七話 おじさん、選抜戦に挑む⑤
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「先ずは転送後はすぐに合流しよう」
【魔王】討伐選抜戦3日前、レンジはマーラとアルディーニに提案した。
転送後はランダムでの配置になり、誰が何処にいるかはマップアプリで確認する必要がある。
だからこそ、その無駄を省き、パーティでの動きをするためにレンジは2人に案を出した。
「俺は賛成~。レンジさんもカーマも強いし、俺の【スキル】を活かしやすくなる」
アルディーニは手を挙げて、賛同するがマーラはそれに異議を唱えた。
「俺は好き勝手にやらせてもらう」
「お前なー、僕とアルディーニで戦っても良いんだが、お前もパーティメンバーなんだぞ? それなら歩幅を合わせてだな」
「無理に集まって俺達だけ固まって行動してみろ。それこそ一網打尽になる可能性があるだろ。リスクの分散だ。このメンバーなら、1対1で負けることは余程のことがなければあり得ない。なら、単独で行動して、点を取るべきだ」
マーラとレンジがバチバチと火花を散らす中、アルディーニが彼らの間に自然に割って入った。
「まぁまぁ、落ち着けよ、2人とも。今回は集まってみて、次は単独で戦ってみる。これで良くないか? どうせなら、2つとも試そうぜ」
アルディーニがそう言うと彼らは納得いったのか今回はレンジの開始と共に集合する案が採用された。
***
(合流しようとは言ったものの、一向に合流出来ない!? 何でこんなにも僕だけ狙われてるんだ!?)
選抜戦開始から20分が経過した頃、レンジは3人の【冒険者】から襲われていた。
その内、2人はジュウゾーの所属しているパーティの2人、三笘と米谷であり、もう1人は別パーティのメンバーであった。
三笘は刀を振りながら、レンジとの距離を詰めると他2人が【合成】 した弾丸による攻撃を仕掛け、彼に一息吐く間を与えない。
(何でだろう、僕だけを狙ってる。三笘と米谷、彼らの【配信】は目を通してる。コンビでの【配信】で、すごい連携が上手いから色々と勉強にしてたんだけど、点取りなら、横にいる彼も敵だろう!? 何で僕だけを狙うんだい!?)
レンジは自分が狙われる理由が理解できなかった。
それもその筈、彼は2度も【魔王】討伐に参加し、2度も【魔王】を殺しに貢献しているから。
他の【冒険者】か向けられるのは畏怖、尊敬、そして、嫉妬。
今や、肋屋レンジは以前の過疎配信者に在らず、【魔王】を殺せるほどの実力を持った実力者である。
それら全ての感情を向けられる、向けることをレンジは知らない。
「じゃあ、僕も遠慮しないよ」
それらを知らないが、自分を狙い敵対者に対して、情けをかけるほど、肋屋レンジも甘くない。
三笘の刀の軌道を読み、振るわれた一撃を避けると彼の体を蹴り上げた。
「うぐ?!」
蹴りを入れられただけで体が軽く浮き、吹き飛ばされたことに三笘は驚くもその一瞬だけ空いた隙を突き、レンジはビル街を駆け、一気に彼らから距離を取った。
(はっや?! 何だあれ?!)
三笘は先程までとは別次元の速度を見せたレンジに対して、見失わまいと追い付こうとした。
「三笘! 退け! 誘ってんぞ! アイツ!」
その一言、相棒である米谷の声を聞き、三笘は足を止める。
だが、一歩を足を止めたところで関係あらず、レンジはレンジは三笘と米谷の攻撃の起点である方、それを潰すために動き出す。
「遅いよ」
何故か、レンジの声がした。
「は?」
つい一瞬だけ目を離しただけなのに、遠方にいたはずのレンジが目の前に立っており、彼は既に鞘から刀を抜いていた。
「無明一刀流、流星」
踏み込んだ音がすると同時、三笘の首が飛んだ。
「クソ! 三笘の、仇!」
相棒である三笘がやられた瞬間、米谷はレンジへと攻撃を放とうと得物を構える。
ザシュン、その時、自身の右、自分と組んでいた筈の【冒険者】の方向から音がした。
「何、やってんだ? お前」
横にいた【冒険者】が米谷の体を【合成】 で作り出していた弾丸を使い、貫いていた。
「あ、あんなの、勝てるわけ無い。勝てるわけないじゃないか?! お、おれだって、目立ちたい! な、なら、点だけでも、何でも!」
言い終える前に、レンジがその【冒険者】の首を断った。
それと間髪入れずに実況にいるカナが声を上げた。
「山田選手所属パーティ奇襲で2ポイント獲得! 個人には5ポイント追加! 更に更に肋屋パーティ大躍進! これで合計10ポイント! 肋屋選手個人で、15ポイント獲得! 八十選手に並んだ!」
レンジが倒した3人とアルディーニが倒した2人、合計10ポイントを獲得したレンジ達。
着々と点数を獲得する中、場面はアルディーニとジュウゾー、彼ら2人の一騎打ちへと映る。
ビル内、別の場所と場所を繋げる通路にて、自分の獲物を取られたジューゾーはアルディーニへと距離を詰めた。
「【合成】 、風魔法IV× 強化IV」
ジュウゾーは【合成】 から生み出した【スキル】を使用し、一気に加速するとアルディーニへ迫った。
【合成】 により、【冒険者】達の戦略は一気に増えた。
2枚の手札を合わせるだけで、新たな手札として使え、場合によってはそれが新たな切り札となることもある。
八十ジュウゾーは元より、実力者であったが、【合成】 のおかげで自らの切り札を増やすことができ、最近の【配信】ではノリに乗っていることがよく分かった。
(何を使ってさっきの2人を仕留めたからは分からん。だからこその先手必勝。俺の速さなら、相手が何かをする間もなく、終わらせられる!)
ジュウゾーはアルディーニが自身の間合いに入った瞬間、両手に握る2本の槍を振り下ろした。
「良い速度。だが、無闇に突っ込み過ぎだわ」
アルディーニはそう言うと次の瞬間、彼に向けて、腕を前にした。
「【合成】、鉄魔法IV× 曲芸弾」
その言葉がハッタリ、嘘、自分を一歩引かせるものとジュウゾーは知っていた。
何故か?
それは彼の手元に弾がないことを知っていたから。
魔弾系【スキル】は弱点がある。
魔弾は手元からしか放つことが出来ず、使用する際には必ず、【魔力】による起こりが発生する。
【魔力】を読むことが上手い【冒険者】であればそれを読むことが出来、後は何処を狙って来るかで魔弾での攻撃を防ぐことが可能であった。
故に、ジュウゾーは止まらない。
2本の槍を突き立てようと手を振り下ろした。
しかし、ジュウゾーはその槍を振り下ろすと同時、敗北を理解する。
ジュウゾーの体、それを挟み込む様に鉄が込められた弾丸が貫いた。
アルディーニはたしかに、魔弾を手元で【合成】していなかった。
それでは何処で魔弾は生成されたのか?
アルディーニが立っていた通路の左右、そこに鉄魔法と 曲芸弾を仕掛けておいた。
「那須野・アルディーニ選手! 一瞬にして、先程まで猛威を振るった八十選手を撃破!? 那須野選手所属パーティに2ポイント! そして、個人に5ポイント追加! 強い! 強過ぎる!? 何なんだ!?」
那須野・アルディーニ、ノア・ハルモニア・レオンハートの秘蔵っ子にして、最近巷を騒がせた【魔弾の射手】。
彼の強さをまだ、知る者は少ない。
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