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元伝説の迷宮踏破者、今は過疎配信おじさん ――魔王が幼女に転生して来たので、再び迷宮の最深部へ  作者:
一章 おじさん、宿敵と再開する

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二十二話 おじさん、渋谷に挑む⑪

 通りすがりのS級【冒険者】、そう名乗った青年は片刃の大剣をケルヌンノスに向け、彼女を真っ先に切り裂こうとする。


 だが、それを彼女の生み出す魔物達は【魔王】を守ろうと動き出し、肉の壁を形成すると彼の行先を拒んだ。


「ふん」


 だが、青年はそれを物ともせず、真っ直ぐに走り出すと魔物達が生み出した肉の壁へと大剣を振り下ろした。


 片刃の大剣は簡単に肉の壁を破壊すると、その先にいた、ケルヌンノス、彼女の右肩にも傷をつけた。


 青年が着る白いロングコートは、走った際に生み出された風で靡くと続け様に、防御(ガード)が空いた状態のケルヌンノスと距離を詰めた。


 ケルヌンノスと青年は一瞬だけ、互いに見合うも次の瞬間には、ほぼ同時に動き出し、2人の攻撃をぶつけ合った。


 ケルヌンノスの腕には魔獣の骨や牙を一つに纏めて作り出した歪な造物の刃が握られていだが、それすらも青年の大剣は切り裂き、再び彼女の体を傷つける。


(急に出て来たと思ったら、ケルヌンノスに傷をつけやがった!? マジかよ、コイツ!)


 ケルヌンノスはキョトンしており、青年はそんな彼女目掛けて容赦無く大剣を振るう。


 細い腕から想像も出来ない剛力より、放たれる一撃は、三度、ケルヌンノスは血を流した。


(コイツ、気味悪いな)


 青年は傷をつけても反応しない、ケルヌンノスを見て、そんなことを考えるもすぐに切り替えて、自分の役割を果たすために声を上げた。


「あんたとやり合う気はない。ここは引かせてもらうよ」


 青年はマーラ達の近くによるもその瞬間、ケルヌンノスは彼らを逃さまいと両腕を翳した。


「逃すわけないだろう。死ね、魔獣の槍(キングゥ・ランス)


 ケルヌンノスがそう言うとその腕には魔獣達が一気に集い、一本の槍を生み出す。


 骨や肉が継ぎ接ぎにくっ付き生まれた歪な槍をケルヌンノスは勢いよく、青年達へと投げつけた。


 迫り来る槍を前にして、青年は背後にいるマーラとその背後に浮く、ミリアへと視線を向ける。


(これは俺だけの力じゃ弾けないな。はぁー、あんまり見せたくはなかったんだが、仕方ない。ミリアを守るためだ。割り切る)


 青年はその攻撃に対して自身もまた、奥の手である【ユニークスキル】による迎撃を行うために、呟いた。


「【ユニークスキル】、【万理の王冠クラウン・オブ・ヴェルト】、戴冠」


 青年はそう言うと躊躇いなく【ユニークスキル】を起動させ、彼の頭上には小さい王冠が現れる。少し宙に浮く、王冠を頭を載せると、青年は手に握っていた大剣へと命ずる。


電磁砲(レールガン)装填(セット)


 【ユニークスキル】、【万理の王冠クラウン・オブ・ヴェルト】、その能力は、◾️◾️◾️◾️。


 大剣の刃先、それがパキパキと音を立て、()()()()られると変形した刃から突如として、雷撃が放たれる。


(まだ、能力は秘密だよ、《視聴者》諸君)


 魔獣の槍(キングゥ・ランス)と雷撃が激しく打つかり合うと彼らの目の前で、爆発を起こし、それはマーラ達と青年、ケルヌンノス達を包み込むんだ。


 ケルヌンノスは自身の周囲に舞う煙を一振りで消し去るもその場には青年もマーラ達は居らず、目を瞑った。


(ふーん、私の迷宮(ダンジョン)の中で、感知出来ない。最初から脱出が目的だったのね。まぁ、いいや。ベオが死んだから、他の【魔王】達との()()()なんてどうでもよくなった。あーあ、死のう。それはもう世界に大いに迷惑をかけながら、最悪を齎して。死のう)


 ケルヌンノスは自分の最愛を奪ったこの世界を憎悪する。


 怒りも、悲しみもその表情には一切見せず、ただひたすらに凪いだ顔で、淡々とやるべきことを組み立て始める。


 全てを踏み躙り、自分同様に最愛を奪う手立ての準備を、ケルヌンノスは画策するのであった。


***


「あはは! レンジ! 俺は、お前が大好きだ!」


 夢を見た。

 かつての現実。

 紛うことなき災悪との決闘に、その心は。


 心底、激っていた。

 技を放てば弾かれ、何もかもを費やし、叩き込み、何度も何度も追いついた。


 死にかけたのは幾千。

 その怪物は躊躇いなく不可視の刃と共に、その腕に空気を纏わせた斬撃を放ってくる度に、死が過る。


 そんな死が過ぎる感覚に心震わせ、今でも尚、それを求めてしまう。


 しかし、そんな光景が一転し、目の前には水色の髪の見知った彼女の姿があった。


 その足は切り裂かれ、彼女の血溜まりを前にして、彼は一瞬で、現実に戻される。


「そうだ。僕のせいだ。僕が、あんな化け物と対峙しなければ、ミリアは。あんな目に遭わずに済んだのに」


 その呟きと共に、目を開く。

 急に目を開いたせいで、天井に照準が合わなかったが、そこが自分が知らない場所であることだけは理解し、無理矢理体を起こした。


「僕は、何でこんなところに?」


 辺りを見渡すとそこは病室であり、レンジは自身の腕につけられていた点滴を無理矢理外し、外へと出ようとした。


(ミリア。ミリアは? 何処に? 無事なのか?)


 彼の意識があったのは、ベオウルフを倒せずに倒れたまで。


 ミリアがどうなったのか。

 自分が今、何処に居るのか。

 すぐにでも、状況を知ろうと病室の扉まで、駆け寄った。


 扉を開けようとしたその時、レンジが開けるよりも早く、扉が早く開き、目の前にはマーラが立っていた。


「ま、ー、ら」


「おう。お兄ちゃん。俺はカーマだぞ。間違えんなよ。それはそうとすごい顔だな。悪夢でも見たみたいな」


「ミリア、は? なぁ! ミリアはどうなった」


 レンジは力強くマーラの肩を掴み、揺らした。


「落ち着けよ。ミリアは無事だ。お前よりも早く目覚めてる」


 マーラの言葉を聞き、安堵したのか、レンジは弱々しく病室の床にへたり込んだ。


「よかった、よかった! ミリアの身に何かあったら、どうしようと。よかった、本当によかった」


 四十代の男が十代にしか見えない少女の前で泣きじゃくっており、その異常な光景に対して、マーラは客観的に見て、面白いからという理由でそのまま放置した。


 少しして、レンジは落ち着いたのか、立ち上がると目を赤くしたまま、マーラに喋りかけた。


「ミリアが助かったのはよかった。だけど、今、僕達は一体、どうやって、ここまでこれたんだ?」


「はぁー、やっとそこかよ。まぁ、いいぜ。俺達はS級【冒険者】アルベール・ペンドラゴンに助けてもらって、WAA【東響】本部の医療局に運ばれたんだわ」


「え!? ア、アルベール?! アルベール・ペンドラゴンって、あの?!」


 通りすがりのS級【冒険者】、そう名乗ったのは、アルベール・ペンドラゴンと呼ばれる5人のS級【冒険者】の1人であった。


「ああ、アイツはミリアが死にかけたところを見て、渋谷にすっ飛んで来たらしい。幼馴染だから、心配だったって言ってたな」


「ミリアのために、助けに来てくれるなんて。何でいい子なんだ」


 レンジはアルベールと会ったら挨拶をしなければと考えた。一方、マーラはアルベールの言葉には幼馴染だからと言う理由以外にも理由があることを見抜いており、それを口には出さなかった。


「まぁ、そんなこんなでここに来てもう3日だ」


「そんなに経ってたの?! てか、そんなに寝てたの?!」


「寝てたぞ。外でとんでもないことが起きてたのにスヤスヤとな」


 レンジを嘲る様にマーラは笑いながらそう言うと彼は彼女の言葉に一つ引っ掛かることがあった。


「とんでもないことって、何だ? 何かあったのか?」


「ん、ああ、そうだな。これを伝える方が大切だったな。ほれ」


 マーラはミリアから買ってもらったスマホをレンジに投げるとその画面に映る記事を読ませた。


 その記事の見出しはこう記されていた。


 【魔王】再来!?

 ケルヌンノスと名乗る【魔王】、人類への宣戦布告!!!!

 全てを壊すと宣言?!

 終末へのカウントダウン、再び!

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