関係
タウンが復旧してしばらく経った。
あれからタウンは特に問題もなく正常だった。
というよりタウンが直ってからはあるふぁさんがよくタウンに来るようになったような気がする。
来るといっても少しの間だがあるふぁさんはアイテムを増やしてくれたり新しい建物を建ててくれたりなどしてくれている。
あるふぁさんは管理人としては本当によくやってくれているとしみじみと僕は思った。
たぶんだけど僕たちの思いが伝わったからあるふぁさんが来てくれているのだろう。
そんな感じで最近は何事もなく落ち着いてきていた。
リアルの方では高校生活初めての夏休みが幕を開けた。
まぁ高校になったからといって中学の時と夏休みの内容が変わるというわけではないのだけど。
きら☆:いや~やって来ましたなぁ夏休みw
ムロウ:あぁそうさw俺達の夏休みが来たのだよ!!
マジック:サマーバケーションッッ!!
くろあ:3人ともテンション高いね。。
てる:そうだな。異常に高いなw
マジック:何言ってるんだ!お前ら夏休みだぞ!!長期休暇なんだぞ!
くろあ:それぐらいわかってるよw
ムロウ:相変わらずお前ら二人は冷めてるなww
くろあ:そう言われても…。
てる:何も言えねぇww
きら☆:まぁまぁ。諸君落ち着きたまえ。それより俺は今無性に疑問を抱いているのだ…
くろあ:疑問?いったいなんだ?
まぁきらの疑問ということはたぶんどうでもいいことだろう…。
きら☆:それはな…。
マジック:それは?
きら☆:今チャットに女子が居ないことだ!!
やっぱりどうでもいいことだった。
てる:ww
ムロウ:確かに今ここに居る奴らは見事に男だなw
きら☆:そうだろう!?なんでこのくそ暑い中男共が集まって喋らなきゃならんのだ!!
くろあ:暑いのは認めるけどねw
てる:相変わらずきらのテンポにはついていけそうにないわw
きら☆:もこたんはどこだ!?奈々にりんご、雫、その他の者達はいったいどこにいるんだぁ!!
くろあ:知らないよ…
ムロウ:ちょっと俺達が早く来すぎたかなw
ムロウの言うとおりまだ昼だ。夏休みなので暇だから皆チャットに来たのだろう。
きら☆:よしっ!ここは…
マジック:ここは?
きら☆:女子達が居ないから男子だけの会話をしようぜぃ!
ほんとこいつの考えていることが僕にはよく理解できない。
こいつの相手をしているもこの苦労がわかるように気がする。
ムロウ:ちょwwこんな昼からいいんですかww
きら☆:構わん構わんwこの俺が良いと言うのですから。
てる:お前は一体何者なんだよw
くろあ:ところで男子だけの会話ってなんだよ?
マジック:俺まだ18歳越してねぇよw
てる:いやさすがに18禁ネタはやばいだろw
きら☆:ならしょうがない。あのネタでいくか。
ムロウ:あのネタ?
きら☆:そうだ!チャットで好きな子の名前を教えあおうぜ☆
くろあ:いや、無理だろ…。
きら☆:何が無理なんだくろあ。お前だって何年もチャットしてるんだし好きな子ぐらい居るだろう!
確かにそうだけど…。そんなの言えるはずがない。
というか全員が全員居るとは限らないと思うが。
ムロウ:そうだなぁ。俺もネット恋愛何度だってしたことあるしw
マジック:プレイボーイだったんだなムロウ。
てる:だけどくろあの言うとおりここで言うのは無理だろw閲覧だって来るかもしれないしさw
今閲覧は誰も居ないけれど絶対誰か来るはずだ。
それにこの状況で誰かが入室とかしてきたらやばいだろうし。
きら☆:大丈夫。だいたいで発言していったらそのログ消していったらいいだけだ。
くろあ:でもそんなに消していったら僕たちもその喋ってる内容見れないだろ?
きら☆:大丈夫だ。その場合のためにログを自動更新にしておけ。
確かに自動更新にしたらログが勝手に表示されて誰かが自分のログを消したとしてもその何十秒後かに消されるからその間に会話を見れることができる。
マジック:確かにその通りだな。
きら☆:じゃあそういうことだ。それでは始めるぞ!!
誰も同意してないのにきらが勝手に喋りだした。
きら☆:俺の好きな奴聞きたい人!!
くろあ:もこだろ…。
てる:もこだなw
マジック:もこしかいないだろうw
ムロウ:あぁもこだ。
きら☆:なんでお前ら知ってるんだぁぁ!
相変わらずこいつはアホだ。それにしてもきらの気持ちはもちろん知っているけどもこの方はきらの事どう思っているんだろう?
少しだけ気になってしまう。
ムロウ:さぁきらは終わりということで次は誰行く?
てる:のってきたなムロウ…。
ムロウ:ふっ、こんな楽しいこと久しぶりだからなw
きら☆:ならば、それでは楽しくなってきたというムロウの好きな人でも聞くとしようかw
マジック:そうだなwまぁ俺はだいたいわかるがな。皆もわかるだろう?
くろあ:まぁな…。
きら☆:ずばり奈々だな。
ムロウは奈々と喋る時は本当に楽しそうに喋りなにより積極的に喋る。
たぶんそれで皆も気づいていたのだろう。
ムロウ:フフ…
くろあ:どうしたんだ?
てる:不気味な笑いだなw
ムロウ:どうやら知っていたようだな!そうさ俺は奈々が好きなんだ!!
マジック:これは開き直ったと言えるのか?
くろあ:さぁ?どうなんだろう。
ムロウ:別に開き直ってなどいないさ!俺は心の底から奈々を愛している!
きら☆:ほぅなかなかだなムロウwさすがだ!!
ムロウ:奈々が好きすぎてたまらないさw俺はずっとあいつのことを考えている!!
こんなムロウは見たことはなかった。たぶんムキになってるだけだろうけど。
それに今さっきからずっと奈々について語ってるし。
というよりムロウはこんなに奈々のこと好きだったのか。
少しだけ自分の奈々への気持ちが負けてしまっているんじゃないかと思ってしまった。
きら☆:あ~さすがにこの俺様もムロウの変化に戸惑っているのだが…。まぁ次に行こうかw
マジック:そうだなwじゃあ次は誰いくよ?
てる:次行くのか…。
ムロウ:なら次はマジックお前だ!!
くろあ:ムロウ復活するの早いな。
マジック:俺かよw
きら☆:マジックか。俺はマジックだけは全然わからんなw
てる:俺もわからない。
くろあ:同じく。
ムロウ:むぅ、悔しいが俺もわからんぞ…
マジックがこのチャットで特に積極的に女の子と話していたところを特に見たことがない。
皆と平均的に喋ってたし。そういう場面は本当に見たことなどなかった。
マジック:いやぁ実は俺別に好きなやつはいないんだよw
くろあ:そうなのかw
てる:それじゃあしょうがないなw
きら☆:全くマジックは枯れてるなwまぁそんな感じはしたんだがな。
ムロウ:くっ、そうか。。なら次はてるお前だ!
きら☆:進行役は俺様だったのに…。
明らかにムロウのやつは動揺しているな。
それにしても次はてるか。てるが気になっている人っているのかな?
居るとしたらたぶんアイツだろうけど。
てる:今度は俺か。
きら☆:ずばり、りんごだな!!
くろあ:早ッ!
マジック:てると言ったらりんごしか考えられないよな。
ムロウ:普通に仲いいしなw
てる:いや、俺は別に…。
きら☆:素直になりなさい。君はりんごのことが好きなんだよw
マジック:そうそうw全てを吐き出しなさい。
てる:ちょ、お前らw
ムロウ:だが、少しでも気になっているという気持ちはあるだろう?
てる:ま、まぁ少しぐらいなら…
きら☆:ハッハッハwそれは好きということなのだよ少年!
くろあ:明らかにお前らが誘導尋問したような気がするんだけどw
ムロウ:ふっ、お互いにがんばろうじゃないかてる。
てる:あ、あぁ。。
やっぱり明らかに誘導尋問だろう。
それにどんどんこいつらテンション上がってきてるし。
ムロウ:さて、残るは…
きら☆:くろあだな!!
マジック:アンカーだなw
てる:くろあ耐えてくれ…。
ついに僕の順番に来てしまった。
ていうかマジでここから逃げ出したい。だけどさすがにそうもいかないだろう。
ここで逃げだせば後々きらとムロウにしつこく何か言われるだろうし。
くろあ:あのさ、やっぱりやめないか。閲覧もいるし。
ムロウ:なにを言うか今更!それに閲覧は見たこともないIPで他人だ!関係ない。
きら☆:そうだぞ皆恥ずかしながら言ったんだぞ。
別に僕は聞きたいとか言った覚えはないんだけどな。
マジック:だけど、くろあの場合は簡単だろw
きら☆:それもそうだなwそれじゃあ皆一緒に言うかw
ムロウ:いいなwじゃあ「せーの」でいくぞ。
てる:すまない、くろあ。
なんか僕が何も言えなくて困ってる時に話勝手に進んでるし。
ムロウ:せーの!!
ムロウが合図を出した。この瞬間一気にログが表示された。
きら☆:奈々
てる:奈々
マジック:りんご
ムロウ:むらぁ
奈々が多かった。といってもふたりだけど。
でもなんでわかってるとか言ってバラバラなんだよ…
きら☆:いやいや、くろあが好きなのは奈々に決まってるだろう!なぁてる?
てる:俺は何も言えない。
ムロウ:アホか!くろあが好きなのはむらぁだろ!むらぁとくろあ明らかに相思相愛だっただろ!それに友達が好きな女をくろあが好きになると思うか!?
マジック:てるには悪いけど普通に考えたらりんごだろ!なんていってもリアルで実際に会ってるし、それに同じクラスで友達だぞ!?
また勝手にこいつらは言い争いを始めたし…。
というか他人のことだけどよくここまで熱くなれるな。
ムロウ:おい、くろあはどうなんだよ!?
きら☆:そうだ。くろあの気持ちが一番大事なんだぞ!?
くろあ:僕の気持ちって言われても。。
僕の気持ち…。奈々にりんご、それにむらぁか。
奈々と出会って少しした頃から正直奈々のことは気になっていた。
前奈々と色々あったときは本当に最悪な事になってたけど仲直りをして前より奈々に近づけた事が感じられた時は本当に嬉しかった。
僕はやっぱり奈々のことが好きなんじゃないだろうか?
それとりんご。
りんごは他の2人と比べると一番付き合いは短いけどリアルでもほぼ毎日あってるしある意味付き合いは一番深いかもしれない。それに距離が近いのは明らかに彼女だろう。
だけど彼女に対してそういう好きという気持ちはない。
友達としての好きという気持ちはあるんだけど恋愛対象としては見れない。
そしてむらぁ。
一番付き合いが古いけど1年に1回会うか会わないかという感じになっている。
奈々からだいぶ前にむらぁのメールアドレスを聞いたけどむらぁが忙しいことを考えるとなかなかメールをできないでいる。
それでもこのチャットで一番仲が良い人と言えばむらぁだろう。なんていったって親友だし。
だけどむらぁを恋愛対象として見るというならばどうなんだろうか。
アイツと喋っていれば普通に楽しいし遠慮とかもいらない。
だけどむらぁをそんな恋愛対象としては見たことはない。
僕はアイツのことをどう思っているのだろうか?
マジック:おい、くろあ!優柔不断はいかんぞ!
くろあ:いや、優柔不断とか言われても。
きら☆:ならば、誰か一人を選べ!!
ムロウ:むらぁかりんごかそれとも奈々なのか?
マジック:りんごを選ぶ場合はてるの気持ちも考えてやれよ、くろあw
てる:俺は別に…。
さすがにここまで皆に言われてたら言わないわけにもいかない。
だけど僕は一体どうしたらいいんだろうか。
きら☆:さぁ答えろ、くろあ!!
くろあ:えっと、僕は…
管理人:奈々さんが入室しました
僕がなんとか答えようとしたとき、タイミング良く奈々が入室してきた。
奈々:はろ~w
てる:こんw
マジック:まさかここでw
ムロウ:奈々待ってたぜww
きら☆:チッ、もう少しだったんだが…。
それにしても本当に助かった。
まだあまりちゃんとした答え出せないでいたし。
奈々:ん?なんの話してたの?
ムロウ:いやいやなんでもないさw
マジック:そうそうたいした事ないw
奈々:ふ~ん。そうなのくろあ?
くろあ:あ、あぁたいした事ないってw
奈々:そうなんだ~。私はてっきりくろあの好きな人皆が聞いてると思ったのにw
くろあ:そ、それはどうかな~…?
もしかして奈々は見ていたんじゃないのか。
でも会話の最後のほうは閲覧いなかったはずだし…。
というかもし奈々が見ていたとしたらそれはそれで俺としてはかなりヤバい。
奈々:でもくろあの好きな人って誰なのかな~?
てる:ははwそれは俺も知らないなぁ…。。
ムロウ:ふっ、それはむらぁだろうw
くろあ:おぃムロウ!なに言ってるんだよ。
奈々:え、くろあってむらぁちゃんのこと好きだったの!?
きら☆:いやそれが本当なのかということを今話していたところだったのだ。
くろあ:お前らなぁ…。
こいつら明らかに僕を裏切りやがった。男同士の話だったはずなのに。
これはまためんどうなことになりそうだ。
奈々:ねぇねぇくろあってむらぁちゃんのこと好きなの~?
くろあ:だからそれはまだ分からないんだって。
きら☆:くろあいい加減答えを出せw俺らが言ったやつの中に好きなやつはいるだろう。
ムロウ:むらぁだよな、くろあ!?
ここまで来ると本当になにがなんだかわからなくなってきた。
くろあ:あぁ、そうだよ!僕はむらぁが好きだよ!
だから僕は混乱しすぎてキーボードをよくわからないが適当に押していた。
きら☆:うおおぉ!ついにくろあが白状しやがったぜ!!
ムロウ:ふっ、やはりむらぁだったか。まぁ当然だな。
マジック:なんだよむらぁだったのかよ。よかったな参謀。
てる:おぃくろあお前そんな感じで言っていいのかよ。。
くろあ:いや、その…。
皆の発言を見た時にやっと僕は事の大事さがわかったのだがもう引き返せないところまで来ていた
ムロウ:これからのくろあとむらぁの展開が楽しみだな!なぁ奈々?
奈々:そ、そうだね…。でもくろあは本当にむらぁちゃんの事が好きなの?
くろあ:えっと、だから…
ムロウ:好きなんだよな!?好きだからこそお前はちゃんと俺達の前で発言したんだしな。
なぜかムロウの押しがいつにもまして強かった。
きら☆:まぁ確かにむらぁとあそこまで楽しく話してるしなwくろあとむらぁが会話してた時ってなんか二人の世界みたいでフィールドはってたような感じだったしなww
奈々:そうなんだ。やっぱりくろあはむらぁちゃんのこと…。
てる:なんか凄いことになってきたぞ。くろあいいのか?
くろあ:あぁもう引き返せないよ。。
ムロウ:そうさ。もう引き返すことなどできないぞくろあ!さてくろあの発表も終わったしそれではこれからのことを考えるか!
マジック:これからのこと?
てる:というよりこれって男子だけの話じゃなかったのかよ。
きら☆:気にするなwこれからが楽しくなるところじゃないかw
奈々:あ、ごめんそろそろ私落ちるね。
ムロウ:お、そうか?今日は早いな。
奈々:ちょっと用事があるんだよ~。それじゃあね~
くろあ:お疲れさま。またねw
てる:お疲れ~。
マジック:またなw
管理人:奈々さんが退室しました
これまたタイミングが良いのか悪いのかわからないが奈々が退室をしていった。
てる:気のせいか奈々なんだか元気なかったことないか?
くろあ:そうだね。最初は普通のように感じだけど後から少し調子悪くなったような・・・。
ムロウ:そうか?まぁ奈々のことは俺に任せておけ!それよりこれからまたログ消していくようにしろよ!また男達の会話が始まるからな!
マジック:まだやるのかよw俺もさすがに疲れてきたぞ。。
きら☆:意外とムロウがテンション高くなってるからなw
ムロウ:もう俺を止められるやつなどいないぜwそれよりさぁどうする!
てる:どうするってなにをさ?
ムロウ:それぞれ好きなやつにどうアプローチするかに決まってるじゃないか!
くろあ:アプローチって別に今までのままでいいじゃないか。
ムロウ:なにを言うか!!ここまで皆それぞれ好きなやつがいるのだぞ!まぁマジックを除いてだが。これはもう告白までいくしかないじゃないか!!
きら☆:確かにそうだな!ちなみに俺はいつでももこたんに告白する準備はできているぜ!!
マジック:お前の想いはもうわかったからwそれにしても急な展開過ぎないか?告白とか。。
ムロウ:恋は急なんだ!俺は奈々に自分の想いを聞いてほしいがなw疾風にくろあもそうだろう?
てる:俺は別にこのままでいいと思うけどな。
くろあ:僕もだよ。もし嫌な結果になったら今の関係が壊れてしまうかもしれないだろ?だったら今のままでいいじゃないか。
僕は今の関係を壊したくなんてなかった。
それにいつまでも皆で仲良くチャットをしていきたいそれだけなんだから。
ムロウ:確かにくろあの言うことは間違っていない。だがな、今の俺達は次の段階へ行く必要があると思うのだよ!!
てる:次の段階?
ムロウ:あぁ、そうだ。俺達がこれ以上仲を深めるためにも次の段階へと進む必要があると俺は考える!だからこういう経験は必要なのだよ!!
くろあ:なんか無理やりなような気がするんだけど。
きら☆:ふっ、ムロウお前の気持ち確かに俺には届いたぜ!行こう、次の段階へ!!
ムロウ:わかってくれたか、きら!いや、親友よ!そうだ俺達は進むんだ!
マジック:なんかふたりでわかりあってるな。
ムロウ:何を言っているお前たちも一緒に進むんだぞ!行くぞお前ら!
なんか勝手に僕たちも進むことになってしまった。
こうなったらこいつはもう誰にも止められないだろうな。
ここは一旦退却するしかないか…。
くろあ:ごめん、そろそろ時間だから落ちるよ。
てる:お、いつの間にこんな時間に。。
マジック:俺もそろそろ落ちようかな
ムロウ:わかってるなお前ら!また夜も来いよ!早速行動を開始するぞ!
きら☆:任せとけ!!
くろあ:あはは…。気が向いたら来るよ。それじゃw
管理人:くろあさんが退室しました。
なんとか僕はこの場から逃げるように退室をした。
ある意味この時間のチャットは辛かったな…。というか僕としては地獄だった。
というか奈々に誤解をされたままだし今度会った時は誤解を解かないとな。
それにしても退室する間際にムロウが「行動を開始する」とかどうとか言っていたけどどうするつもりだろうか。少し気になるな。
次の日。
僕は結局昨日の夜はアイコンチャットに行かないでいた。
さすがに昨日のムロウはやばかったので1日空けてから行くように考えたからだ。
ムロウが正常に戻っていてくれたらいいんだけど。
アイコンチャットに行ってみるとムロウの名前はなく、マジックとりんごだけが居た。
管理人:くろあさんが入室しました。
くろあ:こん~
りんご:あ、くろあだw
マジック:おいっすw
くろあ:夜なのにいつもより居ないね。
りんご:そうなんだよね。皆どうしたんだろ?
昨日はあれだけ男達が集まったというのに今日は僕を入れてたったの3人だけだ。
そんなことを思っているとマジックから秘密チャットの誘いがあった。
僕はそれを承諾するとりんごには内緒で秘密チャットが始まった。
くろあ:どうしたのマジック?秘密チャットなんて珍しいね。。
マジック:あぁ急にすまないな。ちょっとお前に話があってな。
くろあ:話って?
マジック:ムロウときらのことなんだが…
くろあ:あのふたりがどうしたんだ?
マジック:どうやらあのふたりが奈々ともこに告白したらしいぞw
くろあ:え、マジで…。
マジック:マジだぜwてるが言ってたから間違いない!
ムロウときらが告白したのか。
きらはいつものことだからどうでもいいけどムロウは奈々に…。一体どうなったんだろう。
くろあ:それでどうなったんだ?
マジック:きらはお前が考えていることと同じでいつも通りもこに流されたさ。
くろあ:やっぱりなwでも少しはもこに伝わったんじゃないかな?真剣にきらが言ってればの話なんだけどな。
マジック:それはどうだろうなwそれでムロウのことなんだけどさ、どうやらあいつ奈々に振られたらしい。
くろあ:えっ、振られたのか?
マジック:あぁ。しかも奈々のムロウに対する振ったときの台詞が「好きな人がいる」っていわれたらしい。しかもその好きな人がこのチャットに居るんだとよ。それでムロウは奈々に誰か聞いたんだけどどうやら奈々は教えなかったっぽいぞ。まぁそんなことがあって今相当ムロウはショック受けてるらしいぞ。
そりゃショックだろうな。好きな人に振られたら…。
でも奈々に好きな人がいたのか。それに対してもびっくりだな。
マジック:さすがの奈々もこんなことがあったからここに来づらいんだろうな。。きらともこはしらんが…。
くろあ:そうだろうね。ところでてるは今日はもう来ないのか?
マジック:さっきまでは普通に昨日のことについて喋ってたさwだけどどうやらきらに「次はお前の番だ!」とか言われて警戒しているっぽいぞ。
くろあ:なるほど。てるも大変だね。
マジック:だな。まぁくろあも気をつけろよ。きらはたぶんお前にも言うだろうからなw
くろあ:うん、気をつけるよ。
巻き添えはごめんだけどやっぱり皆とはいつも通り喋りたい。だから皆来てくれるといいんだけど。
りんご:ねぇねぇふたりとも居るの??
くろあ:あ、ごめん居るよ。
マジック:おっと、俺も居るぞw
りんご:ふたりとも何してたのよー!私ふたりにずっと呼びかけてたんだよ!私独り言してたみたいじゃんw
ずっとマジックと秘密チャットで喋ってたからこっちの通常チャットのことをすっかり忘れていた。
過去ログを見てみると本当にりんごは僕たちを呼びかけていたようだ。しかもずっと。
くろあ:ほんとごめんって!ちょっとボーっとしてて。。
マジック:俺は用事しててな。すまんなw
りんご:全く…。ふたりともしっかりしてよねw
この後いつものように適当な話題を振りながら喋っていたがしばらくしても誰も来なかった。そして僕たちは人数も少ないのでいつもより早く流れで落ちていった。
ムロウには悪いが奈々がムロウの事を振ったことを知って僕はホッとした。
次の日もアイコンチャットに行ったのだけど今日は誰も居なかった。
とりあえず僕は入室して誰か来ないか待ってみることにした。
しばらくするとひとり入室者が現れた。
管理人:奈々さんが入室しました。
それは奈々だった。奈々はムロウと色々あってしばらく顔は見せないと思っていたが意外なことにチャットに現れた。
くろあ:こん~
奈々:こんw
くろあ:気のせいかなんか久しぶりにな気がするねw
奈々:うん。確かくろあとは2日は会ってなかったよねw
くろあ:そういえばそうだねw
その2日の間に色々あったから会わなかったのは無理もなかったな。
奈々:それにしても今日は全然人居ないねw
くろあ:そうだね。僕もここでしばらく待っても全然人来なかったから焦ったよw
奈々:あははw大変だったねwでもこうやってくろあとふたりで話すことって久しぶりだね。
くろあ:あ、そうだっけ。
奈々:そうだよ~w
確かにそうだ。奈々とふたりきりで話すのはあの1年ちょっと前の事件以来だ。
だけどあれは僕にとっても黒歴史みたいなものなので思い出したくなかった。
奈々:ねぇくろあ。もしかしてくろあって最近ここであった出来事しってる?
くろあ:出来事?
奈々:うん。私にとっては大きな出来事かなw
出来事。たぶん僕が今思っていることなんだろう。
ここ最近で起きたことといえばそれしかない。
くろあ:まぁムロウ達のことなのかな?
奈々:やっぱり知ってたんだぁ。。くろあはこのことについてどこまで知ってるの?
くろあ:だいたいは知ってるつもりだけど…。ムロウが奈々に振られたこととか。。
奈々:あはは~そこまで知ってるんだぁ。
くろあ:一応ねwマジックから教えてもらったからね。。
奈々:そっかぁ。ねぇ、くろあ。私って本当にムロウのこと振ってよかったのかな?
くろあ:え、どういうこと?
奈々:だって私のせいでムロウが傷ついたのかもしれないんだし…。
確かにムロウは奈々に振られて相当落ち込んでいるんだろうな。
くろあ:だけど、奈々には好きな人がいるんでしょ?だったら僕は別に奈々が振ったこと間違ってないと思うよ。それにそんな中途半端な気持ちで付き合ったとしてもうまくいかないと思うし。
奈々:え、くろあ私に好きな人が居ることも知ってるの?
くろあ:え、え~っとそれは~…。まぁそれもマジックから教えてもらってさ。。
奈々:そっか。振ったところおもいっきりマジックに見られてたんだねw
くろあ:そういうことになるね。
奈々:でもくろあにそう言ってもらえるとなんだか少し落ち着いたよw私間違ってなかったってことに。
くろあ:奈々は間違ってないよwそれに僕だってそういう立場にあったら奈々と同じように答えるしw
奈々:そうだよね~。。くろあも好きな人居るんだよねwむらぁちゃんがw
くろあ:ちょっ…!違うよ!あれは誤解であの時は頭に血がのぼっててやけくそでそう言っただけで…。
奈々:照れるな照れるなw
なんかちょっと自分で地雷踏んだような気がする…。
なんとかして奈々の誤解を解きたいんだけどな。
くろあ:照れてるわけじゃないんだけどな…。
奈々:あははwいじけないいじけないw
やはり微妙な勘違いをされているようだが少しは奈々はいつもの奈々に戻ったようだ。
この後も僕は奈々にいじられたりしながら会話をしていたが会話の途中意外な人物が入室してきた
管理人:ムロウさんが入室しました。
それはムロウだった。奈々が居るというのにまさかのムロウが来た。
ムロウはショックから立ち直れたのだろうか?
くろあ:やぁムロウ。
ムロウ:久しぶりだな。くろあ、奈々。
奈々:うん、久しぶりだね…。
いつもはテンションの高い二人でもこの時だけはさすがに静かだった。
というより変な空気が流れていた。
しばらくするとムロウが発言をした。
ムロウ:なぁ、奈々ひとつ聞いていいか?
奈々:なにかな?
ムロウ:奈々が言った好きな人についてなんだが。
奈々:うん。
ムロウはこの空気の中まさかこんな事を奈々に聞くとは思いもしなかった。
ムロウ:もしかして奈々の好きな人ってくろあなのか?
くろあ:は?
突然のムロウの発言に僕は度肝を抜いた。
というより奈々が僕のことを好きってありえないだろ。
くろあ:何言ってるんだよなんで奈々が僕のことを…
ムロウ:お前は黙っとけ。俺は奈々に聞いてるんだ。
文字からでも伝わるムロウの雰囲気が僕に伝わった。
今ここにいるムロウがいつものあのテンションの高いムロウには思えない…。
ムロウ:奈々どうなんだ?正直に答えてくれ。
閲覧数字の方に目を向けてみるといつの間にか閲覧者は7人にも増えていた。
たぶんいつものメンバーがここを覗いているのだろう。それに関係ない人も展開が楽しみで見ているのだろう。
奈々:そうだよ。私の好きな人はくろあだよ。
そしてログのほうに目を戻すと衝撃的な発言が更新されていた。
この時僕は半端ないほど驚きが強かった。
ムロウ:やっぱりか。
奈々:うん、だからごめんねムロウ。
くろあ:えっ、ちょっと。ふたりとも…。
なにを自分が言えばわからなくて凄く戸惑っていた。
ムロウ:そうかそうか。それじゃあ俺もここに居る意味はないな…。
くろあ:何言ってるんだよ、ムロウ!
ムロウ:幸せになふたりとも。
管理人:ムロウさんが退室しました。
僕の話を聞かずにムロウはそそくさと退室していってしまった。
そして僕はまた奈々とふたりになってしまった。
それもムロウが来る前の空気とは全然違っていた。
奈々:ねぇくろあ今さっきのことなんだけど…。
くろあ:うん、何?
奈々:今さっき私が言ったことは本当のことだから。
くろあ:え?
奈々:私はくろあの事が好き。ずっと前から好きだったよ…
僕はパソコンの画面を見つめたまま固まってしまった。
まさか本当に僕のことが好きだったなんて。
しかもずっとって…。
奈々:私が言いたいのはそれだけだから!!それじゃ!
くろあ:え、ちょっと待って!!
管理人:奈々さんが退室しました。
奈々までもが逃げていくように退室していってしまった。
そしてついに僕ひとりとなってしまった。
この後僕はただ呆然としているのだった…。