三十七話 result②
「速報です。只今、世界で、動物の耳の様なモノが突然、生えて来る現象が発生しております。繰り返します、突然、世界中で獣の耳の様なモノが生える現象が発生しております! WAAが現在調査中との事です」
【魔王】討伐して、一つの光が世界を覆った。
その光は直ぐに収まるも、直後、世界に異変が起きた。
「な、何だ!? これ?!」
「耳?! しかも、猫耳?!」
「どうなってるの?! 私の耳はあるのに?! 頭上にまた、耳?!」
「What is this?! animal ears!?」
世界中で突如として、大小様々な動物の耳が生えてくるとその情報は瞬く間に広がった。
一方、 WAA【東響】本部、理事長室にて、レンジがケルヌンノスを討つ姿を眺めながら、歌島徳茂はため息を吐く。
「私の、エンタメを邪魔した男。思い出したぞ、お前の名前とお前の偉業。かつて地に落としたはずの英雄の復活劇。実にエンタメではある。だが、お前の様な1人だけの英雄なんて、私は心底、興味ない。1人の英雄の偉業には限りがある。はぁー、誰もが英雄になれるからこそ、この【ダンジョン配信】は極上のエンタメであるにも関わらず! お前は1人でそれに成り変わろうとしている。それが続くのであれば、また私は【権能】を使わざる得ない」
徳茂は椅子に座りながらクルクルと回り始めると自分のスマホに連絡が入り、つまらなそうに取った
「はい、こちらWAA理事長歌島徳茂」
「うわぁ?! いつものテンションじゃない?! ど、どうしたんですか?! 理事長!?」
連絡主は秘書であるリサ・カグラであり、彼女は【魔王】討伐の様な、彼の言葉を借りるならば、極上のエンタメを見た直後は子どもの様に興奮した様子でその配信を語る徳茂が電話をとると思っていた。
だが、その予想とは裏切られ、テンションが高くない徳茂の様子にリサは驚くもコホンと簡単に咳払いし、直ぐに切り替えて、今、世界に起きている異常について喋り出した。
「理事長! 今、ニュース見てますか?!」
「いや、見てないよ」
「世界中で動物の耳の様な物が生える異常現象が起きてます!?」
リサから聞いた異常現象という言葉に、徳茂は自身の冷めていた心に若干の火を灯した。
巨大画面のチャンネルを切り替えてニュースを映すとそこには多くの人々に猫や犬、馬や兎、大小様々な動物の形をした耳が生えており、それを目の当たりにした瞬間、徳茂は先ほどまで失っていたはずの笑顔を一瞬にして取り戻す。
「何だこれ!!!! あはは!!!! 私の耳にも生えてないかな?! 生えてないわ! ビジュ、いいじゃないの! これはとっても映えそうでは!」
女子高生の様な言葉を羅列する徳茂に対して、リサはさっきまでの雰囲気と打って変わってテンションが上がって彼に戸惑うもこれくらいは日常茶飯事であると切り替え、再び口を開く。
「そんな事は後にしてください! それよりもこれどうしますか?! 突然、動物の耳生えたってどうやっても迷宮に紐付くじゃないですか!? 一応、早急に調査するとは報道局には伝えたのですが」
「うんうん、リサちゃん、完璧~! それならこのまま調査結果は判明したと伝えておいて」
「え? いや、それはまだ調査中で」
「リサ・カグラ、これは命令だ」
徳茂の口調が変化する。
それと同時に、リサの意識が混濁した。
「リサ・カグラ、君に命ずる。今回の異常現象は、獣化【スキル】の発見によるものと各国に報告しろ」
「かしこまり、ました」
リサは言われるがままに行動し始めると、徳茂はその電話を切った。
「さてさて、【魔王】が殺された【報酬】が世界に支払われた。どう回る? どう動く? 次代の英雄達よ。君達の行く末は何処に?」
その呟きは新たな世界の幕開けか?
それか、滅びの幕開けか?
世界の命運は如何に?
***
【魔王】討伐より、10日後。
世界には獣化【スキル】という物が発見され、それが定着したというニュースが駆け巡る。
獣化【スキル】と称されたそれは、動物の優れた機能をその身に宿す様になったされると人々は直ぐに順応した。
(認知の乱れを使った適応。ゲーテの奴、よっぽど上手く人間を操作してるな。一番の脅威はゲーテだが、それを指咥えて見てる様な奴らじゃねえよな、残った【魔王】共は)
マーラはスマホでネット記事を読み漁っていると飽きたのか、近くで座禅を組んでいたレンジへとちょっかいをかけた。
「あはは~! レンジ~! ようやく世界が面白くなって来たのにどうして迷宮に向かわないんだー?」
マーラは浮きながら、レンジを突っつくと彼はそれに対して、冷静に口を開く。
「向かうも何も今は、もう色んな人から追われる身だ。少しでも落ち着くまで、身を隠さなきゃ」
レンジ、ミリア、マーラ、アルベールの4人は【魔王】討伐の偉業を成したものとして、多くの人々に取り上げられた。
レンジの動画もかつてないほどに視聴率が伸び、彼はマーラとミリアと再会してから登録者が5万人を突破しており、その数は未だに止むことを知らない状態であった。
だが、そんな突然の変化に、レンジは上手く対処出来ず、結果として、ミリアが経営しているマンションに逃げ込む羽目となる。
「師匠! なんなら、僕の部屋で一緒に暮らしませか! そっちのが安全ですし!」
ミリアは嬉しそうにレンジを誘うもそれに対して、マーラが挟まる様に応えた。
「おう! なら、俺がミリアお姉ちゃんと暮らそうかな!」
「あなたは嫌です。勝手に野垂れ死んでください」
「まぁ、酷い。いたいけない少女にこの仕打ち。お兄ちゃん~、ミリアお姉ちゃんがいじめる~」
マーラはレンジを盾にしてそういうと、ミリアは今すぐにでも彼女を捻り潰してやろうかと殺気を滲み出した。
「あはは、ミリア、部屋も準備してもらってるから、僕は大人しくその部屋を借りるよ。君の好意に甘えてしまうけど」
「い、いえいえ! 元々そのために準備していた物ですから!」
ミリアの答えにレンジは違和感を覚えるもマーラが後ろでジタバタと暴れるからと言う理由で、その場を後にした。
レンジは【魔王】討伐後、数日間で自分の壊してしまった部屋の修繕などを手配し、荷物を纏め【東響】に移住しており、ようやく生活が安定し始めたタイミングであった。
それから3日後、今に至る。
登録者が鰻登りになっている自身のチャンネルを見て、レンジは気疲れしたのか、ため息を吐いた。
(こんな風にまた、活躍に陽の目が当てられる。嬉しいんだか、そうでないんだか。サッパリ分からないね。でも、これからやることは変わらない。全ての【魔王】を殺して、マーラを、【第六天魔王】を殺す)
そんな思いを胸に秘め、レンジは再び座禅を組み始める。
その直後、レンジの運営しているTXアカウントに一通のDMが届く。
そこにはこう記されていた。
【招待状。肋屋レンジ様。貴方を【第四戯魔王】の迷宮に誘います。送り主、【第四戯魔王マキナ】より】
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