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はじめてのダンジョン

現実がややこしくなった為とはいえ、長らく放置して申し訳ございませんでした。

まだまだ時間は取れませんが、何とか完結まで持ち込めればと思っております。


ご迷惑おかけします。

 結論から言うと、難易度不明のダンジョンというのも残念だった。


 外見は木もまばらな林の中に突然現れる、いかにも長年其処に鎮座してますというような丘ほどもある大岩で、少し開けた根元の部分に魔法陣が描かれていた。

 魔法陣に乗ると『大岩のダンジョン 難易度:???』という表示が浮かび出て、その文字列にギルドカードをかざすと魔法陣が輝いた。そして吸い込まれるような感覚と共に足が浮き上がり――気が付くと、のっぺりとした石造りの、左右に伸びる通路が目の前にあった。

 ここまでは良かったのだ。期待感もあったしこれならと思った。

 ところが。


「進んでも進んでも、ひたすら通路通路通路……! ええい、いいかげんトラップやモンスターの1つも出て来ないかっ!」


 左右に伸びていた通路の内右側へ向かったのだが、一向に景色に変化が無い。のっぺりした白い通路は幅3メートル高さ4メートルといったところで、壁の上から1メートルあたりに、左右で互い違いになるように光を放つ石が埋め込まれてある。

 最初こそ互い違いに法則が無いか、通路に不自然な部分は無いかと気を張っていたが、聖剣の魔法でも何も発見する事が出来なかった。

 いや、分かったことがある、といえばあるのだが。


「残念なお知らせ追加だな。この通路、分かりにくいけど微妙に曲がり続けてるから、その内円を描いてぐるっと入口に戻るぞ」


 そう。

 サトの分析は聖剣の魔法と、ついでに言うとギルドの公式調査の結果とも一致している。つまり入口で最初に見た分かれ道は、どちらへ進もうと結局同じという事だ。

 難易度不明とはよく言ったものだ。引っ掛かるのは年に何人か帰ってこない冒険者という事だが……まさか、とは思いつつ、餓死の可能性が頭に浮かぶ。

 ダンジョンの中で放置された物は、有機物・無機物問わず時間経過で消えてしまうらしい。モンスターがアイテムを残して消えるのと同じ理屈だそうだ。そして死体は、物と認識される。


「まぁ、死体が残る場合はアンデッドモンスターになっているから、それはそれで大問題なのだがな」


 もちろん特定の属性を持つダンジョンで、一定以上の強さの冒険者が、という注釈はつく。


「で、どーすんだ、ヨシ。このままだとマジで無駄足そのものだぞ」

「…………むぅ」

「むぅじゃねぇよ。オレはさっさと引き上げて手ごろなバイトでも探したい」


 確かに生活費と言う点においてはサトの意見が正しい。聖剣があるとはいえ、周囲へのごまかしも含めてまともな手段で先立つものを稼ぐことは必要だ。

 そしてギルドには、そういった日常の依頼……行方不明の猫探しだとか、庭の草むしりだとか……が多く寄せられ、大抵の冒険者はダンジョンよりもそういう依頼で糊口をしのぎ、そして手に職を得て転職するというルートを辿るらしい。

 本当に生活密着型人材派遣所だ。ファンタジーさの欠片も無い。


「…………仕方ない、な」


 かと言って他に何かいい案がある訳でもなく、そのままくるりと入口まで戻り、入る時と同じ魔法陣で脱出した。

 なお脱出したら景色が違った、なんてことも無く、街に戻るまで片道20分の道のりも何も無かった。

 ……つまらん。

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