五十七話 おじさん、第四戯魔王に挑む⑥
【第四戯魔王マキナ】、いや、マキナ家という【魔王】の家系は絡繰人形、機械に力を入れた一族である。
【魔王】には、自分の軍隊や、兵士にコンセプトを求めて場合があり、ケルヌンノスであれば獣兵、バアルであれば強者、【第四戯魔王】はそこに機械という合理的な兵器を求めた。
結果として、他の【魔王】にはない、特異性を手にし、先代【魔王】であった【第四戯魔王、支配のエクス】は他を追随させない軍事力を持っていた。
それらの技術はエクスの死によって、終わりを迎え、幼い少女であったマキナにはその技術は4割程しか伝えられなかった。
先王の【権能】は引き継がれたが、国を建て直す程の力はなく、ショヴァンの部下数名だけが彼女の全てであり、本来であれば【魔王】達のゲームに参加出来るほどの力は残っていない。
だが、それら全てをひっくり返すほど、マキナは【権能】と教えられていた4割の技術の使い方が上手かった。
マキナの機械人形、偉大な父と最愛の母、カピタンの持っていた機械武装である翼、アルレッキーノの機械をつける肉体の改造、インナモラートの妹、インナモラータ、これら全てを自ら生み出した。
そして、その才能を今、存分に発揮する。
マーラに額を【権能】の込められた弾丸で貫かれ、死に行く体を【魔力】の糸で無理矢理動かし、支配した。
【魔力】の殆どを身体に残していなかったのが功をなしたのか、死後も【魔力】に残留思念が残り、霧散しそうな意識を手繰り寄せて、歪にもマキナは復帰を遂げる。
【魔力】の糸で自身の体を繭の様なモノで隠し、それを突き破ると現れ出でるのは偉大な父と最愛の母の両者の鉄塊を変化させ、武装とし、新生したマキナの姿であった。
自分の眼につけていた真っ白なアイマスクを外し、黄金の眼を見開くと穿たれた筈の額は糸で縫ったのか、塞がれていた。
右腕には巨大な槍、左腕には砲身の様なものを携えており、背には黒鉄が出来た翼、足にも対空用の武装などがなされている。
機械を手繰る【魔王】はそこに在らず。
そこには自ら敵を殲滅させんとする【魔王】の姿があった。
「機械仕掛けの【魔王】」
新たな自分の形に名をつけて、彼女はマーラ達へと視線を向けた。
先程までの人形を操り戦う様な形ではなく、今のマキナは自分だけでマーラを殺そうという覚悟が見せており、彼らはそれを前にして、一気に警戒心を高めた。
「【ユニークスキル】、【夜乃帝】、君臨」
そして、その警戒が夜に、【ユニークスキル】の使用を選択させる。
金色の髪が一瞬にして銀色に変わり、片眼の色がもう片方に移ったのか両眼が真紅に統一され、一種の神々しさを纏った姿へと夜は変身を遂げた。
「さぁ、踊ろうか! 【魔王】様! 怪物同士の舞踏会だ!」
自分の力を存分に見せつける絶好の機会だとテンションを上げていた夜に対して、マキナはそれを無視する。
彼女が今、興味があるのはマーラとショヴァンを殺した人間のみ。
「偉大なる大槍」
マキナが槍を構えると夜は彼女がどう出るか、一挙手一投足全てを見逃さまいとした。
瞬間、夜の真横、それを何かが横切った。
すると、マーラがいた場所には抉れたクレーターのようなモノが生まれており、その直後、巨大な破壊音と共に彼らのいた城内の壁が壊れて、穴が空いた。
「な!? 今の、さっきの奴の攻撃か!?」
夜は自分ではなく、マーラを狙った攻撃だあると瞬時に気付くがそれでも彼女らを追えず、急いでその外へと出向く。
夜が出た時には、マーラとマキナが打ち合っており、彼は自分1人がその場に残されたことに腹を立てながらも嬉しそうに叫んだ。
「あんまり、ワクワクさせるなよ! 俺の視聴者が取られちまうだろ!」
一方、吹き飛ばされたマーラはマキナの放った一突きを【波旬】によって防いでいた。
「覇刃!」
手にはもう1つの得物である【我射髑髏】を握りしめており、それに【権能】を載せ、マキナへと反撃をする。
その不可視の斬撃をマキナは槍で軽く弾き、もう片方の手に生み出していた砲台の先を向けた。
「親愛なる砲撃」
【魔力】を載せた砲撃、それは弾などに包むことなく、放つ【魔力】の塊。
その【魔力】の塊に対して、砲身内部にある加速器により、【魔力】を込めるとそれは途轍もない速度で走り去る。
当たれば例えマーラであれど、致命傷になりかねない威力を誇る砲弾に対して、彼女は何事もなかったかの様に防御を取ることもなく、空に浮く。
「切り裂け、【波旬】」
【波旬】はマーラの愛刀であり、それは姿を隠したまま、主人の周囲を旋回している。
以前までの全自動防御の【術式】はマーラの【魔力】の少なさもあって、穴も多く、反応が鈍かったりと欠陥があった。
だが、今は違う。
マーラは左足、自分の部品1つ分の【魔力】を取り戻しており、【波旬】へと命じた【術式】を強化させていた。
反応速度は以前よりも遥かに高く、全自動防御中はマーラの咄嗟の判断で防御を取ったりなどができなかったが、それらの問題が解消されている。
マーラは不可視の得物に命ずるとそれは主人を守るために、目にも止まらぬ速度で迫る砲弾を簡単に真っ二つにした。
それどころか、切り裂いたと同時に、手に握る【我射髑髏】を振るおうとするとマキナも同様に彼女との距離を詰め、得物より、攻撃を放つ。
「覇爪!」
「偉大なる大槍」
【我射髑髏】とマキナの槍の刃先が打つかり、火花を散らす。【魔王】同士の戦いは異様とも言える光景で、両者共に一切、譲るまいとその場で得物を振るいあった。
マキナは生み出した兵装より、マーラを撃ち落とすために、空中にて様々な攻撃を放つもそれらを【波旬】が切り裂き、一歩も引かない。
上空に兵器が破壊されると同時に爆発するとそれによって生まれた光が【池袋】の遊園地内を色鮮やかに照らす。
2体の【魔王】が空を自由に闊歩し、絶戦を繰り広げる中、またしても、その男は自分もそれに混ぜろと笑顔で割り込んだ。
夜島夜、彼もまた浮遊【スキル】で空の決戦に追い付くと【夜王乃断頭機】を構え、声を上げた。
「巻き上げろ、過剰吸血!」
大鎌を向けた先、彼女達の戦いの場から少し離れた所で、夜はその【ユニークスキル】の力を使う。
夜島夜の【ユニークスキル】、【夜乃帝】は、端的に言えばその肉体を吸血鬼へと変貌させる能力である。
だが、夜はその吸血鬼としての能力を拡大解釈しており、それが反映されており、大衆の知る
生と死の狭間に存在とは、かけ離れたものになっていた。
その能力の1つ、過剰吸血、対象に対して、血の代わりに【魔力】を吸い込み、それを自らの糧にすると言う物。
現代、いや、迷宮に沿った拡大解釈であるにも関わらず、夜はそれを最も簡単にやって退け、獲物であるマキナの【魔力】を一気に奪い去る。
【魔王】であるマキナの【魔力】は底を知らない。
ケルヌンノスの様に何度も【筺】を使用した訳ではなく、【権能】に使うだけであれば、【魔力】が尽きる心配などはなかった。
だが、そんなマキナの【魔力】貯蔵にヒビを入れる。
(何だ? 【魔力】が一気に抜け落ちた? いや、私の【魔力】が奪われたのか)
マキナはその時、ここに来て初めて夜島夜という存在をマーラ同様の脅威であると認識する。
人間が、未知の手数を持ち、抗ってくる。
それが【魔王】の脅威になることを十二分に理解した。
ただ、理解すると同時に、夜は既に彼女の想像を超えて来た。
「涜神の残響!」
夜の【魔力】を砲弾に変換し、解き放つ術式を持つ【夜王乃断頭機】による砲撃。
その砲身より狙いを定め、マキナへと避ける選択肢を、与える間もなく、刹那の間もなく、光の柱を襲い掛からせた。
感想、レビューいつもありがとうございます!
嬉しくて狂喜乱舞です!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!




