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48 光の宮殿

 ローブの人物が不意に立ち止まった。


「――っ!」


 急に、目が痛むほどの光が視界を満たす。

 アウレリウスは息も絶え絶えに追いつき、咄嗟に腕で目を覆った。

 頭の奥でまだ耳鳴りが響き、息は荒く、膝は今にも折れそうだった。


 光が少しずつ和らいでいく。

 アウレリウスがゆっくりと腕を下ろし、まぶしさに目を細めながら周囲を見渡すと――


 そこは、これまで一度も見たことがない、息を呑むほど美しい宮殿の玄関ホールだった。


 白い大理石が陽光を受けたように輝き、天井からは幾重もの水晶のシャンデリアがきらめいている。

 外の森の陰鬱さが嘘のように、ここだけ別世界のような静謐さと華やかさに包まれていた。


 そして――


 その中央に、悠然と立つ彼女の姿があった。


 空色の瞳がこちらをまっすぐに射抜く。

 気品と凛々しさをまとった王女、オクタヴィアだった。


「殿下……」


 アウレリウスはかすれた声で名を呼んだ。


 オクタヴィアの唇が弧を描く。


「さすがね。ここまでたどり着くなんて」


 その声音は涼やかで、まるで試練を与える者が、挑戦者の健闘を称えるようだった。

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