54 凱旋と新時代
帝国が撤退を表明して間もなく、王都では急速に戦後整理が進んでいた。
コンスタンティン国王はただちにヨハン率いる「白き契約の会」に王国への入国を許可する。
廃墟と化していた魔術大研究所は、彼らの手によって古の魔法陣が再起動され、結界再構築の準備が進められていった。半壊の建物に新しい魔力の流れが戻り、戦略拠点としての価値を取り戻す。
「これで、王国の空は二度と敵の影に覆われぬだろう」
ヨハンは深々と頭を垂れ、忠誠を誓った。
◇◇◇
ウルバヌス猊下の指揮のもと、王国各地で古文書と記録が洗い出され、大魔術師の血を引く者たちが次々と召集された。
長く忘れられていた魔術の血統が再び呼び覚まされ、結界再構築の一翼を担う。
王国と侯国は、戦火の記憶を背負いながらも、新たな守りを築き始めていた。
◇◇◇
やがて王都の大広間で凱旋式典が催される。
王座に座するコンスタンティン国王は、堂々たる声で告げた。
「我が治世において、王国は決して屈せぬ。ここに、新たな時代の始まりを告げよう」
隣にはエドワードとアウレリウス、そしてオクタヴィアが並び立つ。
王国と侯国の旗が大広間を埋め、人々の歓声が空を震わせた。
戦いの終わりと、新しい時代の幕開けが、確かにそこにあった。




