伝えるということ
時間が経つのは早いもので1時間が経った。
管理人:くろあさんが入室しました
僕はなんとか意を決して入室ボタンを押しアイコンチャットへと入室した。
丁度今日は閲覧者は居るもののタイミングがいいのか入室者は0。
もしかしたらチャットメンバーがむらぁかきら★あたりに今からあることを伝えられて気を利かせて居ないのかもしれない。
皆にも迷惑をかけている。
だからこそうまくこの思いを奈々に伝えて今日ここで全てを終わらしたい。
管理人:奈々さんが入室しました。
そしてついに奈々が入室をしてきた。
奈々が入室してきたとともに僕は緊張で少し固まってしまった
それに奈々と最初に何を話したらいいのかがわからなくなってしまった。
それほどまでに僕は混乱していたのだ。
奈々:久しぶりだねくろあw
最初に口を開いたのは奈々だった。
くろあ:うん、10日ぶりぐらいかな
奈々:それぐらいだね
そして沈黙。
だけどこのままじゃ僕の思いを奈々に伝えられないので僕は遅いながらも文字をうっていった
くろあ:少し話したいから秘密チャットいいかな?
奈々:いいよ~
秘密チャットとは指定した人と他の人には内緒でチャットできる機能であり閲覧者が何人かいるということもあるので僕は秘密チャットを使うことにした。
秘密チャットに切り替えると僕は早速奈々に話しかけることにした
くろあ:まずはごめん。この前勝手に逃げ出したりなんかして…。
奈々:うん、私こそごめんね。いきなり色々と言っちゃって。
くろあ:奈々は悪くないよ!全て僕が悪いんだから
奈々:くろあ…。
そう、全て僕が悪いんだ…。だから僕は奈々にそのことをわかってもらわないといけない
くろあ:ねぇ奈々。僕は奈々のこと避けてたわけじゃないんだよ。
奈々:え、違うの?
くろあ:奈々のこと嫌いになったわけでもないしアイコンチャットが嫌になったわけでもない。。
奈々:じゃあ、くろあは何で前のくろあじゃなくなっちゃったの?
前の僕…。自分ではわからないけど奈々やむらぁにとったら僕は変わってしまっていたのだろう。
そういえばきらの奴までも僕が以前と変わったと言っていたな。
くろあ:たぶん僕は焦っていたんだと思う。
奈々:焦って…?
くろあ:奈々やムロウ、疾風その他色々な人が皆で仲良くしている中その輪の中にうまく入れなくなっていたことに…。それに皆はチャットをすることで成長しているように思えるのになんだか僕だけが置いていかれてるような気がしたんだ。
アイコンチャットでの事件が起こる前、皆が奈々に話しかけているように何度も奈々に話そうとはしていたけれど僕はうまく話すことができなかった。そのことで僕は自分に自信を持てなくなっていたかもしれない。
そして皆が遠い存在になっていくようで怖かったんだ。
くろあ:それは自分の弱さが原因でもあるのはわかってる…。だからこそ僕は自分がわからなくなっていった。それに僕はチャットでも小さな存在で結局はあんまり目立たない奴だってわかってた。
奈々:違うよ!くろあは私にとって…ううん私たちにとって大切な人だよ!!
くろあ:わかってるよ。奈々がそれぐらい思っててくれているってことは…。
奈々:だったら、なんで。。
くろあ:だから僕はこんな奴だけどこれが本当の僕だから良いと思ったんだ。
奈々:え?
くろあ:あいつに…むらぁに教えられたんだよ
ここからが僕が奈々に最も伝えたいこと。うまく伝えられるかわからないけれど僕なりに伝えなきゃいけない。
くろあ:僕はこれからも自分らしくマイペースでやっていくよ。焦らずゆっくりに。たとえ皆と距離を置いていかれても僕はそれをマイペースで追っていく。奈々に中々話しかけられなくても僕らしく話しかけようと思う。たとえそれがうまく喋れなくても。だから僕は僕らしくでいくよ。
奈々:くろあ…。
正直ここまでくると僕は自分がなにを言ったのかがわからなかった。
奈々:あははw
くろあ:え?
なぜだか突然奈々は笑い始めた。今僕おかしなこと言っただろうか?
くろあ:ちょっと、なにが可笑しいんだ。僕は自分の思いを…
奈々:わかってるよ、くろあ
くろあ:じゃあ、なんで。。
奈々:なんか私が深く考えすぎてたから可笑しくなっちゃってw
くろあ:深く?
奈々:だってくろあが私のこと嫌いになっちゃったと思ったし、それにもうくろあがアイコンチャットに来なくなるんじゃないかと思ってたから。
くろあ:僕が奈々を嫌いになるわけないじゃないか!
奈々:うん、わかってる。くろあが簡単に人を嫌いになる人じゃないくらい。
くろあ:それならいいんだけど…。
奈々:ねぇくろあ?
くろあ:ん?
奈々:くろあはアイコンチャットから勝手に居なくならないでね?
居なくならないでか。アイコンチャットには居なくなった人はたくさんいる。
リッドにりあら、翠零、キキそれにとりで。むらぁはよくわからないけど…。
けれどずっと一緒にこれからも皆と居られるわけではない。
だけども僕は…
くろあ:居なくならないよ。僕はこれからも皆と一緒に居たいと思うし、それに奈々ともずっと一緒にチャットをしていきたいと思ってるよ。だから勝手に居なくなるなんてことはないからさ。
奈々:くろあ。。うん、信じてるからw
これからも奈々とずっと一緒にチャットをしていきたい。これは僕の本心だ。
奈々:ねぇくろあ。今のは告白かなw
くろあ:何言ってるんだよ!?友達として言ったまでだよ。
奈々:ちぇっ。。つまんないの~w
さすがにそこまで奈々に言える勇気はまだ僕にはなかった。
くろあ:さてと、話も終わったし。そろそろ秘密チャットも終わろうか。。
奈々:うん、そうだねwそれに閲覧してる人たちもどうなってるか気になってるだろうしw
くろあ:そうだなwあ、そうだ奈々。
奈々:何?
くろあ:これからもよろしくね。
奈々:うん!こちらこそw
これでついにアイコンチャットでの事件は幕を閉じた。
それに僕の胸にひっかかっていたものはすっかりなくなっていた。
どうやらむらぁが全て吐き出したらすっきりするってのは本当だったようだな。
そして僕と奈々は秘密チャットをやめて通常のチャットへと戻っていった。
奈々:おーい、皆終わったから入ってきなよ~。
管理人:疾風さんが入室しました
管理人:ムロウさんが入室しました
管理人:きら☆さんが入室しました
管理人:もこさんが入室しました
管理人:マジックさんが入室しました
管理人:むらぁさんが入室しました
くろあ:うわっ、こんなに閲覧してたのか…。
奈々が終わったことを告げると一気に閲覧していたチャットのメンバーたちが入室してきた
疾風:当たり前じゃないか心配してたんだからなw
きら☆:ふっ、仲間として当然のことだな。
もこ:きら、台詞がくさいよ。。
ムロウ:で、仲直りはしたのか?
奈々:仲直りだなんて別に私とくろあは喧嘩してたわけじゃないよwね、くろあ?w
くろあ:あ、あぁそうだね。
喧嘩をしていたわけじゃないそれは確かにそうだった。
マジック:じゃあ一体何が原因だったんだ?
奈々:ん~特になんでもなかったよwただくろあが反抗期に入ってただけw
ムロウ:それだけかよww
くろあ:でもそんな感じなのかもしれないw
きら☆:いかにもお前らしいなw
むらぁ:だけどこれで一件落着なんだよね?
くろあ:うん。皆には迷惑かけたね。
むらぁ:ほんとだよ~。これで1個貸しだねくろあw
くろあ:ははは…。でもむらぁには本当に感謝してるよ
奈々:うんwむらぁちゃんありがとうねw
むらぁ:あははwそんなに言われると照れちゃうよ~。。
皆にも感謝してるけどやはり今回の事件でお礼を一番言わなければいけない相手はむらぁだ。
こいつが居なければこの事件は終わっていなかったかもしれない。
むらぁ:じゃあ私の役目も終わりだねw
くろあ:確かにそうだけど…。これからもチャット来れるんだよね?
むらぁ:う~ん、どうかな~。。私も今回はちょっと無理したからな~…
疾風:どういうことだ?
むらぁ:ん~なにかは言えないけどちょっとチャットをインターネットをすることがちょっと難しいんだよ。
マジック:でも今日とかは普通に来れてるじゃんw
むらぁ:今回は特別だよ。親友が困ってるから来たまでだよw
きら☆:スーパーマンみたいだなw
もこ:きらは黙ってなさい!
奈々:じゃあむらぁちゃんはこれからもここには来れないってこと?
むらぁ:うん。。今日で最後になるのかなw
くろあ:そうなのか…。また会えなくなるのか。
むらぁ:なぁにぃwくろあはまた私が居なくなることに寂しさを感じちゃってるの?w
くろあ:だから違うって。でも、確かにそうかもな。君が居たら正直僕は楽しいと思う。だから最後なんて言うなよ。また必ず来てよ。
むらぁ:くろあ…。
むらぁには最後なんて言ってほしくなかった。僕はむらぁと会えなくなるなんて考えたくなんかない。
奈々:そうだよむらぁちゃん。またチャットに来てよ!
ムロウ:あぁ、いつでもチャットに来いよ。お前が居なくなるのもアレだからな。
マジック:確かにw俺達の中では珍しいキャラだしなw
きら☆:くろあ並に珍しいキャラだなw
もこ:それに、むらぁちゃんのことも忘れるはずないしw
疾風:俺達は仲間だしな~。
むらぁ:皆…。
くろあ:だから来れるときにはいつでも来てくれよ、むらぁ。
むらぁ:うん、難しいと思うけど。そうするよwだからもう最後なんて言わないねw
くろあ:あぁw
むらぁ:それじゃあそろそろ時間だし落ちようかな~。。
時計を見てみるとすでに11時になっていた。奈々との話し合いは30分以上はかかっていたようだ。
くろあ:うん、絶対また来てねw
むらぁ:わかってるよwそれにまたどこかの誰かさんが困ってたらこっちも心配しなきゃならないしw
きら☆:www
くろあ:誰のことだよ…。。
むらぁ:あははwじゃあね皆!久しぶりにチャットできて楽しかったよw
マジック:お疲れさまw
疾風:またどこかでw
ムロウ:必ず来いよな~
もこ:待ってるからねw
きら☆:俺様が手を広げて待っててやるw
奈々:またね、むらぁちゃん!
くろあ:むらぁ今日はありがとう!またあの時みたいにチャットできる日を待ってるから!
むらぁ:うん!じゃあ…またね!
管理人:むらぁさんが退室しました
むらぁは退室していった。
むらぁはこれからもまたしばらくは顔を見せることは出来ないと思う。
けど、僕はあいつがチャットに来るまでずっと待っている。
あいつの一番の親友として。
奈々:むらぁちゃん行っちゃったね。
マジック:あぁそうだな。
くろあ:さてと僕もそろそろ時間だしそろそろ落ちようかな。
ムロウ:もうこんな時間だしな。
奈々:ねぇ、くろあ。くろあはこれからもアイコンチャットに来てくれるんだよね?
くろあ:うん。もう全てが終わったからねwだから明日も来るよ。
それに僕は勝手に居なくならないと奈々と約束したし。
奈々:そっかぁwじゃあくろあが来るの楽しみにしてるねw
きら☆:まぁ俺はお前が来ようが来ないがどっちでもいいけどなw
もこ:きらがツンデレは気持ち悪いよ…。
くろあ:それじゃあおちるね~。みんなおやすみw
疾風:お疲れ~
奈々:またね、くろあw
もこ:お疲れさま
管理人:くろあさんが退室しました。
時間にもなったので僕はチャットを退室した。
今回のアイコンチャットの事件は僕にとってはとても大きなことだった。
でもその分奈々に思いを伝えたことで僕は少しは成長したと思う。
思いを伝えるという事は大切だということを僕はこの日知った。
そしてパソコンを消そうと思ったが2窓でタウンの方を放置していたのを思い出した。
挨拶だけして退室しようとタウンに行ってみたらメールが1件来ていた。
メールを開いてみるとそれはらむ…むらぁからのメールだった。
今さっき別れたばかりなのにと思いながらメールを読んでみる事にした。
「くろあに私は何度も助けられたよ。落ち込んでいる時とかもくろあと喋っているだけで元気になれたしもちろんくろあに言ったように癒されてたよwだからこれからもくろあと一緒に居たい。一緒に笑っていたい。くろあに会えて幸せだったよ…。くろあ大好きだよ♪」
よく意味がわからないメールだった。
けれど僕は嬉しかった。
たぶん冗談なのだろうけどここまでむらぁに思われていることに。
だから…
僕もむらぁに出会えたことが最高の幸せだ。