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33.桐塚優乃の新たな認識

すみません。本文で、これまでの流れと齟齬が出る部分がありました。

多少訂正させていただきました。

申し訳ありません。


3/25 改稿による齟齬が出たので、再度修正させていただきました。

「遅くなってすみませんでした!」


 息を弾ませて洗濯場に飛び込むと、シアンさんが驚いたように駆け寄ってきた。

 あたしが戻ってくるとは思っていなかった、と彼女の顔が言っている。


「ユウノ。戻ってきて大丈夫なの?」

「はい。仕事をさぼるわけにはいきませんから」


 ため込まれた洗濯物ほど恐ろしいものはない。それでなくても、ここのところ仕事をおろそかにしがちだった。

 これ以上さぼるのは、あたし的に心苦しい。

 いつかコミネにさぼり魔って言われたけど、このままじゃその通りになっちゃう。それだけは絶対に嫌!

 というような感じにハーレイ様たちに泣きついたら、渋い顔をされながらも折れてくださった。

 やった、あたしのメイド根性を認めてもらえた!


「それなら、お願いするわね。正直、ユウノがいないと仕事の速度がものすごく落ちるのよ」

「四日目ですからね。当然だと思います。ケノウたちが復帰すれば、干し場や畳み場の方ももっと効率あがると思います」

「それなら、期待しようかしら」

「はい。大いにこき使って、ってリエヌさん!それ一緒に仕分けちゃ駄目です!」

「ええ?!色は一緒ですよ?」

「洗いのパターンが違うんです。ああ、ノイさん。その上級服とシーツを一緒に洗ったら苦情がくる仕上がりになります!!」


 シアンさんとの会話中に目に入ったメイドさんたちの洗濯状況に、あたしは悲鳴をあげた。

 いや~~。この調子じゃ、仕事が三倍になる!


「ユウノ、必死ねえ」

「時間内に仕事を終わらせたいですもん。というか、この調子だと上も楽しいことになっていそうですね……」

「当たりよ」


 シアンさん。満面の笑みで肯定されても嬉しくないですよ。


 この後あたしが、地下と屋上を洗濯の指導のために駆けずり回ったのは言うまでもない。

 ケノウ、シャラ、カラッカ、クロレナ!

 お願いだから早く復帰して~~~!!






 といようなことがあった翌日、あたしの祈りが天に届いたのか全員復帰してくれたよ。

 シャラって確か昨日起きたばっかりだったような気がするんだけど。

「ユウノの大丈夫は信用できないの」ってひどいなあ。

 助かることは間違いないからいいんだけど。おかげで、あたしは洗濯場でやり方を教えることに専念できるし。

 え?ケノウたちが復帰したら、レジーナさんに洗濯終了宣言されるんじゃいかって?

 無理に決まってるじゃん。洗濯場はあたしのお城だよ?

 あたしのやりやすいように、色々変更もしてきたからね。ケノウたちじゃわかんないことも、たーくさんある。あたし以外に、洗濯場のことを完璧に教えられるヒトはいないんだ。


 嬉しい誤算ってやつだね!!


 もちろん、レジーナさんは苦り切った顔してたけど、そこは押し切った。

 ついでに、お手伝いもお断りした。人手があるのに上級メイドの手は借りれないよ。

 っていうお願いは、かたくなに拒否されたけど。っち。

 レジーナさんは、洗濯場の隅で淡々と洗濯機回してるよ。手際が良すぎだよ。

 あまり表だって動くと、他のメイドを緊張させちゃうから、極力気配を殺して働いている。うっかりすると、存在を見失う黒子さんっぷり。間違っても呼ばれた時に、声を上げないように気を付けよう……


「ユウノ。なんだか生き生きしてるわね」

「洗濯メイドってすっごく気楽な立場だったんだってことを知ったんですよ。ああ、異動したくないよう」


 ばさー、と洗濯物を洗濯機に放り込みながらあたしはため息をついた。シアンさんが、あらまあ、というような顔であたしをまじまじと見ている。


「変わっているわね。普通は上級メイドになれるって聞かされたら飛び上がって喜ぶと思うのだけれど」

「ここでの生活が当たり前になっちゃったんですよ。上っていろいろ関係性も面倒くさそうだし」

「上級メイドはどこの部署でもプライド高いヒトが多いものね。客室メイドは最たるものだって聞いたことがあるわ」

「あそこは、最悪です。客室メイド長は天敵ですし」


 コミネは小姑のようにうるさい。ケノウたち、客室メイドに異動じゃなくてよかったなあ。

 大公と第一公子様と第一公女様と第二公女様付きになるのがいいかって言ったら微妙なところだろうけど。

 教えたらどんな反応するか、ちょっと楽しみかも。まだ言ってないんだよね。今夜当たり教えてみようかな。


「天敵って。コミネ客室メイド長の勘に障るようなことでもしたの?」

「心当たりがないから余計むかつくんです。大体初めて顔を合わせた時から、人の事見下して意地悪ばっかりするんです。嫌うなっていう方が無理ですよ」


 あたしに悪いところがあるのかな、って悩んだこともあったけどそうじゃない。あいつはあたしのことが気に入らないだけなんだ。

 存在していることだって許せない。そんな風に思われているんだと思う。

 ったく。本当に、あたしが何したっていうんだか。


「ねえ。ユウノ。これはどのパターンで回すの?」

「ああ、それは普通におまかせ一で大丈夫です、ファジーさん」

「ユウノさん。これも洗うんですか?とれるんですか??」

「大丈夫です。リエヌさん。うちの子たちはそんな汚れに負けません」


 洗濯場メイドになった四人のメイドさんたちは、まだまだ分からないことがたくさんあるらしく、矢継ぎ早に質問を投げてくる。それに一つ一つちゃんと答えていくんだけど、これが結構大変。

 自分でやった方が早い!って思うことも正直ある。でもそれじゃあ、みんなが仕事を覚えることなんてできないから、そこは我慢。

 後でケノウにマニュアル作るべきか相談してみよう。やっぱり、判断基準が示されていた方がみんなも楽だと思うんだよね。


「本当にユウノはすごいわね。ケノウたちもだけど、よくこれを五人で片づけていたわね」

「ヒトはやろうと思えばやれるってことですよ」


 感心したようなシアンさんにあたしは軽く笑って答えた。

 へえ、とシアンさんがちょっと納得していないように相槌を打つ。


「ケノウたちも優秀なのね」

「あたしよりよっぽど。あたしの場合はみんなよりちょっと魔力が多いってことでカバーできてた感じなんですよ」

「そうなの。そんなに仕事ができるのに、どうして今まで洗濯メイドに甘んじていたの?」

「え?」

「だってこれだけ優秀なら普通はどんどん上に異動できるわ。それなのにどうして?」


 どうしてって言われてもね。どうも連帯意識が強くなりすぎちゃって、あたしたちから異動願を出したことなかったし。

 誰かの妨害のせいであたしたちに目を向けられることはなかったから、上から異動を命じられることもなかったし。

 興味がなかったっていうのが本音かな。

 ここの生活に馴染んじゃってたんだよね。

 なんてこと言って、昇進志向が強いシアンさんに言ってもあんまり理解されそうもないしなあ。


「上のヒトたちの考えはあたしにはわかりませんよ」


 無難にそう答えておくことにする。

 実際、皆様が何を考えていらっしゃるか全く分かんないしね。あたしなんかを公女に迎えるなんて公言したらしい大公の意向が一番意味不明だけど。


「そう、よね。総監メイド長ってふわふわした感じであたしたちには掴みがたいところがあるし」

「ですよねえ。何を基準で動いているのかいまだによくわかりません」

「あたしもよ。会ったことは数度しかないけど、あの天然ぷりはすごいわ」

「あれで、メイドたちを纏めているんですから、すごいですよね。全てを流せるからやっていられるのかもしれないですけど」


 侍女メイド以外のメイドを全て管轄下に置くメイドの長だからね。

 何を言われても動じないヒトじゃないと務まらないのかもしれない。下っ端の意見に耳を貸してくれないのは大いに問題があると思うけど!

 何度訴えても要員増加を認めてくれなかった恨みは、死ぬまで覚えてるからね!!


「魔人の方々が信頼されているから、実力はあると思うのだけど」

「魔人の方々が考えておられることの方があたしにはわかりませんよ」


 言いながら、あたしはシアンさんが間違えた仕分けを指摘する。


 食堂用のタオルと軍用のタオルを一緒にしないでくださいね。


「天上の方々のお考えが私たちにわかるはずもありませんよ」


 リエヌさんが仕分け終わりました、と言って話に入ってきた。ビョウ族の彼女は、シャム猫そっくりの顔をしている。体はほっそりとしていて、一見厳しそうな顔をしたメイドさんだ。

 わざわざ近づいてくるなんてことはあんまりしないヒトなんだけど。おしゃべりに花咲かせちゃってたから、怒った、かな。


「リエヌさん。仕分け完璧です。これは全部、おまかせニでお願いします」

「わかりました。……ユウノさん」

「はい」


 名前を呼ばれてあたしは良い子のお返事をした。あはは、リエヌさんってどうも学校の先生を思わせるんだよね。

 ぴし、と気を付けまでしちゃったあたしに、リエヌさんが目を丸くした。あ、かわいい。やっぱ猫はいいよね。大きさは無視して、あの頭を撫でまわしたいなあ。


「私何かしましたか?」

「いえいえいえいえ。すごくかわ、いえ、美人さんだと思っていただけです」


 自分より年上のヒトに可愛いなんて言ったら失礼だ。

 慌てて言い直したあたしに、リエヌさんは柔らかく笑ってくれた。


「お世辞でも嬉しいです」

「お世辞じゃないですよ」

「でも、ユウノさんは大公一家の方々を近くで見ているでしょう?あの方々を見慣れているヒトからすれば私なんて道端の石ころです」

「いや。あの方たちって規格外すぎて別物として扱ってしまいますから。って、リエヌさん。どうしてあたしが大公一家の方と一緒にいたって知っているんですか?!」


 あたしがあの方たちと一緒にいたのは五回にも満たない回数のはず!


「たまたま洗濯物の回収に歩いていたら、第一公子様に抱かれているメイドを見たんです。あれユウノさんでしょう?」


 リエヌさんがそう言った瞬間、洗濯場の時が止まった。

 どうもメイドのみなさんあたしたちの会話に聞き耳を立てていたみたい。

 どこの世界でも女は噂話に目がないならぬ耳がないってかあ。

 ふふ。それよりもリエヌさん。あの羞恥プレイを見ていたんですね。


 穴があったら、さらに深く深く掘って埋まってしまいたいいいいいいいいいいい!!


「その様子からすると間違いないみたいですね」

「ええええ?!ユウノさん、ハーレイ様に抱っこされたの?!どうして???」


 エルフ族のファジーさんが、甲高い声で興味を隠さずあたしの肩を揺さぶった。左右に一つずつお団子にした長い金髪と切れ長の翠の目を持つ色白の美人さんだ。物語に出てくるエルフそのまんまの外見をもったファジーさんの中身は、ミーハーな女子高校生である。カラッカと話が合いそうだ。

 ここで正直に告白したが最後、とんでもない噂が尾ひれだけじゃなく背びれ、腹びれ、胸びれくらいつけてメイドの中に飛び回ることは想像できた。

 何とかして気を反らさないとあたしの明日が危うい。


 メイドの噂話は怖いんだからね!!


 かといって咄嗟に話を変えられるほどあたしは器用じゃない。

 くう。三十年以上まともに会話をしてきたのが、ケノウたち四人だけだったからなあ。

 そこまで親しくない子とどんな話をすればいいのか分かんないよう!


「あの、えっと、それは」

「「「それは?」」」

「あたしもよくわかんないです」

「「「ええええええええ??」」」


 そんな残念そうな顔されてもねえ。

 まさか、腰砕けボイスにやられて膝が笑ったところを抱きかかえられたなんて言えるわけないじゃん。

 こうなったら、しらばっくれるしかない。何聞かれたって、わっかりませーん。


「だってハーレイ様よ?レスティエストの月華って国内だけじゃなく他国からも憧れの的なのよ?そんな方に抱き上げられて、分かんないで済ませちゃ駄目よ!!」


 ファジーさんが拳を握って熱弁をふるう。

 すごいなハーレイ様。実態は笑顔の腹黒シスコンなのに。

 不敬罪だっていうなら言えばいいさ。悪いヒトじゃないのは分かってるけど得体が知れなさすぎるんだよ、あのヒト!!


「そう言われても、第一公子様のお考えがあたしに分かるわけないじゃないですか。本当に訳分かんないんですよ」


 これは本音。ハーレイ様があたしのこと気に入った発言をかましてくださった公女様たちとそれを否定されないご本人に戸惑うなっていう方が無理でしょ。


「本当にわからないんですね。てっきり大公様のキンドレイドだと思っていたのですが、ひょっとしてユウノさんは、ハーレイ様のキンドレイドなのですか?」

「え?」


 やけに真剣な顔をしているリエヌさんの、穿った言葉にあたしは首をかしげる。


「それなら納得できるデスねえ」


 うんうん、と頷いているのは、ワン族のノイさん。柴犬タイプの女性で、ずんぐりとした体型をしている。独特のイントネーションで話をするのんびりしたメイドさんだ。

 そうか。ハーレイ様のキンドレイドってことにすれば、この場は切り抜け、てもいいけどそれがばれた時のハーレイ様が怖いので却下。笑顔で何されるか分かんない怖さがある。

 大体、自分のクアントゥールを偽るのはキンドレイドとしてあるまじき行為とされているからね。絶対にやらない方がいい。

 直接じゃないにしても、一度大公のキンドレイドと名乗っている以上、速攻ボロが出る!


「残念ですが、違います。あくまであたしは大公様のキンドレイドですよ。そういえば皆さんはどなたのキンドレイドなんですか?」

「あたしは、武官のフュザー様よ。空軍の第三師団の副団長をされているわ」


 話に乗ってきてくれたのはシアンさんだった。あたしが困っていることに気付いてくれた節はある。


 空気が読めるあなたに心から感謝します!!


「私のクアントゥールは、メイザース様です。文官としてお勤めでいらっしゃいます」

「え。メイザース様もフュザー様も第一世代ベタルじゃなかったっけ?!」


 二人の言葉に食いついたのはファジーさんだった。

 目がキラキラしている。何が関心をひたんだろう。


「そうですよ。それがどうかしましたか?」

「どうもこうも。うらやましいかも。あたしのクアントゥールはガバネス様っておっしゃるんだけど、第三世代ベタルなの。そのせいかあまりお力は強い方じゃないのよね」

「ファジーさんが頂いたのは血ですか?」

「そうよ。指先から五滴くらいかしら。だからあたし、キンドレイドとしてあんまり能力の伸びは期待できないのよね。眷属になれただけでも十分なんだけどさあ。ガバネス様も素敵な方だし」


 なるほど。キンドレイドの質は、クアントゥールの力量にかかってるところが大きいからね。上を目指すメイドとしては、より強い魔人の眷属に憧れるんだ。

 ……あたしが食べさせられた大公の血肉量に関してはお口にチャックをしていよう。最上級魔人の心臓の血と指先十個なんて、皆さんの反応を見ていると羨ましがられるレベルじゃないよね。ぽろっと口滑らせた場合の反応が怖い。

 そう思って盛り上がるファジーさんたちから目を反らしたら、一歩引いているところにいるノイさんと目があった。

 どうしたんだろう。


「ノイさん、どうしたんですか?」

「いイえ。ナンでもないデスよ」


 ぶんぶんと頭を激しく横に振るノイさんは、焦っているようだった。

 なんか悪いこと聞いたかな?


「ノイはね、ミュウシャ様のキンドレイドなのよ。だからファジーの興奮を見て気が引けちゃったみたいね」

「ああ。なるほど」


 こっそりと耳打ちしてくれたのは、いつの間にか隣に来ていたシアンさんだった。

 シークンであり、第六公女様のキンドレイドだもんね。大公のシークンはそこら辺のベタルじゃ勝負にならないって言われている実力の持ち主ばかり。

 確かにファジーさんには言いにくいよね。


「ひとくくりにキンドレイドって言ってもいろいろあるんですね」

「ユウノもその一人でしょ」


 非常に残念ながら、その通りです。


「そうなんですけど、新たな発見って感じです。にしてもファジーさんはすごいですね」

「どうしてデスか?」


 ノイさんがきょとん、とした顔であたしを見た。ワンコがおねだりしているみたいで、可愛い。撫でたら、さすがに失礼だよね……。


「地位向上を目指しているってことは、魔人の傍に近づくってことでしょう?勘気をこうむる可能性が高くなるじゃないですか」


 下手をしたら殺される可能性だってある。ハーレイ様の、「ユウノを傷つける奴らなんて、生かしておいても仕方がないかな」発言はびっくりだったよ。

 自分が気に入った相手にちょっかい出されただけで、その犯人の命をあっさりと奪っちゃうような方々なんだよ。怖いって。できれば、お近づきになりたくないタイプ。

 美人は遠目で堪能すれば十分だ。


「それを押してでも近くでお仕えしたいってことでしょ。もちろんあたしもその一人よ」

「わたしもデス」

「怖くないんですか?もしかしたらほんの些細なことで殺されてしまうかもしれないのに」


 シアンさんもノイさんも強者ですね。そこまでして魔人の近くにいたいものなのかな。

 そうなると、侍女メイドになるケノウたちってすっごく羨ましいって見られているのかも。


「それならそれで仕方がないわ」

「そうよ!魔人の方々を煩わせたんだもの。殺されたって文句言えないわよ」

「そう、なんですか」


 シアンさんの体を押しのけるようにして、ファジーさんが割り込んできた。びっくりした。

 その後ろで、リエヌさんが穏やかに微笑んでいる。


「ええ。至高の立場におられる方々です。お傍に近づけるだけでも恐れ多いのに、そのお手を妨げるなどあってはいけないんです」


 みんながみんな、心の底からそう思っているっていうのが分かった。己のクアントゥールが弱いって嘆いていたファジーさんだって、主が命じたら死んでもいいっていう顔をしている。

 それくらい、魔人は絶対の存在なのか。

 命は彼らの前にあってはそれほどまでに価値が下がるんだろうか。


「この城の魔人の方々は、慈悲深い方ばかりデス。ダカラ、心カラお仕えすることが出来ますデス」


 あたしの戸惑いに気付いたようにノイさんが目を和ませて教えてくれた。

 慈悲深い。

 そうかもしれない。

 ロダ様もフロウ様も簡単に命を奪うことをよしはされていなかった。

 でも、ハーレイ様はあたしをいじめていた、っていうだけでメイドたちの命を狩ろうとされた。

 その差は、シークンとプレイムということなのだろうか。

 分からない。

 でも、一つだけ確かなことは。

 魔人に対して尊敬ではなく畏れを抱くあたしは、キンドレイドとして異端だということだ。

 


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