意外
あれからどれくらい経っただろうか…。
閲覧者の方はとっくに0人になっている。さすがにあれからだいぶ時間も経っているようだし何もしない僕に飽きたんだろうな。
僕は奈々が退室してからもずっとひとりチャットに居た。
そしてずっとひとりで考えていた。
奈々に好きといわれたこと。
それは素直に嬉しいことなのに僕も奈々のことがずっと好きだったはずなのに…。
答えが出ないでいた。
なぜかというともうひとりの女の子「むらぁ」の事を考えているからだ。
今さっきからずっとむらぁのアイコンそれに今までのあいつの発言が頭に浮かんでくる。
あいつは親友だけれどもなぜか奈々に好きと言われた時からあいつのことを考えてしまっている。
もしかして僕はあいつのこと本当に好きになったんじゃ…。
いやいや、それはないよなぁ…。
だってあの「むらぁ」だし。
僕は奈々の事が好きなはずだ!!そう、絶対好きだったはずなのだが…
僕はこんなことを繰り返しながらずっと考えていた。
本当に僕はどれくらい考えていたんだろう…。
そして少しだけ落ち着いてきた頃僕にとって衝撃的な事が起きた。
管理人:田村さんが入室しました。
なんだろう、こんな疲れている時に凄い懐かしい名前を見たな…。
田村:いいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃやややややややぁあぁぁぁっほほほおおおぉぉぉっ!!!
お、、、俺俺俺久しぶりのぉぉぉぉぉ、登場ーーーーーーーーーーーー!!!!!!
一瞬またパソコンの画面を見つめたまま固まってしまったが僕は我に帰ってひとり納得した。
どうやら僕の知ってるアイツのようだった。
というかなんでこいつはこんな時に来るんだよ…。
田村:ひひひいひひさささささしぶりだなぁぁぁぁぁぁ!くぅぅろぉぉぉあぁぁぁ!!
くろあ:僕のこと覚えてたのかよ。というか落ち着けよそれにまだ荒らししてたのかお前。
田村:うむ、なら落ち着いて話をしようじゃないかぁぁっ!!
意外とすんなり落ち着いてくれた。微妙なところはまだあるけど…。
田村:それにしても侵害だなぁあぁ!俺がまだ荒らしを続けていると思ったのかぁぁぁ!???
くろあ:いや、明らかにそういう雰囲気が出てるし…。
田村:ふっ!そんな幼稚なことはやめたさぁぁっ!!!!
くろあ:そうなんだ。それは良かったな。
田村:うむ。それよりくろあよ!!!今さっきはなんだあぁぁっ!!!???
くろあ:今さっき?
田村:ムロウや奈々と喋っている時に決まっているだろろうろるおっおtkjごあ!!
くろあ:お前そんな時から居たのかよ!?あれからだいぶ時間経ってるぞ!?
田村:そんなことはどうでもいいぃぃぃ!!俺が見込んだくろあはあんなチキン野郎じゃねぇぇぇえぞぞぞおぞぞおおおお!!!
くろあ:いや、勝手にお前に見込まれていても困るし…。
それにこいついつから見込んでいたんだよ。
田村:うるるっるるるさあさささい!!!くろあなぜあの時少しでも強く発言しようとしなかったんだぁぁぁあ!!?
僕は田村にそう言われて何も言い返せなかった。
確かに僕はただ戸惑っていたのを理由にしているだけかもしれない。
それにいつも僕はああいう雰囲気の時はなにもできないでいる…。むしろ逃げたいという気持ちが強い。
あの奈々との事件の時もそうだ。何も言えずに逃げ出してた。
今回も一緒じゃないのか?あの時少しでも強く言っていたらもしかしたらムロウだって止められてあの場の状況をマシにできていて問題も解決していたかもしれない。
田村:ふんっ…!少しは分かったようだなぁぁ。
結局僕は何もできなかったんだ。
くろあ:あぁ。分かってるよ…。
田村:わかったんなら自分を恥じるがいいぃぃっっ!!!
くろあ:なぁ田村。僕はこれから何をすればいい?
相手があの田村だということは分かっている。こんな奴だけど僕はなぜかこの時質問していた。
田村:それは自分で考えることだなぉあぁぁあ!!??
やっぱり質問した相手を間違えたかな…。
田村:ただ今回の問題は貴様だけの問題ではないことはわかっているはずだぁぁぁ!!このアイコンチャット全体の問題だぁぁぁぁ!それだけは言っといてやろう・・・っっっ。
アイコンチャット全体の問題。確かにそうだ。
これは僕だけの問題ではない。
くろあ:そうだよな。はは、ありがとな田村wまさかお前に感謝するとはね…。
田村:俺を崇めろろろろろぉぉぉ!!俺は神なのだぁぁぁ!!
くろあ:お前がまともだったらもっと真剣に話せるんだけどな。
田村:何をぉぉぉぉ!!?俺はいつでもぉぉぉまともだぁっっ!!!
相変わらず変な奴だけどこいつのおかげで少しはマシに考えることができたのは事実だった。
田村:それでははは俺はそろそろ行くぞ!!!俺はこの後の展開は天国で見守っていてやるよぉぉぉぉ!!
くろあ:いや別にお前死んでるわけじゃないだろ…。
田村:それではなっっ!!!!
管理人:田村さんが退室しました。
嵐のように田村は去っていった。
田村が居なくなった後は本当に静かだった。
まぁ田村が騒がしかっただけなんだが。
この後僕は少しだけ考え事をしてからアイコンチャットを退室した