだろう。」
斉藤の言葉に合わせたかのように土方が眠そうな目で歩いて来た。
「早いな、2人とも。」
「お前の起きる時間が遅すぎるんだ!」
土方に待たされていたらしい近藤が文句を言いながらやって来る。
「朝からカッカするなってーいさみチャン。」
「その気持ち悪い呼び方やめろ新八!」
やっぱり何処にいてもいっしょだな、と沖田は思った。
「土方さん?」
「なんだ?」
めったに隣のクラスから出てこない沖田を見て、土方は怪訝そうな顔をした。
「いやー、入学式から一週間たつので、そろそろ部活を決める時期じゃないですか。」
「まあ、そう言われれば・・・でも、特に入りたい部活なんて無いんだが。」
「そうだと思いましたよ。そこで提案があるんですけど。」
「?」
「一緒に剣道部に入りませんか?」
「剣道部?」
「結構強いらしいですし。見学だけでもしてみませんか?」
放課後の暗い化学室には、何やら不審な人影があった。
手に持っているのはフラスコ?のようなもの。そこから怪しい煙がもくもくと・・・。
次の瞬間バチッと音がして、化学室が急に明るくなった。
「眩しっ!急に電気つけるなよ!」
立っていたのは、白衣を着た永倉だった。
「こんな所にいたのかよ。捜したぞ。もう帰ろうぜ。」
「ええーもうちょっと待ってよー。」
「置いて帰るぞ。」
藤堂に脅されて、永倉はしぶしぶ化学室を後にした。
まだまだ続きますのでよろしくお願いします。