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元伝説の迷宮踏破者、今は過疎配信おじさん ――魔王が幼女に転生して来たので、再び迷宮の最深部へ  作者:
一章 おじさん、宿敵と再開する

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四十二話 おじさん、池袋に挑む③

 【冒険者】達は浮遊【スキル】を使い、皆が皆、空を浮き始めるとそんな中、それを使わずに空中移動する者がいた。


 以前はそれ以外に出来なかったが、かつてマーラとの決戦時に会得した、空中にある【魔力】を蹴り上げる方法を思い出し、レンジは空中からの落下を回避出来るようになっていた。


(毎度の事だけど、何でこう【魔王】の迷宮(ダンジョン)ってのは必ず地面を割ってから誘うんだろうね)


 レンジはそんなことを思いながら着地を済ませると辺りを見渡す。


 落下した場所から見えるのは立ち尽くすビル群が一つの都市を形成しており、多くの【冒険者】達が踏破を目指して動かし出していた。


「この迷宮(ダンジョン)都市型(シティモデル)だ。【池袋】って確か、遺跡型(ルーインズモデル)だったよな? 【魔王】の力で作り替えられてる?」


 そんなことを呟いていると、マーラとミリアのことを思い出し、2人が近くに降りてくるのを待った。


 だが、一行に彼女達は降りて来ず、レンジはその違和感に気付くや否や、スマホを開き、ミリアとマーラが行っている【配信】を確認する。


 そこには自分とは別の場所に其々降り立っていた彼女達の姿があり、既に魔物との戦闘を始めていた。


「もしかして、分断されたか?!」


 そう漏らしたその時、いつの間にかレンジのことを魔物達が囲っており、それに気付くと彼は冷静に得物を構えた。


「まぁ、みんなとの合流も考えながら、今は先に進むしかないね」


 レンジだけを狙って囲う魔物達、それらは軍隊の様に抜け穴一つない整列を見せており、何者かに意識を乗っ取られている、いや、()()されたかの様な統率を見せた。


(気味悪いな、こうも魔物の統率が取れているのは。この迷宮(ダンジョン)に出てくる魔物は全て()()だ。同種ならばある程度、統率が取れるのは理解できるけど、コイツらは別種で統率が取れてる。これも【第四戯魔王】の【権能】なのか?)


 考察をしている最中、レンジ目掛けて1匹の魔物が走り出すとそれに刺激されたのか、その他の魔物達も一斉に彼へと飛び掛かった。


「うかうかしてられないね、全く」


 その一言を残し、魔物達が牙を、爪を、己が持つ武器を突き立てようとした獲物は目の前から姿を消した。


 それと同時に、魔物は自分の見る景色の上下が逆になるとことに気付く。


「無明一刀流、(イカズチ)


 数十匹といた魔物を、黒刀・【夜叉(ヤシャ)】の雷撃と無明一刀流の二つを混ぜ合わせた剣術で一瞬にして、レンジは切り伏せる。


「ミリアとカーマと合流したいけど、僕達だけ足止めされるから、ここはいっちょ賭けに出て、奥の方で合流するのを狙いますか」


 レンジは鬼神が如きその強さ魔物に見せつけ、【池袋】踏破へと動き出す。


 【第五獣魔王ケルヌンノス】討伐後より、剣圧が以前よりも増していることにレンジは気付いてもいなかった。


***


 地面が崩落直後、ミリアは突如として、自分の目の前が眩い光が包み込み、瞑ってしまった目を開くとレンジとマーラがいない事に気付いた。


「なるほど、僕らを分断して、ゴールはさせないつもりですか。【第五獣魔王】との戦いでも見てたんですかね」


 分断されたにも関わらず、ミリアは至って冷静であり、物事を分析するとすぐに結論を出した。


「カーマは知りませんけど、師匠なら僕達がいない時点で、【池袋】の踏破を目指すはずです。なら、僕がやることも1つ。パッパとここら辺を突破してしまって」


「た、助けてくれえ!?」


 ミリアが動き出そうとしたその時、彼女の近くで叫び声がした。


 【冒険者】の3人が魔物に囲われており、それを見つけた瞬間、ミリアは踵を返し、彼らの下へと走り出す。


(師匠、すみません。もしかしたら、僕、集合に遅れるかも知れません。でも、必ず同じ場所に辿り着くので、しばしお待ちを!)


 ミリアは以前、ベオウルフとの戦闘により、得物であった刀を失っていた。


 だが、代わりにその手には【第五獣魔王】討伐戦時に持ち出していた【人器】と呼ばれる彼女専用の武器である黎明刀・【龍真星(ノヴァ)】が握られている。


「無明一刀流、(セイ)


 ミリアが魅せるのは、逆手の抜刀と同時に光速で輝く流星。


 【魔力】の込められた抜刀は刃より、星を放つとそれらがキラリと輝き見せた。


 3人に襲いかかって来た魔物を星が一瞬にして、切り裂くとミリアは次に叫び声が聞こえる場所へとテンポよく動いて行く。


 その場にいる全員を活かし、自分の目標も達成し、レンジの言った総取りを体現するために、ミリアはその剣を振るう。


***


(ん? ミリアとレンジがいない。マキナのヤツ、小賢しいことしてくんじゃん)


 マーラもミリアと同様に謎の光に包まれると目の前にいたはずの2人がいない事に気付いた。


「待てよ? これ生まれ変わって初めて1人で自由気ままに出来るってことか?!」


 これまで必ずと言っていいほどに、レンジとミリアが横にいて、自分1人で過ごす時間が全く無かったマーラは今、危機的状況であるにも関わらず、パァッと目を輝かせた。


「分断された2人は多分、【池袋】の踏破を目指す。目的地で合流って感じだな。あはは!!!! いいね、なら、俺はここいらで遊んでおくか! ぶっちゃけ、俺からしてみれば、人間が【魔石】の爆弾の餌食になろうがどうでも良いしな。アイツらも動画見てる暇なんて無いだろうし、思いっきし、羽を伸ばして行きたいね」


 そんなことを呟いているとマーラは前を向いた。


「あれは、99点のヤツ」


 視線の先、頭上には動物の耳、金髪を一本にまとめ上げ、黒いスーツに黒いトレンチコートを羽織る男が魔物に囲われていた。


 その近くには他の【冒険者】、何人かがに逃げており、男がたった1人で魔物を押さえ込んだ様であった。


(強きが弱きを助ける社会。これが人類なんだよな。俺からしてみたら不条理極まりない。理があって、やるなら兎も角、それに理なんて)


「オイ、カメラ、ちゃんと映せよ! 俺の勇姿、俺の戦闘(アクション)、俺の全て!」


 マーラがそんなことを考えかけていた手前、男は魔物に囲われている事に理があるかの様な喜び混じる声を上げる。


「オイ、下僕(リスナー)共、よく見て、拝め。S級【冒険者】夜島夜(ヤジマ・ヨル)の実力を!」


 男の素顔、それは片方は真紅で、もう一方は、対照の蒼に染まった眼を携えた整った顔立ち。だが、笑った瞬間に見える鋭く尖った犬歯のせいか、吸血鬼が微笑んだかの様な印象を受け、奥底にある凶暴性の様なものが滲み出る。


 美と暴が混在し、一種の奇跡的合致(マリアージュ)を生んだ芸術品。


 悪魔の様に他者を魅了する微笑みに刺激され、魔物達は夜に向かって襲い掛かると彼は嬉しそうにその手にいつの間にか、握られていた得物を振るう。


 自身の背丈と同様の大きさをした大鎌を軽々と振るい、襲い掛かる魔物達へ、その刃を押し当てた。


 その瞬間、魔物の肉は簡単に切り裂かれ、骨までも簡単に断ち切り、一瞬にして、命を刈り取る。


 一振りでその場にいた魔物全ての命を奪い取り、夜はその惨状の真ん中に立ちながら、返り血一切を浴びずに、恍惚としていた。


 そして、ドローン型カメラの一つを鷲掴みにして、自分の顔を見せつける様に近づけ、声を上げる。


「見てたか? 下僕(リスナー)、俺の活躍、俺の動き。その目に焼き付け、スパチャしろ」


 S級【冒険者】の中、いや、【冒険者】の中で最も稼ぐ、俺様吸血鬼系【冒険者】、夜島夜(ヤジマ・ヨル)


 マーラはそんな彼を前にして、新たな混沌を感じ、満面の笑みを溢す。


 レンジ、ミリア、マーラ、分かれた3人を待ち受ける運命は如何に!?

感想、レビューいつもありがとうございます!

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