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元伝説の迷宮踏破者、今は過疎配信おじさん ――魔王が幼女に転生して来たので、再び迷宮の最深部へ  作者:
一章 おじさん、宿敵と再開する

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六話 おじさん、選抜戦に挑む④

 【魔王】討伐選抜戦初日。

 パーティ結成より1週間が経過した日であり、参加者達はある程度、方針などや作戦を固めて来ていた。


「2人とも準備はいいかい?」


 各チームには部屋が用意されており、そこに入って作戦会議や、開始前の指揮上げなどを行うことが出来る。


 3人は部屋に集まり、最後の作戦会議の後、気合を入れるためにレンジがマーラとアルディーニへと声をかけた。


「オウヨ!」


「おう」


 2人から返事をもらってレンジも深呼吸をすると彼らは満を持して、討伐選抜戦へと赴く。


 討伐選抜戦、それはパーティを組んだ【冒険者】同士の三つ巴、四つ巴の決闘。


 WAAが誇る技術によって【魔力】によって生み出された様々な戦場と【魔力】を用いた擬似身体を使い、60分間の点取り合戦である。


 点を取る方法は2つ。

 1つは、相手を倒すこと。

 もう1つは60分間生き延びること。


 擬似身体は【魔力】によって構成される物であり、首を切られようとも当の本人の肉体に傷つくことはなく、討伐判定がつくと同時に、体が崩壊し、戦闘に参加出来なくなる。


 これまでではあり得ないほどの技術力、その全てはWAA理事長歌島徳茂(ウタシマトクシゲ)がこの企画のために、準備した物であり、彼が見出したいエンタメを示してもらうためのものでもあった。


 今回は選抜戦初回であり、全員が初めて挑む初戦、四つ巴、合計14人の大乱闘、その始まりの時が着実に迫っていた。


 そんな彼らをカメラが映しながら、動画【配信】を開始しており、眼鏡をかけ、スーツを着た赤髪の女性が声を上げる。


「あー! テステス! 音声良好!

初めましての方は初めまして! WAA本部所属、オペレーター兼解説役の早乙女(サオトメ)カナです! 本日より、WAA公式がお送りします、【魔王】討伐選抜戦! 私と豪華ゲストを交えて、動画配信サイト、WAA公式チャンネルより、お届けします! そして、今回の豪華ゲストはこの方!」


 カナはそういうと彼女の横にいる女性に手を向けた。


流星(リスナー)の皆! おはこんばんわ~! 星空ミリアだよ! 今回は僕が実況解説を行うよ!」


「【魔王】討伐選抜戦は、S級【冒険者】の皆様をお呼びして、【配信】いたします!」


 ミリアは普段とはまた違う衣装で【配信】に参加しており、それが話題を呼んだのかコメント欄が活発になった。


「私が実況してた時は全然反応なかったのにミリアさんが来てから一気にコメ欄が伸びましたね」


「あはは。でも、僕のおかげというよりも、元々、この【配信】自体の注目度が高かったので、それもありますよ」


「なるほど! たしかに、それもありますね! 開始の僅かな時間ですが、この間を盛り上げて行きましょう! ミリアさんは注目の【冒険者】はいらっしゃいますか?」


 カナの問い、それにミリアは間髪入れずに答えた。


「肋屋レンジ選手です」


「お、おお! すごい速さですね! えーと、ちなみに何処らへ」


「色々ありますが間違いなく強さです。なんたって僕の師匠なので」


 一切の質問の余地を与えないミリアの答えに、カナは戸惑うも彼女のヘッドセットに全ての【冒険者】の準備が整った連絡が入った。


「ミリアさんありがとうございます! それでは各陣営、準備が整いました。転送開始!」


 カナがそう言うと、参加者達の肉体が徐々に変換され、いつの間にか、レンジはビル街の中に放り込まれていた。


 目を開くとそこには【東響】のビル街。

 レンジはあまりにもリアルな触感に目を丸くした。


「すごいな! さっきまでWAAの建物の中だったのに、ビル街の中にいる!」


 選ばれた戦場(フィールド)は【東響】のビル街を模した場所。


 様々な高層ビルが立ち並び、隠れる場所は多数。


 レンジは辺りを見渡すとそこにはマーラとアルディーニが居らず、すぐに彼らの位置を探すために地図を開いた。


 スマホに登録されてある討伐選抜戦専用のマップアプリから、味方2人の位置を把握することが可能であり、レンジは急いで彼らと合流しようとする。


 ドローン型カメラが起動し、レンジの姿を映す中、そんな彼の背後より、1つの影が伸びた。


「【合成(コンポージョン)】 、火炎魔法IV(フレア・クアドラプル)× 弾丸(バレット)


 1つの炎の弾丸がレンジの心臓を目掛けて放たれる。


 火炎放射器の様に放たれていた火炎魔法(フレア)は、弾丸(バレット)と【合成(コンポージョン)】することで炎の弾丸となり、以前とは比べ物にならない程の速度で襲いかかった。


 しかし、その弾丸にレンジは間合いに入った瞬間、気付くや否や、鞘に手を置き、刀を抜いた。


 カインと甲高い音が鳴り響くと弾丸は切り裂かれたのか真っ二つに割れ、レンジの体を避け、地面にぶつかった。


(はぁ?! 背後からだし、結構な距離だぞ?! 何で分かるんだよ?!)


 奇襲が失敗したことで、【冒険者】は居場所がバレたと確信し、浮遊【スキル】を使ってその場から離れようとする。


 だが、それをレンジが見逃すはずがない。


「無明一刀流、(ナガレ)


 既に、レンジは【冒険者】の方向を向いており、彼に向けて容赦無く刀を向けた。


 浮遊【スキル】によって逃げる男をレンジは一瞬にして追いつくと大気にある【魔力】を蹴り上げ、【夜叉(ヤシャ)】を鞘より、走らせる。


 レンジに背を向けた男は縦に真っ二つに切り裂かれた。


 自身が切り裂かれたことにようやく気付くと男はあまりにも早い決着に、思わず声を漏らしてしまう。


「う、

そ」


 同時に、その体が崩壊し、粉のように消えた。


「ごめん、死なないなら、僕も遠慮はしないよ」


 レンジは人を切ったのは初めてであったが、何故か、それほど嫌悪感はなく、いつも通り、普段通りだなと感じた。


 レンジの一瞬の決着に、カナは反応が遅れるもすぐに盛り上げるために声を出した。


「討伐選抜戦! 初戦の初ポイントは! ミリアさんが注目していた【冒険者】! 肋屋レンジ選手だぁ!!!! 肋屋選手所属パーティに2ポイント! そして、個人に5ポイント追加!」


 実況のカナの叫び声と共に【配信】画面にはレンジの顔が写り、彼へポイントが入ったことが伝えられる。


 だが、その直後、別のカメラでも戦況が動いていた。


「A級【冒険者】の中でもブッチギリの武闘派【冒険者】! 八十(ヤソ)ジュウゾー! 八十(ヤソ)選手所属パーティに2ポイント! そして、個人に5ポイント追加!」


 2本の短めの槍を使い、1人の【冒険者】を穴だらけにした八十(ヤソ)ジュウゾー、彼がポイントを取得する。


 髪を一本に纏め上げ、タンクトップにロングコートを羽織るジュウゾーは2本の槍を地面に突き刺し、初めて人を刺した感覚を味わった。


 だが、次の瞬間には、その感覚に慣れたのか槍を振り回し、元気よく声を上げた。


「なるほどね、こういう感じか。なら、積極的に索敵しようかな!」


 ジュウゾーはそういうと【魔力感知】を展開させる。


 【魔力感知】には、【特化】状況によって差がある。


 ジュウゾーの【特化】はV(クインタプル )、凡そ30メートルの感知が可能。


(30メートル範囲に5人。三笘(ミトマ)米谷(マイヤ)じゃなくて、敵だけか。よっし! 狩り取るか!)


 ジュウゾーは【魔力感知】で感知した者達がいる場所へと駆けた。


 そして、彼は1つのビルの中に入り、その中を駆け上る。


 自分の獲物を狩るために。

 点数を取り、【魔王】討伐への切符を手に入れるために。


(そろそろ着くな! やり合ってる場所!)


 勢いよく、ビルの扉を蹴り破るとそこには2対2の状況で拮抗状態の4人の【冒険者】がいた。


「うわあ!? 八十(ヤソ)だ!?」


「チッ! コイツ、1人だろ! 殺せ!」


 2人の【冒険者】はジュウゾーに得物を向け、攻撃を放とうとした。


「【合成(コンポージョン)】 、風魔法IVウィンド・クアドラプル× 強化IVブースト・クアドラプル


 だが、そんな2人をジュウゾーは一瞬にして置き去る。


 脚部に風魔法(ウィンド)、そこに【合成(コンポージョン)】による強化(ブースト)の重ね掛け。


 風に乗った高速移動、それは目にも止まらぬ速度で2人の【冒険者】の背後を取り、彼ら2人の首に槍を1本ずつ突き刺した。


「なっ」


「あ、が!」


 喉を突き刺されたことで、音だけを漏らし、倒れると彼らの体は崩れ始め、ジュウゾーへとポイントが加算される。


八十(ヤソ)選手! 一瞬にして、2人抜き! 八十(ヤソ)選手所属パーティに4ポイント! そして、個人に10ポイント追加! 【魔王】討伐戦参加へと一気に近づいた!」


 ジュウゾーはすぐにもう2人、その場にいた【冒険者】へと視線を移し、彼らも同様に狩ろうとする。


 だが、彼らはその先に居なかった。


「逃げたのか?」


 違う、居たが消されたという言葉が正しく、たった1人、【魔力感知】で見つけていたもう1人がそこに立っていた。


「まさかまさかの2枚抜き! 那須野・アルディーニ選手! 一瞬にして、2人の【冒険者】を葬った! 那須野選手所属パーティに4ポイント! そして、個人に10ポイント追加! それにしてもなんだ?! 今の【合成(コンポージョン)】は!?」


 ジュウゾーの前にいたのは那須野・アルディーニ。


 彼が笑顔で自分の視線の先に現れるとジュウゾーもまた、同様に笑みを浮かべ、彼へと無言で走り寄った。

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